UFC on ESPN 6
2019年10月18日(金・現地時間)
アメリカ・マサチューセッツ州ボストン TDガーデン

▼メインイベント ライトヘビー級 5分5R
○ドミニク・レイエス(29=アメリカ/同級4位)
TKO 1R 1分43秒
×クリス・ワイドマン(35=アメリカ/ミドル級8位)

 レイエスは通算戦績11戦全勝(6KO・TKO/2SUB)で連勝街道を驀進中。直近の2試合では、同階級の実力者であるオヴィンス・サンプルー(フランス)とヴォルカン・オーズデミア(スイス)に判定勝ちを収めた。UFC初参戦は2017年6月の『UFC Fight Night 112』で、現在までに5試合を戦っている。

 ワイドマンが2013年7月の『UFC 162』でアンデウソン・シウバ(ブラジル)にKO勝ちし、UFC世界ミドル級王座を奪取。2015年12月の『UFC 194』でルーク・ロックホールド(アメリカ)にTKO負けするまで、3度の王座防衛に成功している。その後は黒星が先行しており、ライトヘビー級転向を決断。今回がその初戦となる。通算戦績は14勝(6KO・TKO/4SUB)5敗。

 1R、構えはワイドマンがオーソドックス、レイエスがサウスポーでスタート。グローブッタッチ直後に左ローを蹴ったのはレイエス。ワイドマンは大きく弧を描くように後方へステップして距離を取る。レイエスはケージ中央からジリジリと前進して左ミドル。ブロックしたワイドマンはタックルからボディロックしてテイクダウンに成功する。

 ケージに背をつけながらすぐに立ち上がるレイエス。ワイドマンは1分ほど組みとタックルで粘るが、テイクダウンできないとみていったん離れる。するとほどなく、右ストレートを伸ばしてきたワイドマンに対し、レイエスがバックステップからの左ストレートをカウンターでヒット。ダウンしたワイドマンはマットに背をつけた状態で足をばたつかせて追撃を防がんとするが、リーチのあるレイエスに右の鉄槌を3発届かせられると、ぐったりとなった。

 レイエスが1R1分43秒TKO勝ちで快進撃の勢いをみせつけ、通算戦績を12戦全勝へと更新。試合後には「ヘイ、ジョン。俺はパーティー・フェイバー(パーティーでゲストに配る記念品)はいらないぜ。欲しいのはそのベルトだ。レッツ・ゴー」と、王者ジョン・ジョーンズ(アメリカ)に対戦をアピールした。

 一方、階級転向初戦であっけなく敗れてしまったワイドマンだが、試合後は「ここまで自分を応援に来てくれたみんなに、勝利を届けられなかったことを謝りたい。俺たちのいる世界はこういうものだ。また今よりも良くなって戻ってくる」と、再起を誓っている。


▼セミファイナル フェザー級 5分3R
○ヤイール・ロドリゲス(27=メキシコ/同級7位)
判定3-0 ※29-28、29-28、29-28
×ジェレミー・スティーブンス(30=アメリカ/同級8位)

 両者は今年9月、メキシコシティで開催された『UFC Fight Night 159(or UFC on ESPN+ 17)』のメインイベントで対戦。試合は1R開始わずか15秒、ロドリゲスの偶発的なアイポークによりスティーブンスが戦闘不能に陥り、ノーコンテストで幕切れとなった。

 ロドリゲスの母国凱旋を待ち望んでいた観客はオクタゴンに物を投げ込むなど怒り露わ。そして選手2人も大会後にホテルで小競り合いを起こし、遺恨へと発展することに。そして今大会で即再戦が組まれる運びとなった。

 ロドリゲスはテコンドー仕込みの華麗な足技とヒジを使った打撃を武器に活躍中で、特に注目を集めたのは昨年11月の『UFC Fight Night 139』。1年6カ月ぶりの復帰戦にして再起戦ながら、メインイベントでジョン・チャンソン(韓国)と壮絶な打撃戦を繰り広げてみせ、最後は飛び込んできた相手のパンチをしゃがんでかわしながら、ヒジを後方に引き上げてアゴを打ち抜くという離れ技を5R残り1秒で見事に決め、場内総立ちとなるKO勝利を飾った。

 対するスティーブンスは元UFC世界バンタム級王者ヘナン・バラオン(ブラジル)や元Strikeforce世界ライト級王者ギルバート・メレンデス(アメリカ)を破っている実力者。現在、3連勝からの2連敗という状況だ。

 1R、ロドリゲスはグローブを合わせることなく、スティーブンスの顔面目がけていきなり飛び蹴り。これをかわしたスティーブンスが左ジャブを突いて前に出てくると、ロドリゲスは右オーバーハンドをぶつける。さらにスティーブンスの右ローにはバックハンドブローを合わせにいくロドリゲス。直後に両者が組み合ったところで、開始早々の打撃戦がいったん落ち着く。

 しかし、再び距離を取ればロドリゲスがスイッチとフットワークを駆使しながらの蹴りで主導権を握り、特にサウスポーからの左ミドルが快音を鳴らす。他にもロドリゲスがみせたのは、関節蹴り、カーフキック、後ろ回し蹴り、二段飛びヒザ蹴り、左ミドルと右ミドルの連続打ち、右ローのフェイントから左ハイの二段蹴りなど。翻弄され続けるスティーブンスは、向きになってワンツーを振るったところで、ロドリゲスに左ストレートを合わされて転倒する場面も。

 2R、開始わずか10秒の間にロドリゲスは旋風脚とカカト落とし。スティーブンスの表情は険しい。さらにロドリゲスは右カーフキックでスティーブンスに体勢を崩させ、すかさずブラジリアンキックのような打ち下ろす右ハイで顔面を狙う。そして試合が大きく動いたのが開始30秒。ロドリゲスは左ミドルを叩き込み、直後に腹を抑えながら後退するスティーブンスを右ローで刈り飛ばす。

 倒れたスティーブンスに対し、拳を握って振り落としまくるロドリゲス。スティーブンスは亀の状態になるなど防戦一方だ。レフェリーに目をやるロドリゲス。ストップはかからない。息切れし始めたロドリゲスはチョークに切り替え。スティーブンスはこれを外し、ロドリゲスの押さえ込みが緩んだところでついに立ち上がる。ロドリゲスの横蹴りに合わせて組みつくスティーブンス。背中を許したロドリゲスは前転からガードポジションに持ち込む。スティーブンスも終了間際、ロドリゲスの立ち際に意地の左フックを連打。これには観客が沸きに沸いた。

 3R、ロドリゲスが右の拳を差し出すが、スティーブンスは首を横に振ってグローブタッチを拒否。再び観客が沸き、「USA」コールお起きる。スティーブンスは構えをスイッチしながらの左右フック。ロドリゲスはサークリングしながら蹴りを散らすが、スティーブンスに左ミドルをキャッチされてテイクダウンを許してしまう。スティーブンスは右の拳を連打で浴びせ、ロドリゲスが立ち上がれば、すぐにまたタックルで2度目のテイクダウン。スティーブンスは最後の逆転にかけ、パウンドとエルボーを懸命に落とし続けたが、ロドリゲスに決定打を見舞うことはできなかった。

 試合終了のホーンが鳴ると、スティーブンスから差し伸べられた手をロドリゲスが握り返し、両者はついに笑顔でハグ。会場は大きな拍手で包まれる。

 判定は1Rと2Rを制したロドリゲスに満場一致で軍配。勝利者コールの後には選手だけでなくチームメイトたちも握手を交わし、遺恨は解消された。

 マイクを向けられたロドリゲスは改めてスティーブンスに感謝の言葉を伝え、試合については「(3Rは)ほとんど寝かされた状態だったから、少し妥協せざるを得なかったが、危険は全く感じていなかった。勝っているのは分かっていたから、しっかりと注意しながらできるだけ安全に試合を運んだんだ」と振り帰った。


▼ヘビー級 5分3R
−グレッグ・ハーディ(アメリカ)
ノーコンテスト
−ベン・ソソリ(アメリカ)

▼ライト級 5分3R
○ジョー・ローゾン(アメリカ)
TKO 1R 1分33秒
×ジョナサン・ピアース(アメリカ)

▼女子フライ級 5分3R
○メイシー・バーバー(アメリカ)
TKO 1R 3分04秒
×ジリアン・ロバートソン(カナダ)

▼ミドル級 5分3R
×デロン・ウィン(アメリカ)
判定1-2 ※28-29、28-29、29-28
○ダレン・スチュワート(イギリス)
※ウィンは規定体重をオーバー、対戦相手のスチュワートに報奨金の20%を支払う。

▼フェザー級 5分3R
○チャールズ・ローザ(アメリカ)
一本 1R 2分46秒 ※腕十字
×マニー・バミューデス(アメリカ)
※バミューデスは規定体重をオーバー。対戦相手のローザに報奨金の20%を支払う。

▼女子フライ級 5分3R
○モリー・マッキャン(イギリス)
判定3-0 ※30-26、30-26、30-26
×ディアナ・ベルビタ(ルーマニア)

▼フェザー級 5分3R
×カイル・ボフニャク(アメリカ)
判定0-3 ※27-30、27-30、26-30
○ショーン・ウッドソン(アメリカ)

▼バンタム級 5分3R
○ランディ・コスタ(アメリカ)
KO 1R 2分15秒
×ボストン・サーモン(アメリカ)

▼ウェルター級 5分3R
×コート・マクギー(アメリカ)
判定0-3 ※28-29、27-30、27-30
○ショーン・ブレイディ(アメリカ)

▼ミドル級 5分3R
○ブレンダン・アレン(アメリカ)
一本 2R 3分38秒 ※リアネイキドチョーク
×ケビン・ホランド(アメリカ)

▼ヘビー級 5分3R
×ダニエル・スピッツ(アメリカ)
判定0-3 ※27-30、27-30、27-30
○タナー・ボーザー(カナダ)