11年前に戦極でプロデビューしたキング・モー。
RIZIN参戦を経て母国Bellatorで引退試合に臨む
 Photos(C)Bellator

 2019年11月8日(金・現地時間)アメリカ・オクラホマ州タッカービルのウィンスター・ワールド・カジノ・アンド・リゾートで開催される『Bellator 233』に、“キング・モー”・ラワル(38=アメリカ)が参戦し、セミファイナルでアンドリュー・カペル(34=アメリカ)を相手に現役ラストマッチを戦う。試合は195ポンド(88.45キロ)契約で行われる。

 モーは今年4月の『RIZIN.15』でRIZINライトヘビー級王座決定戦に出場し、イリー・プロハースカ(チェコ)にTKO負け。昨年5月の『Bellator 199』でライアン・ベイダー(アメリカ)に15秒KO負けした試合(ヘビー級ワールドグランプリ1回戦)から、これで3連敗となり、『RIZIN.15』の試合後会見では年内で現役を退く意向を示していた。

Movie(C)RIZIN FF

 しかし、今年6月に所属ジムのAmerican Top Teamがインスタグラムを通じ、モーの正式な引退を伝える声明を発表。モーも現地メディアの取材に応じ、度重なる負傷とその悪化を理由に引退を決めた旨を明かしていた。ただ、やはり改めて主戦場のケージで現役生活を終えたい、何より勝って終わりたいとの気持ちを強くしたようで、引退試合について再考。Bellatorの発表では今大会がその舞台となるようだ。開催地のオクラホマはモーが大学時代にレスリングに明け暮れた思い出の地でもある。

 対戦相手のカペルはBellator初参戦のファイターで、通算戦績は14勝(3KO・TKO/10SUB)6敗。前戦は今年2月にHFC(Hoosier Fight Club)というローカル大会に出場しており、そこでミドル級王座を獲得している。現在4連勝中と好調のようだ。

 ここからはモーのキャリアと戦歴について簡単に振り返りたい。

石井慧を下したモー。
2016年12月『Bellator 169』にて

 モーはレスリングの84キロ級でアメリカのトップ選手として活躍し、2008年の北京五輪出場を逃したのを機にMMA(総合格闘技)に本格転向。同年9月に日本の戦極でプロデビューを果たし、2009年3月の4戦目までを同団体で過ごしている。

 最初のビッグマッチが訪れたのは2010年4月。ゲガール・ムサシ(オランダ)のStrikeforce世界ライトヘビー級王座に挑戦すると、判定勝ちでベルトを奪取し、初戴冠を果たすことに。だが、同年8月の初防衛戦ではハファエル・カバウカンチ(ブラジル)にTKO負けし、プロ8戦目にして初黒星を喫するとともにベルトを失うこととなった。

ランペイジに2年越しの雪辱を果たしたモー
2017年3月『Bellator 175』にて

 その後、新天地にBellatorを選択し、2013年1月の『Bellator 86』でデビュー。同年11月の『Bellator 106』でエマニュエル・ニュートン(アメリカ)とBellator世界ライトヘビー級暫定王座決定戦を争うも、判定負けで戴冠を逃している。

 そして戦極以来の来日となったのが、2015年末の『RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015』。ヘビー級トーナメントに出場し、初戦でブレット・マクダーミット(イギリス)にTKO勝ち、準決勝でテオドラス・オークストリス(リトアニア)に判定勝ち、決勝では後に再戦するプロハースカにKO勝ちを収め、見事に優勝を飾った。

ベイダーに15秒で敗れたモー
2018年5月『Bellator 199』にて

 しかし、その後は黒星が先行。2016年末には急遽の代役というかたちではあったが、『RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2016』で無差別級トーナメントに出場し、初戦でミルコ・クロコップ(クロアチア)にTKO負け。2017年3月の『Bellator 175』ではクイントン・”ランペイジ”・ジャクソン(アメリカ)に判定勝ちしたが、続く先述のベイダー戦からプロハースカとの再戦まで3連敗となっている。通算戦績は21勝(13KO・TKO/0SUB)9敗1ノーコンテストだ。

 引退試合が決まった際、モーは「レスリングの時は負けて終わった。でも今回は勝って終わりたいんだ。そしてスコット・コーカーの下で、Bellatorでキャリアを終えたい」と、現地メディアにコメント。その言葉通り、今大会で有終の美を飾ることはできるか。