Bellatorメインイベンターとして日本、そしてさいたまスーパーアリーナに帰って来たヒョードルとランペイジ。共にファンのために「美しい試合」を届けたいと思いを語った

 2019年12月29日(日)さいたまスーパーアリーナで開催される『Bellator JAPAN』の出場選手インタビューが、27日(金)都内で実施された。

 メインイベント・第6試合のヘビー級ワンマッチで対戦する元PRIDEレジェンド2選手、エメリヤーエンコ・ヒョードル(43=ロシア)とクイントン・“ランペイジ”・ジャクソン(41=アメリカ)のコメントだ。

■エメリヤーエンコ・ヒョードル
 2000年にRINGSで総合格闘家としてのキャリアをスタートさせ、2006年まで参戦したPRIDEでヘビー級の絶対王者として一時代を築く。当時の異名は“60億分の1の男”や“氷の皇帝”など。マーク・コールマン(アメリカ)、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル)、ミルコ・クロコップ(クロアチア)ら強豪を次々と破っていった。
 その後、アメリカのAfflictionやStrikeforceなどにも参戦し、大晦日には日本のイベントで戦うこともしばしば。2012年に母国ロシアのM-1で行われた試合を最後に引退を表明したが、2015年大晦日のRIZINで3年半ぶりに現役復帰を果たした。2017年からはBellatorを主戦場とし、今年1月のヘビー級ワールドグランプリでは準優勝。通算戦績は38勝6敗1ノーコンテスト(14KO・TKO/15SUB)。

Q. 現在の心境は?

ヒョードル「とても良い気分だ。来日も月曜日だったので十分な時間が取れた」

Q. さいたまスーパーアリーナでの試合についてどう思いますか?

ヒョードル「さいたまスーパーアリーナは世界で最も素晴らしい会場の一つ。ここでまた戦えることを嬉しく思う。特別な場所でもあるので、特別な気持ちで臨みたい」

Q. 試合に向けた対策は?

ヒョードル「作戦については秘密だ。トレーニングには最大限の力を尽くし、スタンドでもグラウンドでもどちらでも対応できるようにしてきた」

Q. 年齢に応じてトレーニング方法を変えたりしていますか?

ヒョードル「昔と同じようにコンディションを保つ努力はしている。ただ年齢的なものは当然感じるし、回復力も若い時ほどではない。でも若い人にはまだ負けない」

Q. Bellatorと新たに3戦の契約を結んだことについては?

ヒョードル「最初の試合は日本ですが、もしかすればこれが日本での最後の試合になるかもしれない。後の2回についてはまだ決まっていない。これからBellatorと話し合う」

Q. この3戦があなたの引退に向けたラストツアーと言われていますが、その後のことについて具体的に考えていることはありますか?

ヒョードル「具体的なことは何も決まっていない。自分がどのように感じるのか、自分の体力はどうなのか、自分と相談してみる」

Q. 日本では最後の試合になるかもしれないとのことですが、思い出すシーンや印象深かった試合はありますか?

ヒョードル「初めて日本に来た時のことは忘れられない。一番思い出に残る試合はアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ戦だ」

Q. 明後日の試合の日は娘さんの誕生日だとうかがっています。どのような勇姿を見せたいと思いますか?

ヒョードル「誕生日を一緒に過ごしたいという気持ちもある。でも今は皆さん共に日本にいる。やはり、見応えのある、美しい試合を見せたいと思っている。対戦相手のランペイジも娘の誕生日が同じだと聞いている。彼も良い試合を見せたいという気持ちは同じだと思う」

■クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン
 2001年からPRIDEに参戦し、2003年のミドル級グランプリで準優勝するなど活躍。首に鎖をぶら下げて遠吠えしながらの入場パフォーマンス、対戦相手をバスターでKOしてしまうパワーから、“怪力U.S.マッド・ドッグ”の異名で人気を集めた。また、当時は同階級の絶対王者に君臨していたヴァンダレイ・シウバ(ブラジル)とのライバル関係もクローズアップされていた。
 2007年にはチャック・リデル(アメリカ)をTKOに下し、UFC世界ライトヘビー級王座を獲得。世界最高峰の舞台で頂点に上り詰めた。2013年からはBellatorを主戦場とし、キング・モー(アメリカ)、石井慧、そして先述のシウバなどから勝利をあげている。通算戦績は38勝13敗(20KO・TKO/4SUB)。

Q. さいたまスーパーアリーナでの試合についてどう思いますか?

ランペイジ「さいたまスーパーアリーナは自分が日本で戦った初めての場所だ。サクラバさん(桜庭和志)と戦って負けてしまったが、自分が刑務所から出た直後という演出でケージに乗せられて降ろされたのは面白かった。日本の皆さんは負けても大きな声援を送ってくれた。

 特に思い出深いのが、(リングから控室に戻る時に)自分の耳にしゃぶりついてきた女性がいたんだ。今この映像を見ているなら名乗り出てほしい。耳が恋しがっている(笑)。とにかくあの場所でまた戦えるのは楽しみだよ」

Q. 対戦相手のヒョードルのことはどう思いますか?

ランペイジ「とても素晴らしい選手だ。本当の意味でのヘビー級は彼が初めてだと思う。自分とはとても良いマッチアップ。拳を交えるのが楽しみだ」

Q. ヒョードルの弱点はどこにあると思いますか?

ランペイジ「聞いてくれ。俺はヒョードルの大ファンだ。自分のお気に入りのファイターの弱点なんて話したくないだろう?ヒョードルに弱点は無い!ラストエンペラーだぞ!大ファン!ワカル?」

Q. ヒョードルvsランペイジは全盛を過ぎた者同士の試合という声もありますが、それに対してどう思いますか?

ランペイジ「関係ないね。確かに全盛は過ぎたのかもしれないが素晴らしい試合をする。それが気に入らないならクソ食らえだ。シバクゾコラ」

Q. ヒョードルは美しい試合を見せたいと言っていましたが、それについてはどう思いますか?

ランペイジ「自分もヒョードルと同感だ。美しい試合を見せたいし、ファンの皆を楽しませたい思っている。一つ言っておきたい。MMAは今本当に発展し、素晴らしい若きアスリート達が切磋琢磨しているが、俺やヒョードルのようなオールドスクールの選手も人気がある。

 若い選手達も俺達を見て育ってきたんだ。そういう基礎を作ってきたという自負がある。今の若い選手を見ていると、ただ勝てば良いと思っているようなふしがあると思う。それだけではつまらない試合になってしまう。年寄りと言われてもファンを楽しませる試合ができるという自負は持っている」

——インタビュー終了後のフォトセッション中、「I’m old, but I’m still gold(俺はオールドだけどまだゴールド=歳はとったがまだ輝いている)」と力こぶを作って見せ、「フォトショップで腹を引っ込めておいてくれよ」と会場の笑いも誘った。