8.21『Bellator 244』のメインはライトヘビー級タイトルマッチ。王者ベイダー(左)がネムコフ(右)の挑戦を受け、2度目の防衛を目指す Photos(C)Bellator MMA

 2020年8月21日(金・現地時間)にアメリカ・コネチカット州アンカスビルのモヒガン・サン・アリーナで開催される『Bellator 244』の対戦カードが、先週7日(金・同)に発表されていたので、遅ればせながらお伝えしたい。

 現在までに明らかになっている全9カードは下部に記載した通り。

 メインイベントはBellator MMA世界ライトヘビー級タイトルマッチで、王者ライアン・ベイダー(37=アメリカ)が挑戦者にワジム・ネムコフ(28=ロシア)を迎え、2度目の防衛戦に臨む。

 この試合は当初、5月に行われる予定であったが、新型コロナウイルスの世界的流行により延期されていたため、今大会で改めて組まれることになった。

 両者の近年の動向・戦歴等について振り返りたい。

ベイダー(左)はBellator史上初の二階級同時覇者。ヘビー級とライトヘビー級のベルトを保持する

 ベイダーはキャリア通算戦績が27勝5敗1ノーコンテスト(12KO・TKO/3SUB)で、このうちUFC戦績が14勝5敗(7KO・TKO/1SUB)、Bellator戦績が5勝1ノーコンテスト(3KO・TKO/0SUB)。

 UFC時代には元UFC世界ライトヘビー級王者ラシャド・エヴァンス(40=アメリカ)、アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ(ブラジル)、オヴィンス・サンプルー(37=アメリカ)ら強敵を破り、ランキングにも名を連ねていた。

 だが、2016年11月の『UFC Fight Night 100』で、ノゲイラに3R・TKO勝ちした試合を最後に、UFCを離脱。フリーエージェントになり、Bellatorを新天地に選択する。

 そして迎えた新天地初戦は2017年6月の『Bellator 180』で、いきなりライトヘビー級タイトルマッチで当時の王者フィル・デイヴィス(35=アメリカ)に挑戦。結果は過去1戦1勝の相手に対し、またもスプリット判定勝ちを収め、新天地でいきなりベルトを巻くことになった。

 同年11月の『Bellator 186』では、リントン・ヴァッセル(37=イングランド)の挑戦を2R・TKOで退け、初防衛にも成功している。

ヘビー級ワールドグランプリ・決勝で、ベイダー(左)はヒョードル(右)をわずか35秒でKOした

 その後は階級を上げ、Bellator MMAヘビー級ワールドグランプリ兼王座決定トーナメントに出場。順当に1回戦と準決勝を勝ち上がり、迎えた昨年1月の『Bellator 214』では、エメリヤーエンコ・ヒョードル(43=ロシア)を相手に決勝を戦い、1R35秒・KO勝利を収め、グランプリ優勝とヘビー級王座の称号、さらにはライトヘビー級と併せて団体史上初の二階級同時戴冠という偉業も成し遂げた。

 前戦は昨年9月の『Bellator 226』で、シーク・コンゴ(45=フランス)の挑戦を受け、ヘビー級王座の初防衛戦に臨んだが、1Rの偶発的アイポークにより挑戦者が続行不能となったため、試合は悔しいノーコンテスト決着だった。

 とは言え、Bellator参戦以来、強豪相手に6戦負け無しという絶好調ぶり。今回はヴァッセル戦以来、2年9カ月ぶりとなる本来のライトヘビー級で、満を持してのV2防衛戦となる。

ヒョードル(左)から祝福を受けるネムコフ(中央)。今回のベイダー戦で先輩の仇を取れるか

 ただ、今回の挑戦者は一筋縄ではいかなそうだ。

 ネムコフはキャリア通算戦績が11勝2敗(8KO・TKO/2SUB)で、このうちBellator戦績が4戦全勝(2KO・TKO/1SUB)、RIZIN戦績が2勝2敗(2KO・TKO/0SUB)。コンバットサンボをベースに持ち、組みの強さはもちろん、打撃によりフィニッシュ率も高い。年齢も28歳と伸び盛りで、ベイダーがこれまで対戦してきた相手よりも若く勢いがあると言える。

 キャリアで喫した2敗はいずれもRIZINのリングだったことも記しておきたい。2015年大晦日のRIZINヘビー級ワールドグランプリ・準決勝で、イリー・プロハースカ(27=チェコ)に1R・TKO負け。翌年のRIZINライトヘビー級ワンマッチで、カール・アルブレックソン(26=スウェーデン)にスプリット判定負けしている。

気迫溢れる表情で拳を振るうネムコフ(奥)

 しかし、この連敗後は破竹の6連勝をマーク。特にBellatorでのここ3戦を振り返ると、2018年2月の『Bellator 194』で、元Bellator MMA世界ライトヘビー級王者リアム・マギリー(37=イングランド)に3R・TKO勝ち、同年11月の『Bellator 209』で、同じく元王者デイヴィスにスプリット判定勝ち、そして昨年10月の『Bellator 230』では、元Bellator MMA世界ミドル級王者ハファエル・カルバーリョ(34=ブラジル)に2R・一本勝ちという戦いぶりだ。

 元王者クラスに連戦連勝という結果。ネムコフは文句無しでライトヘビー級王座次期挑戦権を掴んだのだ。

 共にBellatorでは未だ負け無しの両雄によるタイトルマッチ。ベイダーが若い勢力を跳ね返し、長期政権を築くのか。それとも、成長著しく勢いもあるネムコフが世代交代を果たすか。注目の一戦となる。

王座陥落からの再起戦に臨むバッド(右)

 コーメインイベントでは女子フェザー級ワンマッチが組まれており、前Bellator MMA世界女子フェザー級王者ジュリア・バッド(37=アメリカ)がジェシー・ミーレ(35=アメリカ)と対戦する。

 バッドは今年1月の『Bellator 238』で、最強の挑戦者クリス・サイボーグ(35=ブラジル)に4R・TKO負けし、4度目の防衛ならず王座陥落。今大会で再出発を図る。

 他にも、メインカード(Feature Bout)として、4連敗中のロイ・ネルソン(44=アメリカ)が4連勝中のワレンティン・モルダフスキー(28=ロシア)相手に復活の勝利を目指すというヘビー級ワンマッチも。

泥沼4連敗中のネルソン(左)。強敵モルダフスキー相手に復活の勝利なるか

 また、プレリムには昨年12月の日本大会『Bellator 237』に出場したシドニー・アウトロー(28=アメリカ)が登場。さいたまスーパーアリーナで、マイケル・チャンドラー(34=アメリカ)に1R・KO負けして以来の再起戦に臨む。

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<決定対戦カード>

Main Event
▼Bellator MMA世界ライトヘビー級タイトルマッチ 5分5R
ライアン・ベイダー(アメリカ/王者)
vs
ワジム・ネムコフ(ロシア/挑戦者)

Co-Main Event
▼女子フェザー級 5分3R
ジュリア・バッド(アメリカ)
vs
ジェシー・ミーレ(アメリカ)

Feature Bout
▼ヘビー級 5分3R
ロイ・ネルソン(アメリカ)
vs
ワレンティン・モルダフスキー(ロシア)

Preliminary Bout
▼ミドル級 5分3R
ジョン・サルター(アメリカ)
vs
アンドリュー・カペル(アメリカ)

Preliminary Bout
▼ライト級 5分3R
アダム・ピコロッティ(アメリカ)
vs
シドニー・アウトロー(アメリカ)

Preliminary Bout
▼バンタム級 5分3R
エリック・ペレス(メキシコ)
vs
ジョシュア・ヒル(カナダ)

Preliminary Bout
▼フェザー級 5分3R
ルーカス・ブレナン(アメリカ)
vs
ウィル・スミス(アメリカ)

Preliminary Bout
▼ライト級 5分3R
ウラジミール・トコフ(ロシア)
vs
クリス・ゴンザレス(アメリカ)

Preliminary Bout
▼ライト級 5分3R
ランス・ギブソン・Jr.(カナダ)
vs
シェーン・クルーシュテン(アメリカ)

※カードは予告なく変更となる場合があります。