GLORY世界ライト級王者グレゴリアンが
中国で無敗の挑戦者を迎え撃つ
 Photos(C)GLORY

 2019年11月6日(水・現地時間)GLORY世界ライト級王者マラット・グレゴリアン(28=アルメニア)が同級3位エルヴィス・ガシ(26=アメリカ)の挑戦を受け、2度目の王座防衛戦に臨むことが発表された。

 決戦の舞台は、12月7日(土・現地時間)中国・深セン市の南山文体中心で開催される『GLORY 73: Shenzhen』となる。

 グレゴリアンは世界屈指の実力を誇るライト級(70キロ)キックボクサー。2015年7月に日本の新生K-1で、2018年2月に中国のKunlun Fightで、それぞれ世界トーナメントを制覇し、東アジアでも近年その名をさらに知られるようになった。

 そのグレゴリアンがIt’s Showtimeなどを経て、2012年10月の『GLORY 2: Brussels』から長らくヨーロッパの主戦場としてきたのがGLORYだが、タイトルマッチではことごとくシッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)に阻まれ、なかなかベルトを巻くことができない状況も続いていた。

シッティチャイの左ハイがグレゴリアンに炸裂

 しかし、今年5月の『GLORY 65: Utrecht』で、グレゴリアンは5度目の対戦にしてついにシッティチャイに判定勝ち。相性最悪の相手から初白星をあげるとともにGLORY世界ライト級王座を奪取し、ようやくGLORYで念願の初戴冠を果たすことになった。

 10月の『GLORY 69: Dusseldorf』では、期待の新星ティジャニ・ベズタティ(モロッコ)の挑戦を判定勝ちで退け、初防衛に成功。通算戦績を62勝(35KO・TKO)11敗1ノーコンテストとし、シッティチャイを除けば、やはりその強さは他のトップ選手たちと比べて現在も頭一つ二つ抜きん出ていると言える。

23戦全勝のガシ

 そんなグレゴリアンに今回挑むのは、23戦全勝(11KO・TKO)の通算戦績を持つ無敗の男ガシだ。

 ガシはコソボ北西部の都市ペヤに生まれ、紛争を機にベルギーに移住。そこからアメリカに渡り、ニューヨークを拠点にキックボクサーとしてのプロキャリアを本格的にスタートさせたという過去を持つ。アマチュア時代には107勝3敗の通算戦績を残しているという。

 GLORY初参戦は2017年7月の『GLORY 43: New York』で、いきなりシッティチャイやジョルジオ・ペトロシアン(イタリア)とも拳を交えた強敵ジョシュ・ジョンシー(カナダ)と対戦。前半はやや固さもあって押され気味になるものの、2R終盤にサウスポーの構えから繰り出す強烈な左の拳でビッグヒットを重ね、KO勝ちで堂々のデビューを飾った。

 そしてデビュー4連勝で臨んだ今年7月の『GLORY 67: Orlando』では、当時GLORY世界ライト級6位の実力者ジャスティン・ホウトン(アメリカ)と対戦。試合はガシがグローブタッチ直後に1発目の左ミドル、そして10秒ほど置いてさらに強烈な2発目の左ミドル——ホウトンをわずか23秒で悶絶させ、KO勝ちでデビュー5連勝を決めている。

Movie(C)GLORY

 とはいえ、ガシにとってグレゴリアンは過去最強の相手。また、ガシはこれまで試合の多くをアメリカで戦ってきたが、グレゴリアンは中国での試合経験も豊富だ。ラウンド数も3Rのワンマッチとは異なりタイトルマッチは5Rある。厳しい戦いがガシを待ち受けているかもしれない。

 果たして、ガシは負け知らずの勢いをもってしてビッグアップセットを起こせるか。それとも、グレゴリアンが前回の初防衛戦と同様、盤石の戦いぶりでベルトを守ることになるのか。勝負の行方やいかに。

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