2019年12月21日(土・現地時間)オランダ・ヘルダーラント州アルンヘムのヘルレドームで開催される『GLORY: COLLISION 2』に、シュートボクサーとして日本で活躍したザカリア・ゾウガリー(25=モロッコ)が参戦し、エイサー・テン・パウ(30=アメリカ)とフェザー級ワンマッチで対戦することがGLORYのSNSで発表された。
ザカリアは2014年から2017年にかけてシュートボクシング(SB)に参戦し、“爆弾小僧”の異名で活躍した選手。海人、鈴木博昭、宍戸大樹、タップロン・ハーデスワークアウト(タイ)といった実力者たちから勝利をあげ、SBの世界トーナメント「S-cup」では2014年に準優勝、2016年には優勝の実績を残した。
ファイトスタイルはアグレッシブで、強力なパンチのコンビネーションをまとめつつ、飛びヒザ蹴り、バックハンドブロー、バックスピンキックといった技で相手の意表を突くことが得意。特に二段式の飛びヒザ蹴りを多用し、2015年5月にRISEで裕樹を、2016年3月にNO KICK NO LIFEで水落洋祐を、いずれもTKOに仕留めたのもこの技だった。
現在の主戦場であるGLORYでもそのファイトスタイルは健在。1年ぶりの復帰戦となった今年10月の『GLORY 70: Lyon』では、野扖正明に判定勝ちしたことがある強豪アブデラ・エズビリ(フランス)を二段飛びヒザ蹴りからの左右フックで1RKOに下している。GLORY戦績は4勝(1KO・TKO)2敗。通算戦績は32勝(16KO・TKO)5敗1分。GLORYフェザー級4位にランクインしている。
対するテン・パウはGLORYで現在までに6戦全勝(1KO・TKO)の戦績をマークしている新鋭。通算戦績は11勝(5KO・TKO)1敗で、GLORYフェザー級6位にランクインしている。昨年はGLORYの「ニューカマー・オブ・ジ・イヤー」にも選ばれ、今後の活躍が期待されているところだ。
ベースは散打、ムエタイ、ボクシング。アマチュアボクシングでゴールデングローブのフロリダ州王者に輝いた実績を持つ。ジャブとワンツーを上下に散らしながら、しっかりと踏み込んで狙う右ストレートと右オーバーハンドが特に強烈。また散打仕込みの蹴りも得意としており、パンチに右ローを混ぜて削りつつ、カカト落とし、飛びヒザ蹴り、バックスピンキックといった大技も狙う。
飛びヒザ蹴りや回転系の技を多用するのはテン・パウとザカリアの重なるところだが、やはり一瞬の爆発力とパワーでは後者の方が強力。テン・パウはこれまでの試合で3Rに失速することもあったため、経験豊富なザカリア相手にそれがどう出るかも気になるところか。
その経験というところでみると、テン・パウはこれまでGLORYで6戦全勝の戦績とはいえ、ランキングのトップ10選手との試合は未経験だが、ザカリアはGLORYでの6戦のほとんどがランカーとの試合で、2017年12月の『GLORY 49: Redemption』に至っては、GLORY世界フェザー級王者になる前のペットパノムルン・キャットムーカオ(タイ)とも拳を交えている(ペットパノムルンが左ハイでザカリアを3R失神KO)。テン・パウにとってザカリアは過去最強の敵ということだ。
熾烈なフェザー級戦線では王者ペットパノムルンを頂点に、ケビン・ヴァン・ノストランド(アメリカ/同級1位)、セルゲイ・アダムチャック(ウクライナ/同級2位)、アレクセイ・ユリアノフ(ロシア/同級3位)、アンバー・ボイナザロフ(ウズベキスタン/同級5位)らが続き、成長著しいエイブラハム・ヴィダレス(メキシコ/同級9位)もいる。
11月22日(土・同)アメリカ・イリノイ州シカゴのウィントラスト・アリーナで開催される『GLORY 72』では、ペットパノムルンvsヴァン・ノストランドのタイトルマッチに加え、アダムチャックvsヴィダレスのワンマッチも組まれたが、特にヴィダレスはGLORY5戦目で元王者とのマッチアップとなり、期待を寄せらていることがうかがえる。
もちろん、同級4位のザカリアと同級6位のテン・パウも今回の対決に勝利すれば、今後のタイトル戦線に絡むことは間違いなさそうだ。テン・パウにとっては過去最強の相手に真価が問われる一戦。そしてすでに現王者と拳を交えているザカリアにとっては、11月の防衛戦の結果次第でもあるが、来たるべきリベンジに向けてしっかりとアピールに繋がる内容でクリアーしたい一戦と言える。
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