2.29『GLORY 75: Utrecht』のメインイベントはGLORY世界フェザー級タイトルマッチ。王者ペットパノムルンが同級1位アダムチャックの挑戦を受け、4度目の防衛戦に臨む。両者はこれが3度目の対戦。過去2戦はペットパノムルンが勝利している Photos(C)GLORY Sports International

 2020年2月29日(土・現地時間)オランダ・ユトレヒト州ユトレヒトのセントラル・スタジオで開催される『GLORY 75: Utrecht』の対戦カードが発表されている。

 メインイベントはGLORY世界フェザー級タイトルマッチ。王者ペットパノムルン・キャットムーカオ(24=タイ)が同級1位セルゲイ・アダムチャック(29=ウクライナ)の挑戦を受け、4度目の防衛戦を戦う。

 両者はこれが3度目の対戦。1度目は2017年3月の『GLORY 39: Brussels』で行われたコンテンダートーナメント、2度目は昨年2月の『GLORY 63: Houston』で行われたGLORY世界フェザー級タイトルマッチ(ペットパノムルンの初防衛戦)で、いずれもペットパノムルンが勝利している。

ペットパノムルン伝家の宝刀、左ミドルがヒット

 ペットパノムルンはムエタイ選手として母国タイのルンピニスータジアムやラジャダムナンスタジアムでキャリアを積み、サムエー・ガイヤーンハーダオ、セクサン・オー・クワンムアン、ペットモラコット·ペッティンディーアカデミー、チャムアトーン・ファイタームエタイを破るなど活躍。2016年頃からGLORYを主戦場にキックボクサーとしての活動も始めた。 

 2017年5月の『GLORY 41: Holland』で初めてGLORY世界フェザー級タイトルマッチを戦い、当時の王者ロビン・ファン・ロスマレン(オランダ)に判定負け。その後、ロスマレンの負傷離脱の間に暫定王座に就くと、迎えた2018年9月の『GLORY 59: Amsterdam』で、GLORY世界フェザー級王座統一戦へと臨み、ロスマレンに判定勝ちを収めて王座統一を果たした。

 現在までにアダムチャック、アンヴァー・ボイナザロフ(ウズベキスタン)、ケヴィン・ヴァン・ノストランド(アメリカ)の挑戦を退け、3度の防衛に成功。前戦はヴァン・ノストランドと昨年11月の『GLORY 72: Chicago』で戦い、苦戦を強いられながらも判定1-0のマジョリティー・ドローにより、王座を死守している。GLORY戦績は10勝1敗1分(2KO・TKO)。

アダムチャックは昨年11月の『GLORY 72: Chicago』で、無敗の新星エイブラハム・ヴィダレスをTKOに下し、プロ初黒星を与えた

 対するアダムチャックはGLORY参戦当初からフェザー級のタイトル戦線に絡む活躍を続け、一度ベルトを巻いたこともある選手だ。

 2015年6月の『GLORY 22: Lille』でGLORYに初参戦し、この時は適正階級よりも一つ重いライト級で、あのマラット・グレゴリアン(アルメニア)に判定勝ち。続く同年11月の『GLORY 25: Milan』で本来のフェザー級に戻し、GLORY2戦目ながら早くもタイトルマッチに臨むことになり、当時の王者ゲイブリエル・ヴァーガ(カナダ)に判定勝ちし、初戴冠を果たした。

 同王座は2016年7月の『GLORY 32: Virginia』でヴァーガに判定負けでリベンジを許し、2度目の防衛戦で失っている。だが、その後も戴冠こそ逃しているがGLORYでは2度のタイトルマッチを経験。最近も成長著しいエイブラハム・ヴィダレス(メキシコ)とアレクセイ・ウリアノフ(ロシア)を相手に中1カ月足らずで連戦連勝し、タフな鉄人健在ぶりを示している。GLORY戦績は12勝6敗(1KO・TKO)。

 アダムチャックは過去2戦2敗のペットパノムルンに対し、三度目の正直を起こせるか。

 また、ウェルター級ワンマッチとして、同級3位ハミシャ(23=モロッコ)vs同級4位ディミトリ・メーンシコフ(21=ロシア)のホープ対決も組まれた。

中国のKunkun Fightを主戦場としながら日本で試合に出場したこともあったハミシャ。その強打はGLORYのリングでも健在だ

 ハミシャ(本名はモハメド・メゾアリ)は2016年から1年半ほど中国のKunlun Fightでトーナメントに参戦し、ズィアニス・ズエフ(ベラルーシ)、アルテム・パシュポリン(ロシア)、ダニロ・ザノリニ(ブラジル)を破るなど活躍。19歳の時にシッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)、21歳の時にはマラット・グレゴリアン(アルメニア)とも拳を交えた(いずれも判定負け)。

 来日経験もあり、2016年3月にREBELSのリングで日菜太からダウンを奪って判定勝ち、同年8月にはREBELSとKunlun Fightの合同興行でデヴィッド・ルイズ(スペイン)に2RKO勝ちしている(当時のリングネームはハミシャ・モーチェ)。

 GLORY初参戦は2018年12月の『GLORY 62: Rotterdam』で、マイルズ・シムソン(スリナム)に1RKO勝ち。2戦目は昨年6月の『GLORY 66: Paris』で、アダム・ハッドフィールド(イギリス)に1RTKO勝ちしている。

 攻撃がいずれも強力なのだが、特にパンチのコンビネーションの中で効かせる左ボディ、そして仕留める時の左右ハイは見応え十分だ。通算戦績は38勝2敗(28KO・TKO)。  

 対するメーンシコフもGLORYで3試合連続KO・TKO勝利中。初参戦は2018年10月の『GLORY 60: Lyon』でサミュエル・ディビリ(フランス)に1RTKO勝ち、2戦目は同年12月の『GLORY 62: Rotterdam』でロビー・ハグマン(オランダ)に1RKO勝ち、そして3戦目は元タイトルコンテンダーのヨアン・コンゴロ(スイス)に2RTKO勝ちしている。

メーンシコフは削られても喰らっても忍耐強くジリジリと圧をかけ続け、最後は強力な拳と膝で試合を決めてきた

 パンチで早々にフィニッシュすることもあれば、相手にローで削られても忍耐強く前に出続け、左右フックと膝蹴りで試合を引っくり返してまうこともあるという、タフさと豪快さが持ち味だ。通算戦績は23勝2敗(18KO・TKO)。 

 近年のGLORYウェルター級は王者セドリック・ドゥンベ(フランス)、同級1位マーテル・グローエンハート(オランダ)、同級2位ハルート・グレゴリアン(アルメニア)の三強体制。ハミシャ対メーンシコフの勝者は次戦でこのトップ3と拳を交えることになりそうだ。

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Main Event
▼GLORY世界フェザー級タイトルマッチ 3分5R
ペットパノムルン・キャットムーカオ(タイ/王者)
vs
セルゲイ・アダムチャック(ウクライナ/同級1位/挑戦者)

▼ウェルター級 3分3R
ハミシャ(モロッコ/同級3位)
vs
ディミトリ・メーンシコフ(ロシア/同級4位)

※戦績・国籍はGLORY公式ページと統一しています。