ボクシングのミクロネシア連邦代表として2016年リオ五輪に出場したジェニファー・チエン。Invicta FCでMMAデビュー2戦目に臨む ※写真は選手の許可を得て使用しています。

 ボクシング女子のミクロネシア連邦代表として2016年のリオ五輪に出場したジェニファー・チエン(34=ミクロネシア連邦)が、アメリカの女子総合格闘技団体「Invicta FC」に初参戦する。

 チエンが出場するのは、現地時間2020年9月17日(木)にカンザス州カンザスシティで開催される『Invicta FC 42』。MMA(総合格闘技)デビュー2戦目として、フロール・ハニ(33=ポリネシア)とのストロー級ワンマッチに臨む。

 チエンはアメリカのメリーランド州で生まれ、4歳の時に父親の故郷であるミクロネシア連邦に移住(母親はフィリピン出身)。そこでしばらく暮らした後、今度は高校進学のためにハワイへ移る。さらにそこからニューヨークの大学へ進学。卒業後は金融業界に進み、ピッツバーグとニューヨークを拠点に生活してきた。

 格闘技に没頭するようになったのは大学卒業後、2008年にボクシングを本格的に始めてからだ。その後、女子ボクシングが2012年のロンドン五輪で正式種目として採用されると、チエンは2016年のリオ五輪出場という大きな目標を掲げる。

 2013年にはミクロネシア連邦がボクシングの国内競技連盟(FSM Boxing Association)を設立。チエンは連盟からのオファーもあり、自身のルーツであるミクロネシア連邦の代表として五輪出場を目指すことになった。

 ニューヨークの名門「Gleason’s Gym」でトレーニングに励み、2014年にUSAボクシング・メトロポリタン・チャンピオンシップ優勝、2015年にはニューヨーク・ゴールデングローブ優勝、パシフィックゲームズ(南太平洋諸国が参加する総合競技大会)金メダル獲得などの結果を残す。そして迎えた2016年、念願のリオ五輪に主催者推薦枠で出場を果たすことになった。

 開会式では5名から成るミクロネシア連邦選手団の旗手を務めるなど、代表の顔として活躍。試合は女子ライト級(57〜60kg)の1回戦で敗退となったが、連邦初の五輪女子ボクサーとしてその名を歴史に刻んだ。

 そんなチエンはリオ五輪出場から間もなく、次なる挑戦としてMMAを志す。

 すでに2015年頃からムエタイと柔術のレッスンを受けていたチエンは、アマチュアMMA大会出場を経て、2018年10月の『Bellator 208』でMMAプロデビュー。ストロー級ワンマッチで、同じくプロデビュー戦の相手に1R・TKO勝ちし、初陣を飾ることとなった。

 それから1年11カ月の時を経て、Invicta FCで迎えるMMA2戦目。トレーニングの拠点はニューヨークの「Renzo Gracie Academy」であったが、コロナ禍のロックダウンを機にニュージャージーの「MK Muay Thai」に移している。

 対戦相手のハニはフランス領ポリネシアにルーツを持ち、現在はアメリカ・カリフォルニア州アーバインを拠点としている選手だ。MMA戦績は2勝1敗。チエンは2013年にボクシングのリングでハニに敗れており、MMAで7年ぶりのリベンジマッチとなる。

 なお、チエンはボクシングで東京五輪出場も目指しているとのこと。今年3月に出場した五輪アジア・オセアニア予選(ヨルダン・アンマン)は1回戦敗退。当初は5月の世界最終予選(フランス・パリ)から再度、五輪出場権獲得を目指す予定であったが、同予選は新型コロナウイルスの影響により延期となっている。ボクシングとMMAの二刀流での挑戦だ。

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<対戦カード>

Main Event
▼Invicta FC世界アトム級タイトルマッチ 5分5R
アシュリー・カミンズ(アメリカ)
vs
アリーシャ・ザペテラ(アメリカ)

Co-Main Event
▼バンタム級 5分3R
リサ・ヴァーゾサ(アメリカ)
vs
ラケル・カヌート(アメリカ)

▼ストロー級 5分3R
ジェシカ・デルボニ(ブラジル)
vs
ヘリカ・ティブルシオ(ブラジル)

▼フライ級 5分3R
ヴィクトリア・レオナルド(アメリカ)
vs
リズ・トレーシー(アメリカ)

▼バンタム級 5分3R
オータム・ノートン(アメリカ)
vs
ブリトニー・クラウディー(アメリカ)

▼ストロー級 5分3R
ジェニファー・チエン(ミクロネシア連邦)
vs
フロール・ハニ(ポリネシア)

※カードは当日までに変更となる場合があります。