鋭いパンチでセンマニー(右)を脅かすクラップダム(左) Photos(C)ONE Championship

 2020年8月21日(金・現地時間)、タイ・バンコクのインパクトアリーナで事前開催・収録されていた『ONE: NO SURRENDER Ⅲ』が配信されました。以下、試合レポート・結果です。なお、今大会の闘技場にはケージではなく、リングが使用されています。

Main Event
▼ムエタイ バンタム級(65.8kg)トーナメント・準決勝 3分3R
×センマニー・クロンスアンプルリゾート(23=タイ)
KO 1R 2分45秒
○クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(21=タイ)
※クラップダムがトーナメント決勝進出。

勝利後も表情を崩すことなく貫禄たっぷりの21歳クラップダム

 ONE Super Seriesムエタイ世界バンタム級王者ノンオー・ガイヤーンハーダオ(33=タイ)への挑戦権を懸け、4選手が争うトーナメント。センマニーとクラップダムの両雄が決勝進出を争う。

 先に行われた準決勝のもう一試合では、セーマペッチ・フェアテックス(26=タイ)がロドレック・PK・センチャイムエタイジム(30=タイ)に判定勝ちし、決勝へと駒を進めた。セーマペッチと後日対戦することになるのはセンマニーか、クラップダムか。

 センマニーは15歳でルンピニースタジアムのミニフライ級、ラジャダムナンスタジアムのライトフライ級・フライ級・スーパーフライ級を制覇するなど活躍。“近代ムエタイの最高傑作”とも呼ばれるトップスター選手だ。

 対するクラップダムもルンピニースタジアムのライト級・スーパーライト級で頂点に立ったトップクラスの選手。ライト級王座戴冠の地は日本で、2018年2月の『REBELS.54』を舞台に梅野源治(31)と同スタジアム認定王座決定戦を争い、4R・TKOで勝利している。

 選手はオープンフィンガーグローブ着用で試合に臨む。

 1R、構えは両者共にサウスポー。クラップダムはセンマニーの左ミドルをブロックすると、右ジャブで間合いを測って右アッパーからの左ストレートを一気に振るう。クラップダムの拳が早速、センマニーの顔面をかすめる。

 今度はセンマニーの左ハイに対し、クラップダムが左フック、右アッパー、左ストレートの高速三連打。センマニーもこれを瞬時にかわし、左のカウンターを合わせにいく。両者の拳が交錯する。

 以降もセンマニーが左の蹴りを散らし、クラップダムがパンチを合わせにいく展開。センマニーの鋭い左ローにクラップダムは時おり体を傾ける。そして迎えた残り時間20秒。衝撃の結末が訪れた。

 センマニーの左ローをキャッチし損ねたクラップダムだが、すぐに右ジャブから間合い縮め、またも左フック、右アッパー、左ストレートの三連打。クラップダムの左拳は見事に決まり、センマニーをマットに大の字とした。

 クラップダムが鮮烈KO勝ちでトーナメント決勝に進出。セーマペッチと優勝を争うことになった。


▼ムエタイ アトム級(52.2kg) 3分3R
○マリー・ルーメット(20=エストニア)
判定3-0
×Little Tiger(37=日本)

ルーメット(右)のダイナミックな膝蹴りに崩されるLittle Tiger(左)

 Little Tiger(リトル・タイガー/本名は宮内彩香)はこれまでにWPMF(世界プロムエタイ連盟)、WMC(世界ムエタイ評議会)、J-GIRLS(J-NETWORKの女子プロキックボクシング大会)などで戴冠歴を持つ実力者。昨年10月に行われたONEの人材育成・発掘大会『ONE WARRIOR SERIES』では、サンドラ・ゴドヴィク(34=スウェーデン)に判定負けしたが、今大会でONE本戦デビューを果たすことになった。

 練習拠点をタイに置くTigerだが、対戦相手のルーメットも同様。こちらもムエタイの本場で経験を積み、今大会でONE本戦デビューとなる。

 体格差が見て取れる両者だが、前日計量で49.35kgだったTigerに対し、ルーメットは51.6kg。身長もTigerの157cmに対し、ルーメットが167cmとなる。

 1R、サウスポーに構えたTigerはグローブタッチ直後に左インロー。オーソドックに構えたルーメットもすぐに右ミドルから右ストレートを打ち下ろす。さらにルーメットはTigerを首相撲に捕らえて崩し、膝蹴りと肘打ちの連続攻撃を展開。Tigerはルーメットのパワーとリーチに苦しみ、終盤には左目の下を腫らしてドクターチェックを受けることに。

 2R、なんとか拳を届かせんと踏み込むTigerに対し、左の前蹴りで顔面を突き上げたルーメット。Tigerはルーメットの右ミドルをかわして左ローを返し始めるが、首相撲で崩されてしまう。ルーメットの右ストレートと右ミドルのコンボはなおも強烈。Tigerはブロックのたびに体が一瞬浮き上がる。

 3R、ルーメットは右ミドル、左の前蹴り、右ストレートを駆使し、Tigerが間合いを詰めてくれば首相撲に捕らえて試合を支配。Tigerは左ミドル・ハイを返し、なんとか拳を届かせんとパンチを連打するも打開ならず。Tigerはルーメットに完封され、判定3-0で敗れることとなった。


▼総合格闘技 フェザー級(70.3kg) 5分3R
○シャノン・ウィラチャイ(31=タイ)
判定2-1
×ファビオ・ピンカ(36=フランス)

ウィラチャイ(上)にパウンドを落とされるピンカ(下)

 ピンカはラジャダムナンスタジアム、Lion Fight、Nuit des Champions、ISKA(国際競技空手協会)とWBC(世界ボクシング評議会)のムエタイ部門などで戴冠歴がある立ち技のビッグネーム。これが総合格闘技デビュー戦となる。

 対戦相手のウィラチャイは2012年からONEにレギュラー参戦を続けているが、2018年7月の青木真也(37)戦で1R・KO負けして以来、4連敗中だ。

 1R、ピンカはウィラチャイに右ミドルをキャッチされて組みつかれるが、コーナーとロープを背にテイクダウンを回避。ピンカは左右ローでウィラチャイの前足を巧く削るが、終了直前に自らの左ハイで転倒し、パウンドを連打されてしまう。

 2R、ピンカはウィラチャイの左ハイをかわすが、直後にバックハンドブロー強襲を喰らってダウン。ウィラチャイもここで仕留めることができず、立て直したピンカに左右ローを蹴られて動きを止める場面も。

 3R、ウィラチャイのタックルには腰を落として対処したピンカ。ウィラチャイは右フックを振るい、ピンカの左目付近から出血させる。ピンカは左右ローでウィラチャイの足を止めるが、一転攻勢という展開にまでは持ち込むことができず。結果は判定2-1でウィラチャイに軍配となった。


Co-Main Event
▼ムエタイ フライ級(61.2kg) 3分3R
○モンコルペット・ペッティンディーアカデミー(タイ)
判定3-0
×ソク・ティー(カンボジア)

▼ムエタイ ストロー級(56.7kg) 3分3R
○ワンダーガール・フェアテックス(タイ)
KO 1R 1分21秒
×ブルック・ファレル(オーストラリア)

▼総合格闘技 フェザー級(70.3kg) 5分3R
○ベン・ロイル(イギリス)
TKO 3R 3分27秒
×クインティン・トーマス(アメリカ)