▼ウェルター級 3分3R
○トロイ・ジョーンズ(31=アメリカ/GLORY世界ウェルター級5位)
TKO 1R 2分28秒
×アマリ・ディエドリック(24=イギリス)

ウェルター級の不敵な新星ジョーンズ

 ジョーンズは昨年3月の『GLORY 52: Los Angeles』からGLORYに参戦し、現在まで3戦全勝と好調のホープ。通算戦績は12勝(10KO)1敗で、高いKO率を誇っている。

 対するディエドリックはイギリスで開催された8人制の「ROAD TO GLORY トーナメント」を勝ち抜き、GLORYと契約。今年5月の『GLORY 65: Utrecht』で初参戦・初勝利をあげている。通算戦績は19勝(5KO)7敗。

 1R、サウスポーに構えて右の前蹴りをコツコツと当てるディエドリックに対し、オーソドックスのジョーンズが鋭い左ジャブから右アッパーや右ハイへと繋げる攻撃。オーソドックスに切り替えたディエドリックは、ガードを高く保ちながら左インローを返すが、ジョーンズにワンツーから強烈な左ボディを打ち込まれると、その場にしゃがみ込んでしまう。ジョーンズが先制のダウンを取る。

 立ち上がったディエドリックは前蹴りを放つものの、すぐにコーナーへと追い込まれ、ジョーンズの右ボディストレートを被弾して2度目のダウン。ディエドリックはガードを固めてなんとか耐え抜かんとするが、ジョーンズにパンチ連打から飛びヒザ蹴りを突き刺され、3度目のダウンを喫した。

 ジョーンズが1R内に3度のダウンを奪い、しっかりと強打者ぶりを見せつけてのTKO勝ち。4連勝をマークしたジョーンズは満足気に試合を振り返り、「どんな相手が用意されても俺は倒す準備ができている」と自信たっぷりな言葉を残した。


▼ライト級 3分3R
○ジョシュ・ジョンシー(26=カナダ/GLORY世界ライト級5位)
判定3-0 ※29-27、29-27、29-27
×ロラント・ネルソン(29=南アフリカ)

 ジョンシーは2014年5月の『GLORY 16: Denver』からGLORYに参戦し、ジョルジオ・ペトロシアン(アルメニア)やシッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)とも拳を交えてきたライト級のトップ選手。昨年11月の『GLORY 61: New York』で、当時シッティチャイが保持していたGLORY世界ライト級王座に挑戦するも、判定負けで初戴冠を逃した。今年5月の『GLORY 65: Utrecht』でも新星ティジャニ・ベズタティ(モロッコ)に判定負けし、今大会で連敗脱出を目指す。

 対するネルソンは昨年8月の『GLORY 56: Denver』からGLORYに参戦。2連勝をあげて好スタート切ったが、今年2月の『GLORY 63: Houston』で、巌流島にも参戦したジャン・ウェンシェン(中国)に判定負け。ジョンシーと同じく、今大会で再起を図る。

 1R、構えは両者ともにオーソドックス。序盤はリング中央に入ったネルソンに対し、ジョンシーはリング際を右方向へ移動しつつ、軽快なフットワークで鋭い左ジャブと左インローを当てていく。一方のネルソンはパンチのコンビネーションを返しながら、ジョンシーがガードを固めたところで右ローを叩き込む。

 ジョンシーは軸足払いのようなかたちで右ローを蹴り、ネルソンが倒れまいと踏ん張るとすかさず左フック。ジョンシーは左ハイと右ローも快音を鳴らす。ネルソンも負けじとパンチを連打しながら前に出るが、ジョンシーはブロッキングとスウェーバックで当てさせない。パンチが大振りになってきたネルソンは、終了間際にジョンシーの飛びヒザ蹴りを危うく被弾しかけた。

 2R、ネルソンは表情と動きからダメージがうかがえるが、それでもパンチで仕掛けて右ハイと右ローまで懸命に繋げる。ジョンシーは左ハイ、左の前蹴り、左ローを飛ばして牽制し、ネルソンが向かってくるとヒザ蹴りで迎え撃つ。

 すると50秒が経過したところで試合が動く。ジョンシーの左インローにネルソンが前足を上げて反応。ここで両腕が下がったネルソンの顔面目がけ、ジョンシーが電光石火のヒザ蹴りを打ち抜く。ネルソンは後方に倒れ、ジョンシーが先制のダウンを取る。

 立ち上がったネルソンに対し、ジョンシーは左右ハイを浴びせ、再度の飛びヒザ蹴りから今度はパンチのラッシュで一気にフィニッシュを狙う。しかし、打たれ強いネルソンは右アッパーを返し、クリンチしながらのヒザ蹴り連打で応戦。両者のパンチが激しく交錯する展開となった。

 3R、ネルソンはガンガン間合いを詰め、パンチの仕掛けからヒザ蹴り。ジョンシーは巧く間合いを保ちながら要所ではしっかりとブロッキングし、ネルソンにクリーンヒットを許さない。

 リーチで勝るジョンシーは左ジャブとワンツーを突き、左右ロー&ハイ、さらには後ろ回し蹴りも飛ばす。ネルソンは終了間際に意地の猛攻で飛びヒザ蹴りと左フックを当てるが、劣勢を挽回するまでには至らず。ジョンシーがダウンを奪うなどしっかりと実力差をみせ、判定3-0で勝ち名乗りを受けた。

 試合後、ジョンシーは笑顔で勝利者インタビューに臨み、「タフな相手だということは分かっていたよ。頭が石のように硬いね。2Rのヒザ蹴りで終わったと思ったんだが、そうはいかなかった。インローからのヒザ蹴りは狙っていたんだ。でも、それ以外はあんまり納得がいく出来ではなかった」と試合を振り返った。

 そして、「バンクーバーでプロキックボクシングが合法化されているんだ。とてもとてもとてもエキサイティングなことだよ。GLORYがバンクーバーに来てくれるのが楽しみだ。GLORY、頼むよ!俺にタイトルマッチを戦わせてくれ!」と、バンクーバーでの大会開催とタイトルマッチの実現を猛アピールした。


▼セミファイナル フェザー級 3分3R
○エイサー・テン・パウ(29=アメリカ/GLORY世界フェザー級6位)
判定3-0 ※29-28、29-28、29-28
×ベイリー・サグデン(21=イギリス)

右ローで攻めるテン・パウ(右)

 テン・パウはGLORY初戦となった昨年7月の『GLORY 55: New York』から5戦全勝と快進撃を続ける新鋭。今回は地元マイアミへの凱旋試合だ。通算戦績は10勝(5KO)1敗。

 対するサグデンは2017年7月の『GLORY 43: New York』でGLORY初参戦。2連勝で迎えた昨年3月の『GLORY 52: Los Angeles』では、シュートボクシングのS-cup65kg世界トーナメント2016優勝者ザカリア・ゾウガリー(オランダ)と拳を交えたが、ダウンを奪われ判定負けとなった。その後は負けが先行しており、GLORY戦績は3勝3敗1ノーコンテスト。通算戦績は12勝(2KO)4敗1ノーコンテストとなっている。

 1R、構えは両者ともオーソドックス。気合いのかけ声を発しながらパンチの連打を繰り出すサグデンに対し、ガードしながら右ローを蹴りまくるテン・パウ。この展開が中盤まで続くと、テン・パウは右フックやヒザ蹴りのカウンターも狙い始める。サグデンは右ローを蹴られても構わず、パンチの4連打、5連打を返していく。

 2R、なおも右ローを蹴り続けるテン・パウ。サグデンもパンチを連打しながら突進するが、テン・パウのヒザ蹴りや右フックのカウンターに脅かされてしまう。終了間際にはテン・パウの右フックが、前がかりになったサグデンの顔面にクリーンヒットする。

 3R、サグデンはパンチの乱れ打ちで仕掛けるが、テン・パウのガードをこじ開けることはできない。前に出て圧力をかけ続けるサグデンに対し、テン・パウはやや手数を落としながらも、飛びヒザ蹴りや後ろ回し蹴りで一発を狙う。試合はこのまま終了。サグデンの追い上げは届かず、テン・パウが地元で判定勝ちを収めた。

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