試合後、対戦相手のルース(左)とそろって横たわるアモソフ(右)。共に力を出し切り精根尽きた Photos(C)Bellator

 2020年2月21日(金・現地時間)『Bellator 239』がアメリカ・オクラホマ州タッカーヴィルのウィンスター・ワールド・カジノ・アンド・リゾートで開催されました。以下、試合レポート・結果です。

Main Event
▼ウェルター級 5分3R
×エド・ルース(26=アメリカ)
判定0-3 ※28-29、28-29、28-29
○ヤロスラフ・アモソフ(29=ウクライナ)

ルース(左)にパンチを当てるアモソフ(右)

 アモソフは22戦全勝(8KO・TKO/10SUB)の通算戦績を誇り、今大会がBellatorで迎える4戦目。対するルースはレスリングのトップ選手として活躍した後に総合格闘家へと転向し、Bellator一筋で8勝1敗(6KO・TKO/0SUB)の通算戦績を収めている。

 キャリアの多くをウクライナやロシアで闘ってきたアモソフにとっては、アメリカのメジャー舞台でさらなる活躍を目指すにあたり、真価が問われる一戦だ。

 1R、構えはアモソフがオーソドックスで、ルースがサウスポー。ダブルの左ジャブから入って組んだり、右ストレートに繋げたりするアモソフに対し、ルースが足を捕らえてテイクダウンを狙う。互いを振り回すような組みの攻防の中、一瞬マットに手が着いたアモソフだが、すぐに体勢を立て直して足車でルースを投げ飛ばす。

 ほどなくして立ち上がるルース。アモソフはルースの背中に右ミドルを蹴る。アモソフは右ストレートを振り抜いたところでルースにタックルを合わされるが、一瞬体が浮き上がっても踏ん張って倒れない。ここからしばしの間、打撃戦が続き、残り時間は2分。ルースがようやくタックルでアモソフに尻餅を着かせるも、押さえ込むまでには至らず。逆にルースがアモソフの組みに揺さぶられて体勢を崩す場面も。

 2R、ルースが右カーフキック、左ミドル、右サイドキック、左インローなどを立て続けに蹴れば、アモソフはダブルの左ジャブと右ストレートを返して応戦。さらにアモソフはルースをケージへと押し込み、離れ際に右フックを当てる。今度はタックルの動きも入れつつ前に出るルース。アモソフはルースのレベルチェンジの動作にも敏感に反応し、捕まっても組み負けない。

 残り時間2分のところでタックルを仕掛けたアモソフに対し、スクランブルに持ち込むルース。アモソフはこの試合初めてルースに上を取られる。しかし、ルースも押さえ込み続けることはできず、ほどなくアモソフにスタンドを許す。終盤にアモソフが左右フックでルースをケージ際へと追い込み、タックルでテイクダウンした。

 3R、構えをスイッチしながら先手先手でパンチを当てるアモソフ。ルースは前に出るものの、アモソフのクリンチもあってなかなか攻撃に転じることができない。アモソフはルースがさらに前がかりになってきたところでタックルを仕掛け、背後から組み伏せるかたちに。だが、アモソフの消耗も激しく、スクランブルの中でルースに背中を許す場面も。アモソフは腰を上げ、ルースを前方に落として難を逃れる。

 両者共に疲れの色がさらに濃くなる中、最後の打撃戦に。アモソフは口が開いた状態ながらも左右に足を運び、パンチの手数を下げない。ルースはプレッシャーこそかけるが、単発の打撃が精一杯という様子だ。試合はこのまま終了。ゴングが鳴らされると、両者は抱擁を交わし、そのままそろってマットに大の字となった。

 アモソフが熱戦の末に判定3-0でルースを下し、プロデビュー以来続く連勝を「23」へと更新。マイクを向けられたアモソフは、「アメリカで闘えてとても嬉しい。幼い頃からの夢だったから。(タイトルマッチについては)自分が決められることではないが、やりたいという気持ちは強い。チャンピオンになるためにここにいる。誰もがチャンピオンになれる可能性があるということを世界へ示したい」と、息を切らしながらアピールした。

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Prelim
▼女子フライ級 5分3R
○デニス・キールホルツ(30=オランダ)
一本 1R 2分15秒 ※リアネイキドチョーク
×クリスティーナ・ウィリアムス(30=アメリカ)

チョークで絞め上げるキールホルツ

 キールホルツは柔道でオランダ国内ユースの強豪として活躍し、その後始めたキックボクシングでもEnfusion 57kgとBellator Kickboxing世界女子フライ級の王座を獲得。近年はBellatorで総合格闘家としてのキャリアも本格的にスタートさせた。通算戦績は4勝2敗(1KO・TKO/2SUB)。現在2連勝中だ。

 対するウィリアムスは通算戦績が3勝2敗(1KO・TKO/0SUB)。プロデビュー戦で元WBCインターナショナル女子フェザー級王者のヘザー・ハーディ(アメリカ)に2RTKO勝ち、2戦目でBellator世界女子フライ級タイトルマッチ経験者のエミリー・ダコーティー(アメリカ)に判定勝ちし、一躍、注目選手となった。だが、昨年7月の『Bellator 224』では無敗の強敵ジュリアナ・ヴェラスケス(同)に2RTKO負け。今大会で再起を図る。

 1R、オーソドックスに構えてにじり寄る両者。右フックから入ろうとしたウィリアムスに対し、キールホルツが右ストレートのカウンターを強打する。間を置かず左右フックを当てにいくキールホルツ。ウィリアムスは左右ミドルを蹴り込み、キールホルツを間合いから弾き出す。いきなり激し目のファーストコンタクトだ。

 キールホルツに右ミドルをキャッチされたウィリアムスは首相撲の動き。キールホルツはすかさず左右フックで跳ね返す。むきになった様子のウィリアムスはパンチの連打から左右ミドルの荒々しいコンビネーション。キールホルツはウィリアムスが大振りになったところで左ジャブとワンツーで内側から突き、さらに今度はリズムを変えて外側から左右フックも叩き込む。

 キールホルツのハンドスピードと出入りになかなか対応できないウィリアムス。キールホルツはウィリアムスが左ハイを空振りして体が流れるのを逃さず、タックルでテイクダウンを決める。ウィリアムスはそのまま亀の状態になってしまい、キールホルツのバックチョークで万事休す。ウィリアムスがタップした。

 キールホルツが強敵相手に価値ある一本勝ち。キールホルツはこれで3連勝となった。

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Co-Main Event
▼ライト級 5分3R
×ブランドン・ガーツ(34=アメリカ)
判定0-3 ※28-29、28-29、28-29
○マイルズ・ジュリー(31=アメリカ)

前がかりになるガーツ(左)に対し、巧くパンチを当てるジュリー(右)

 ジュリーはUFCでディエゴ・サンチェス(アメリカ)や五味隆典を破り、8勝4敗の好成績をあげた実力者。昨年9月の『Bellator 227』で新天地初戦に臨んだが、元UFC世界ライト級王者ベンソン・ヘンダーソン(アメリカ)に判定負けしている。UFCからの試合も含めて3連敗となった。通算戦績は17勝5敗(8KO・TKO/5SUB)。

 対するガーツはBellatorで8勝6敗の成績。2018年4月の『Bellator 197』で元Bellator世界ライト級王者マイケル・チャンドラー(アメリカ)に一本負けしたが、昨年3月の『Bellator 219』ではベテランのサヤッド・アワッド(同)に判定勝ちし、再起を飾っている。通算戦績は16勝8敗(3KO・TKO/5SUB)。

 1R、構えはジュリーがオーソドックス、ガーツがサウスポー。ガーツが序盤から鋭い左右フックで斬り込む。上背で勝るジュリーはカウンターの膝蹴りで迎撃。ガーツの空振りを誘ったジュリーは人差し指を立てて左右に振る。

 2R、左右の大砲をぶっ放しながら組みついたガーツ。ケージを背負ったジュリーは踏ん張りきれず、ガーツにテイクダウンを許してしまう。押さえ込むガーツに対し、ハーフガードのジュリーはエルボー。残り時間が2分を切ったところでレフェリーがスタンドに戻す。

 しかしほどなく、ガーツがアイポークを受けて試合が中断。ガーツはドクターチェックを経て試合に戻る。ジュリーはガーツの左ミドルをキャッチし、体勢が崩れたところで素早く背後に。ガーツはジュリーを背負った状態でゴングを待つ。

 3R、ジュリーはケージ中央から左ジャブと右の中段前蹴り。ガーツは被弾が目立ち、左右フックもことごとくジュリーにかわされてしまう。終盤にはジュリーが飛び膝蹴りから組みついてテイクダウンに成功。ガーツは立ち上がるもののジュリーを背負った状態になり、最後の最後で再びテイクダウンを許した。

 ジュリーが判定勝ちで新天地初勝利をあげると共に連敗脱出。ガーツは連勝ならず、再び黒星となった。


Main Card
▼ヘビー級 5分3R
×タイレル・フォーチュン(29=アメリカ)
KO 1R 2分35秒
○ティモシー・ジョンソン(34=アメリカ)

元UFCのジョンソン(右)が豪快KOで新天地初勝利を掴んだ

 ジョンソンはUFCで4勝3敗の成績を残していたが、Bellatorに活躍の場を移してからは2試合連続でKO負け。相手はいずれも実力者のチーク・コンゴ(フランス)とヴィタリー・ミナコフ(ロシア)だった。通算戦績は12勝6敗(6KO・TKO/4SUB)。今大会で新天地初勝利なるか。

 対するフォーチュンはBellator一筋で8戦全勝(5KO・TKO/1SUB)の通算戦績を収めているが、UFCクラスの相手と対戦するのはこれが初めてだ。

 1R、サウスポーのジョンソンが左ジャブや左フックから仕掛けると、オーソドックスのフォーチュンはかわしてニヤリ。ジョンソンは構わずにじり寄り、フォーチュンが右ストレートや膝蹴りを返すタイミングでパンチの回転を速める。すると中盤過ぎ、ジョンソンが左の拳と共に飛び込み、反応が遅れたフォーチュンの顔面に右フックを強打。この一撃で勝負は決した。

 ジョンソンが負け知らずのフォーチュンを失神KOで葬り、嬉しいBellator初白星。フォーチュンはキャリア9戦目にして初黒星を味わうことになった。


Main Card
▼ヘビー級 5分3R
×ハヴィー・アヤラ(31=アメリカ)
判定0-3 ※25-30、24-30、24-30
○ワレンティン・モルダフスキー(28=ロシア)

モルダフスキー(上)がテイクダウンを重ね、寝技と打撃でアヤラ(下)を防戦一方へと追い込んだ

 モルダフスキーは昨年3月の『Bellator 218』でリントン・ヴァッセル(イギリス)に判定勝ち。Bellatorデビュー3連勝と好調だ。

 一方、アヤラは2018年12月の『Bellator 212』でフランク・ミア(アメリカ)に2RTKO勝ち。試合出場はそれ以来、1年2カ月ぶりとなる。

 試合はモルダフスキーが1R早々から組みとタックルでテイクダウンを重ね、肩固めとバックチョーク、鉄槌とエルボーなどでアヤラを圧倒。2Rと3Rも同様にモルダフスキーがワンサイドゲームを展開し、フィニッシュこそ逃したが大差の判定勝ちを収めた。


Prelim
▼フェザー級 5分3R
×ゲイブリエル・ヴァーガ(34=カナダ)
判定1-2 ※28-29、29-28、28-29
○ティージェイ・ブリットン(37=アメリカ)

MMA2戦目に臨んだ現Bellator Kickboxing世界フェザー級王者ヴァーガ(左)だが、キャリアに勝るブリットン(右)のテイクダウンに屈した

 ヴァーガは元GLORY世界フェザー級王者にして現Bellator Kickboxing世界同級王者。昨年7月の『Bellator 224』でMMAデビューを果たし、ジャミース・テイラー(アメリカ)に2RTKO勝ちしている。

 対するブリットンは通算戦績が5勝2敗(4KO・TKO/1SUB)。Bellatorには初参戦となる。

 試合はブリットンがしぶとく組みついてヴァーガの打撃を封じ続ける展開に。1Rと2Rはブリットンがテイクダウンを決め、3Rはヴァーガが組み膝と終了間際のテイクダウンで意地をみせたが及ばず。ヴァーガのMMA2戦目は判定負けに終わった。


Prelim
▼ヘビー級 5分3R
×J.W.カイザー(アメリカ)
TKO 1R 1分30秒
○デヴィオン・フランクリン(アメリカ)

Prelim
▼ライト級 5分3R
○クリス・ゴンザレス(アメリカ)
判定2-1 ※30-27、28-29、30-27
×アーロン・マッケンジー(アメリカ)

Prelim
▼フェザー級 5分3R
×アディル・ベンジラニー(モロッコ)
判定1-2 ※28-29、29-28、28-29
○ケヴィン・クルーム(アメリカ)

Prelim
▼フェザー級 5分3R
○クリス・レンシオーニ(アメリカ)
判定2-1 ※29-28、28-29、29-28
×サリーム・ムキディノフ(タジキスタン)

Prelim
▼177.9ポンド(80.7kg)契約 5分3R
○カイル・クラッチマー(アメリカ)
一本 1R 2分58秒 ※アナコンダチョーク
×スコット・ファトレル(アメリカ)
※ファレルは規定体重をオーバー。試合は175ポンド(79.38kg)契約から177.9ポンド(80.7kg)契約に変更して実施。

Prelim
▼ライトヘビー級 5分3R
○グラント・ニール(アメリカ)
TKO 3R 3分37秒
×クロード・ウィルコックス(アメリカ)

Prelim
▼フェザー級 5分3R
○ジョシュ・ヒル(カナダ)
判定3-0 ※30-27、29-28、29-28
×ヴィニシウス・ザニ(ブラジル)

Prelim
▼フェザー級 5分3R
×ガストン・ボラニョス(アメリカ)
判定1-2 ※29-28、28-29、28-29
○ソロ・ハトリー・ジュニア(アメリカ)

Prelim
▼バンタム級 5分3R
×ショーン・バンチ(アメリカ)
判定0-3 ※26-30、28-29、27-29
○キース・リー(アメリカ)

Prelim
▼ライトヘビー級 5分3R
○クリスチャン・エドワーズ(アメリカ)
判定3-0 ※30-26、30-26、30-25
×マルコ・ハッチ(アメリカ)

Prelim
▼148.2ポンド(67.22kg)契約 5分3R
-ルーカス・ブレナン(アメリカ)
試合中止
-ジャミース・テイラー(アメリカ)
※テイラーはフェザー級規定体重(145ポンド・65.77kg)をオーバー。試合はキャンセルされた。