アーチュレッタが強烈ボディでミックスを攻め立てる Photos(C)Bellator MMA

 日本時間2020年9月13日(日)、『Bellator 246』がアメリカ・コネチカット州モントヴィルで開催されました。以下、試合レポート・結果です。

Main Event
▼Bellator MMAバンタム級王座決定戦 5分5R
○フアン・アーチュレッタ(32=アメリカ)
判定3-0 ※49-46、48-47、48-47
×パトリック・ミックス(26=アメリカ)
※アーチュレッタが新王座に就く。

スコット・コーカー代表(右)からベルトを手渡された新バンタム級王者アーチュレッタ(左)

 昨年11月に堀口恭司(29)がベルトを返上したことを受け、新たに組まれたのが今回の王座決定戦だ。

 アーチュレッタは元KOTCフライ級(135ポンド)・バンタム級(145ポンド)・ライト級(155ポンド)・ライトウェルター級(165ポンド)王者。キャリア通算戦績が24勝2敗(11KO・TKO/1SUB)で、このうちBellator戦績は6勝1敗(2KO・TKO/0SUB)だ。

 昨年9月の『Bellator 228』では、Bellator MMAフェザー級タイトルマッチとワールドグランプリ1回戦を兼ねた大一番に出場したが、王者パトリシオ・“ピットブル”・フレイレ(33=ブラジル)に判定負け。今年1月の『Bellator 238』で、ヘンリー・コラレス(34=アメリカ)に判定勝ちし、パトリシオ戦からの再起を飾っている。

 対するミックスは元KOTCフライ級王者。キャリア通算戦績が13戦全勝(1KO・TKO/9SUB)で、このうちBellator戦績は2勝(0KO・TKO/2SUB)となる。前戦は昨年末の『RIZIN.20』で、元DEEPフライ級・バンタム級王者の元谷友貴(30)に1R・一本勝ちし、日本でもインパクトを残した。

 1R、ミックスはサウスポーの構えから左の中段前蹴りを突き刺すと、すぐに組みついてアーチュレッタに尻餅を着かせる。後半にはミックスが背後からのパンチとチョークでアーチュレッタを削り、終了間際にマウントも取った。

 2R、アーチュレッタはミックスのタックルを防げず、早々にテイクダウンを許す苦しい展開。ミックスはアーチュレッタの背後からしぶとく絡みつき、再びパンチとチョークで削る体勢に持ち込む。しかし、アーチュレッタもなんとか胸を合わせ、終盤には強烈な鉄槌でミックスを亀の状態にさせる。

 3R、アーチュレッタがオーソドックスの構えから左右フックを顔面と腹に打ち分け、右の中段前蹴りも追加。腹に効かされたミックスは動きが鈍い。アーチュレッタのステップが加速し、右拳のクリーンヒットも増える。アーチュレッタ完全攻勢の5分間となった。

 4R、アーチュレッタの鋭い出入りを前にパンチの空振りが目立つミックス。アーチュレッタは時おり構えをスイッチしながら縦横無尽にケージ内を動き回り、ミックスの意表を突くテイクダウンも決める。

 5R、アーチュレッタが軽快なステップからスピードの乗ったパンチのコンビネーションで攻撃。ミックスはアーチュレッタの右ボディフックを連続被弾し、顔をしかめる。アーチュレッタは両脇差しでミックスを封じる時間も作るなど、試合巧者ぶりも見せた。

 勝敗の結果は判定3-0でアーチュレッタに軍配。アーチュレッタが負け知らずだったミックスに初黒星を与え、バンタム級の新王者に輝いた。

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Co-Main Event
▼ウェルター級 5分3R
×ジョン・フィッチ(42=アメリカ)
一本 2R 4分47秒 ※ヒールフック
○ネイマン・グレイシー(31=ブラジル)

フィッチ(左)はケージ中央にグローブを置き、勝者ネイマン(右)に拍手を贈った

 フィッチはPFLウェルター級王者の実績を持ち、2008年にUFC同級タイトルマッチも経験しているベテラン。昨年4月の『Bellator 246』では、ウェルター級タイトルマッチ兼ワールドグランプリ1回戦(準々決勝)の大一番に臨み、当時の王者ローリー・マクドナルド(31=カナダ)相手に判定1-0のドローだった。5連勝からの1分となり、今大会で1年5カ月ぶりの試合出場を果たす。

 対するネイマンは昨年7月の『Bellator 222』で、ウェルター級タイトルマッチ兼ワールドグランプリ準決勝を戦い、マクドナルドに判定負け。キャリア10戦目での初黒星となった。今大会で1年3カ月ぶりの再起戦に臨む。

 1R、ワンツーを伸ばしながら組みついてきたフィッチに対し、ネイマンは足を掛けての崩しからヒールフック。さらにネイマンは膝十字も仕掛け、フィッチの背をマットに着かせる。フィッチはネイマンに背中を許し、終盤にかけては腕十字とオモプラッタを凌ぐ展開を強いられた。

 2R、フィッチはパンチの連打で押し込んでから首相撲に捕らえての膝蹴り。ネイマンはすぐにタックルでテイクダウンする。ネイマンはフィッチが立ち上がってもしぶとく組みつき、タックルに切り替えてテイクダウンを追加。再び足関節を捕らえたネイマンに対し、フィッチが拳を落とす。笑みを浮かべる両者。ほどなくネイマンが捻りを加え、フィッチをタップさせた。

 すぐに握手とハグで健闘を称え合う両者。フィッチは勝敗結果のコールを待つ間にグローブを外し、ケージ中央に置いた。

 フィッチは「長い旅になった。この体で多くのことを経験してきた。この先、楽しみにしていることがケージの外にたくさんある。去る時が来たんだ」と自らの言葉で引退を表明。

 ネイマンに向けて、「自分が勝つにしろ負けるにしろ、ネイマンは最高のヤツだ。彼がリマ(Bellator MMAウェルター級王者ドゥグラス・リマ)を倒せるよう、ニューヨークまで行ってサポートしたいほどだ」との言葉を贈り、「みんな、ありがとう。感謝している」と締め括った。

 フィッチの生涯戦績は32勝8敗2分1ノーコンテスト(6KO・TKO/6SUB)。

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Main Card
▼131.7ポンド(59.74kg)契約 5分3R
○リズ・カムーシュ(36=アメリカ)
一本 3R 3分17秒 ※リアネイキドチョーク
×ディアナ・ベネット(35=アメリカ)
※ベネットの体重超過により、試合はリミット125ポンド(56.7kg)の女子フライ級から上記契約体重に変更して実施。

ベネットを背後からチョークで絞め上げるカムーシュ

 カムーシュは2013年から昨年までの約6年半をUFCで過ごし、異なる階級(女子バンタム級と女子フライ級)で2度のタイトルマッチを戦うなど活躍。当初は今年5月に新天地のBellatorで初陣を戦う予定だったが、新型コロナウイルスの影響で大会が中止となったため、今大会で改めて試合が組まれた。キャリア通算戦績は13勝7敗(6KO・TKO/2SUB)。

 対するベネットは2016年のInvicta FCストロー級タイトルコンテンダー。カムーシュと同じく、これがBellatorデビュー戦となる。キャリア通算戦績は10勝6敗(2KO・TKO/2SUB)。

 試合はベネットの体重超過により、リミット125ポンド(56.7kg)の女子フライ級から131.7ポンド(59.74kg)契約に変更して実施された。

 1R、カムーシュはベネットの左ミドルをキャッチして組みつくと、背後から抱え上げてテイクダウン。ベネットは出鼻をくじかれるが、ここは凌いで立ち上がる。組みの攻防からほどなくして両者は距離を取り、しばし打撃を交換。終盤にベネットはタックルから粘ってテイクダウンを取り返さんとするが、カムーシュに転がされ、ケージを背負う展開となる。

 2R、パンチの攻防の中、ベネットがタックルからカムーシュを担ぎ上げ、マットに叩きつけるようにテイクダウン。カムーシュはベネットに押さえ込まれる状態が続いたが、一瞬スペースができたところで素早くヒールフックを仕掛ける。ベネットは体を起こしながら懸命にパンチを落とし、カムーシュに極めさせない。カムーシュはマットを背にしたまま、5分間を終える。

 3R、カムーシュはパンチの連打から突進するように前蹴りを放ち、ベネットをケージ際に追い込んでのタックル。ベネットはケージを背にしながらのアームロックで抵抗する。両者譲らずの組みの攻防から、カムーシュがじわじわとベネットを背後から崩していく。そして、カムーシュはベネットが腰を上げた瞬間、背中に飛び乗ってチョーク。ベネットは体を転がすも脱出できず、タップアウトとなった。

 カムーシュが一瞬のタイミングを逃さず一本勝ち。カムーシュは新天地白星スタートとなった。

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Main Card
▼157ポンド(71.21kg)契約 5分3R
×デレク・カンポス(アメリカ)
一本 3R 4分59秒 ※リアネイキドチョーク
○ケオニ・ディッグス(アメリカ)
※ディッグスの体重超過により、試合はリミット155ポンド(70.31kg)のライト級から上記契約体重に変更して実施。

Preliminary Card
▼ミドル級 5分3R
×パット・ケイシー(アメリカ)
判定1-2 ※28-29、29-28、27-30
○ダニエル・マドリード(アメリカ)

Preliminary Card
▼ミドル級 5分3R
○タイ・グワーダー(アメリカ)
TKO 3R 1分05秒
×ジョージ・トコス(イングランド)

Preliminary Card
▼ヘビー級 5分3R
○デヴィオン・フランクリン(アメリカ)
判定3-0 ※30-27、30-27、30-27
×ラス・ヒルトン(アメリカ)