2019年12月21日(土・現地時間)オランダ・ヘルダーラント州アルンヘムのヘルレドームで『GLORY: COLLISION 2』及び『GLORY 74: Arnhem』が開催されました。ここでは全試合結果と共に『GLORY 74: Arnhem』の試合レポートを綴ります。

Photos(C)GLORY Sports International

GLORY 74: Arnhem

Super Fight
▼GLORY世界ミドル級タイトルマッチ 3分5R
○アレックス・ペレイラ(32=ブラジル/王者)
KO 1R 3分00秒
×エルトゥルール・バイラク(27=トルコ/同級1位/挑戦者)
※ペレイラが5度目の防衛に成功。

強烈な左フックを叩き込むペレイラ。挑戦者バイラクを序盤から圧倒した

 ペレイラは9月の『GLORY 68: Miami』でGLORY世界ライトヘビー級暫定王座決定戦を戦い、ドネギ・アベナ(スリナム)に3RKO勝ち。ミドル級に続き、暫定ながらもライトヘビー級のベルトも手に入れ、GLORY史上初の二階級同時戴冠を果たした。今大会ではミドル級王座の5度目の防衛を目指す。

 挑戦者の同級1位バイラクは、キャリア15戦の同級2位ドノヴァン・ヴィッセ(スリナム)に唯一の黒星をつけている実力者。GLORYで2連勝をあげ、3戦目にしてタイトル初挑戦となる。

 通算戦績はペレイラが31勝6敗(20KO・TKO)、バイラクが18勝6敗(5KO・TKO)。

 1R、構えは両者共にオーソドックス。両腕をゆったりと広めに開いて迫るペレイラに対し、ハイガードのバイラクは右カーフキック。ペレイラは足を刈られながらも構わず間合いを詰め、右フックや左右ハイを放つ。

 するとほどなく、ペレイラがバイラクの両腕ガードの背後から左フックを当て、直後にヒザ蹴りも連打。バイラクは顔を覆いながら距離を取らんとするが、ペレイラの丁寧な左ジャブ、右アッパー、左右フック、ヒザ蹴りで追い込まれていく。

 残り時間数秒のところでロープ際からなんとか右の拳を届かせんとするバイラク。これを逃さず、ペレイラが右ボディストレートから返しの左フックをカウンターで見事に決め、バイラクをマットに沈めた。

 フィニッシュタイムは1R3分ちょうど。ペレイラがゴングとほぼ同時にカウンターを叩き込み、圧巻の衝撃KO勝ちで5度目のミドル級王座防衛を果たした。

 試合後、マイクを向けられたペレイラは戦線離脱中のGLORY世界ライトヘビー級正規王者アルテム・ヴァキトフ(ロシア)に対し、「ヴァキトフよ、戦う気がないのならさっさとベルトを返上しろ」とアピールした。


Under Card
▼ヘビー級 3分3R
×ジャファー・ウィルニス(33=オランダ/同級4位/112.3kg)
判定1-4 ※29-28、28-29、28-29、28-29、28-29
○アントニオ・プラズィバット(26=クロアチア/同級6位/107.7kg)

接近戦で懸命にパンチを振るうプラズィバット

 ウィルニスは2015年にKunlun Fightのヘビー級トーナメントを制し、その翌年にはEnfusionでも同級王座に就いた実績の持ち主。近年はGLORYを主戦場とし、昨年5月の試合ではジャマール・ベン・サディック(モロッコ)に判定勝ちしている。 

 対するプラズィバットは2017年に新生K-1で初代ヘビー級王座決定トーナメントを制覇。今年6月からGLORYに参戦し、2連勝の好スタートを切っている。今大会ではランキング上位の強豪相手に試金石の一戦に臨む。

 通算戦績はウィルニスが32勝12敗1分(8KO・TKO)、プラズィバットが17勝3敗(11KO・TKO)。

 プラズィバットは気合いの咆哮をあげながら入場。ウィルニスはホームの声援に拳を掲げて応えながら花道を歩く。

 1R、プラズィバットがいきなりワンツーを連打しながら距離を詰め、ウィルニスがコーナーを背負ったところで左ボディ。ウィルニスもしっかりとガードを固め、プラズィバットの攻撃が止まるとすかさず右アッパーと左フックを返す。

 構わずパンチをまとめるプラズィバット。ウィルニスはたびたびロープとコーナーを背負うが、依然としてブロックは強固だ。プラズィバットはウィルニスの左右ボディとヒザ蹴りで削られる場面も。

 2R、ウィルニスがパンチを腹にまとめてから急に顔面に飛ばす攻撃。プラズィバットはパンチを返すも、ウィルニスの守りが固く、カウンターの右ショートストレートと左アッパーを被弾する。

 ウィルニスは至近距離からの左右ローとヒザ蹴りでじわじわとプラズィバットを削り、密着しながらの右フックも叩き込む。

 3R、プラズィバットはパンチの連打から右ローのコンビネーション。ウィルニスは効いたのかと思いきや、タイミングを見計らって二段飛びヒザ蹴りや右フックを至近距離から返してくる。

 プラズィバットは気合いのかけ声と共にパンチのフルスイング&フルスロットル。ウィルニスもブロックしながらカウンターで応戦し続けた。

 強固なディフェンスを見せるウィルニスに対し、プラズィバットがパンチの手数で対抗し、判定4-1で試金石の一戦に勝利。プラズィバットはGLORYで3連勝となった。


Super Fight
▼フェザー級 3分3R
○セルゲイ・アダムチャック(29=ウクライナ/同級1位)
判定3-2 ※29-28、29-28、27-30、27-30、29-28
×アレクセイ・ウリアノフ(31=ロシア/同級3位)

前戦から中1カ月でのトップランカー対決に勝利した鉄人アダムチャック

 タイトル挑戦権が懸かると見られる一戦。元GLORY世界フェザー級王者のアダムチャックは11月の『GLORY 72: Chicago』で、無敗の超新星エイブラハム・ヴィダレス(メキシコ)を3RTKOに下し、中1カ月で今大会に乗り込んだ。

 対するウリアノフはザカリア・ゾウガリー(モロッコ)、マサロ・グランダー(南マルク)、久保政哉をいずれも判定で下し、現在3連勝中。当初発表されていたタイトル挑戦が流れ、今回の一戦に臨むことになった。

 通算戦績はアダムチャックが39勝11敗(15KO・TKO)、ウリアノフが29勝6敗1分1ノーコンテスト(7KO・TKO)。

 1R、構えはアダムチャックがサウスポー、ウリアノフがオーソドックス。アダムチャックは右ジャブや右ボディストレートから飛び込み、左右の拳をウリアノフの腹から顔面にかけてバババババッと一気に連射する。

 先手先手で仕掛けてくるアダムチャックに対し、ウリアノフはしばし我慢の展開。そこから徐々にウリアノフも細かいパンチの動きから蹴りを返すようになる。ウリアノフの右ミドルが強烈。

 2R、ウリアノフはパンチをワンツー、ワンツスリーとコンパクトに打ち込み、右ミドルにも繋げる。

 アダムチャックは前に出ようとしたところでウリアノフのテンカオをもらうようになり、パンチの手数が落ち気味。それでも終了間際にアダムチャックは顔面前蹴りでウリアノフを仰け反らせる。

 3R、クリンチも使ってアダムチャックに連打させないウリアノフ。アダムチャックはゆっくり構えをスイッチし、ウリアノフが誘いに乗ってきたところで右フックを合わせにいく。

 しかし、ウリアノフはこれをブロックして即座にパンチを倍返し。終了間際、ウリアノフの鯖折り気味のクリンチに苛立ったか、直後にアダムチャックは胴回し回転蹴りを繰り出すが、これは惜しくもクリーンヒットならず。

 判定の結果はスプリットでアダムチャックに軍配。短期間での厳しい連戦ながらもアダムチャックが接戦を制し、試合後には2020年2月29日(土・現地時間)の『GLORY 75: Utrecht』で、GLORY世界フェザー級王者ペットパノムルン・キャットムーカオ(タイ)に挑むことも発表されることとなった。


Super Fight
▼ライトヘビー級 3分3R
×マイケル・ドゥート(29=オランダ/同級6位)
判定5-0 ※29-26、30-25、30-25、30-25、30-25
○アリエル・マチャド(32=ブラジル)

久しぶりの参戦となったマチャドが強さを見せた

 ドゥートは今年10月の『GLORY 69: Dusseldorf』で、上位ランカーのルイス・タヴァレス(オランダ)に判定負けして以来の再起戦。対するマチャドは2017年10月の『GLORY 47: Lyon』で、GLORY世界ライトヘビー級王者アルテム・ヴァキトフ(ロシア)に判定負けして以来の参戦だ。

 通算戦績はドゥートが43勝12敗(20KO・TKO)、マチャドが49勝9敗(35KO・TKO)。

 1R、構えは両者共にオーソドックス。リング中央からワンツーを飛ばすドゥートに対し、マチャドはロープ近くから左右ロー。

 様子見を終えたマチャドは徐々にパンチのコンビネーションで圧を増す。ドゥートも臆さず足を止めて打ち合う構え。両者の拳が交錯するスリリングな展開となった。

 2R、マチャドが左ジャブを細かく打ち、そこから右の拳を一気に振り抜く。タイミングを外されたドゥートはガードが遅れて被弾し、やや間を置いてから倒れ込む。マチャドが先制のダウンを取る。

 ドゥートは立ち上がるも、表情がうつろで体も紅潮。マチャドは再び同様の攻めから右フックを叩き込み、ドゥートはこらえようするもここも時間差で座り込んでしまい、2度目のダウンとなる。

 3R、ドゥートは序盤こそ足を使って動き回るが、マチャドにいったん拳を振るわれるとロープを背に固まってしまう。

 マチャドは無理に攻めることなく、ドゥートの右フックが大振りになったところで素早くワンツーを突き刺すなど、老獪に戦いながら試合終了を待った。

 マチャドが大差の判定勝ちで50勝目をあげ、GLORY復帰戦を飾った。


Super Fight
▼ライト級 3分3R
○イタイ・ガーション(イスラエル/同級7位)
判定4-0 ※28-28、30-26、30-26、30-26、30-26
×リー・ヂァォイェン[Li Zhaoyang](中国)

Under Card
▼ミドル級 3分3R
○ドノヴァン・ヴィッセ(スリナム/同級2位)
判定4-0 ※28-28、29-27、30-26、30-26、30-26
×シーザー・アルメイダ(ブラジル)

Under Card
▼ヘビー級 3分3R
×ジハド・ケペネク(トルコ/同級8位/112.0kg)
延長判定2-3 ※9-10、9-10、10-9、10-9、9-10
○ノーディーン・マハディーン(フランス/同級10位/105.4kg)
※本戦は判定0-2(27-29、27-29、28-28、28-28、28-28)。

Under Card
▼ミドル級 3分3R
×ケヴィン・ヴァン・ヒークレン(オランダ/同級9位)
判定5-0 ※29-28、30-27、30-27、30-27、30-27
○アーリック・ボケメ(コンゴ/同級10位)

Under Card
▼女子バンタム級 3分3R
×イー・シュィー[Yi Xu](中国)
判定1-4 ※28-29、29-29、28-29、28-29、28-29
○ベッカ・アーウィン(アメリカ)

GLORY: COLLISION 2 試合レポートはこちら

Main Event
▼GLORY世界ヘビー級タイトルマッチ 3分5R
○リコ・ヴァーホーベン(オランダ/王者/118.2kg)
TKO 3R 59秒 ※バダが足を負傷
×バダ・ハリ(モロッコ/挑戦者/108.9kg)
※リコが9度目の防衛に成功。

Co-Main Event
▼ライトヘビー級 3分3R
○ルイス・タヴァレス(オランダ/同級2位)
判定5-0 ※30-26、30-26、29-27、29-27、29-27
×ステファン・サスペラギー(フランス/同級5位)

Featured Fight
▼ライト級 3分3R
○モハメド・ジャラヤ(モロッコ)
判定5-0 ※29-28、30-27、30-27、30-27、30-27
×マサロ・グランダー(南マルク)

Featured Fight
▼フェザー級 3分3R
○ザカリア・ゾウガリー(モロッコ/同級4位)
判定5-0 ※30-27、30-27、30-27、30-27、30-27
×エイサー・テン・パウ(アメリカ/同級6位)