▼MMA ウェルター級(83.9キロ) 5分3R
○岡見勇信(38=日本)
判定2-1
×アギラン・ターニ(24=マレーシア)

しぶとく組みつき押さえ込む岡見

 元UFC世界ミドル級タイトルコンテンダーの大ベテランン・岡見は、これが今年5月のONE初陣から2連敗で臨む3戦目。対するターニも元ONE世界ウェルター級タイトルコンテンダーで、今年6月の前戦では、3年半ぶりの復帰戦となった秋山成勲に判定勝ちしている。

 1R、構えは岡見がサウスポー、ターニがオーソドックス。岡見はターニの右ミドルをブロックしてすぐに左ストレートを返し、そのまま組みつく。ターニは受け止めて右ボディと右アッパー。岡見がいったん距離を取ると、ターニは右オーバーハンドと右ハイを繰り出しながらジリジリと追いかける。後退した岡見はケージに背が着いたところで再び組みつき、タックルに切り替えてテイクダウンに成功。ターニは立ち上がって胸を合わせてくると、岡見は無理に組まずに右アッパーを入れて離れる。

 そしてターニが飛びヒザ蹴りに出たところで、岡見はタックルで2度目のテイクダウン。ターニは立ち際に岡見に背中を許し、グラウンドへ引き込まれる。岡見はしばし背後から両足で相手の胴を固めた体勢をキープし、ターニがひと呼吸置いたところを逃さず、一気にチョークで絞め上げに入る。これが極まるかと思われたが、ターニはなんとかずらして脱出。両者スタンドに戻ると、距離を取る岡見にターニが右ハイを当て、ここでゴングが鳴った。

 2R、開始直後に岡見はターニの飛びヒザ蹴りを受け止め、ケージに押し込む。組みの攻防の中でスペースができると、ターニは右アッパーでコツコツと突き上げ。岡見は一度プッシュして直後にタックルを仕掛けるが、ターニは腰を落としてディフェンスする。それでも粘った岡見はケージ際で足をかけてテイクダウンに成功。ターニは下を向いたところで岡見に背中を許す。岡見は再び背後から両足でタニの胴を固めた体勢をキープし、残り1分でチョークを仕掛けるが、ここも極めきることができない。

 3R、前に出ながら右ハイを蹴っていくターニ。岡見が返す左ストレートもたびたびヒットする。岡見がヒザ蹴りに出たところで、今度はターニがタックルでテイクダウン。岡見はすかさずチョークを狙うが、すっぽ抜けてしまう。パンチを落としてパスガードしたターニは、岡見の背後から両足で胴をロックし、この体勢をキープしながらカカトでコツコツと蹴りを入れる。一気に体を捻って立ち上がらんとする岡見。ターニは逃さず上から潰し、再び同様の体勢に持ち込んで試合終了を待った。

 勝敗の行方は判定に委ねられ、スプリットで岡見に軍配。結果が告げられると、ターニはその場に座り込み、岡見は雄叫びをあげた。

 ONE初勝利を掴んだ岡見は「この舞台に帰ってこれて、勝者のコールを受けることができて、本当に幸せです。ありがとうございました!」と第一声。「1Rの最初のチョークはかなり良いかたちで入ってたんですけど、8、9割といったところで、彼の動きも見ていると防がれるかな、とも思いました」と試合を振り返った。


▼MMA 女子アトム級(52.2キロ) 5分3R
○平田 樹[いつき](20=日本)
一本 2R 4分44秒 ※腕十字
×リカ・イシゲ(30=タイ)

上からコントロールする平田

 平田は昨年12月に「格闘代理戦争」のトーナメントで優勝し、ONEとの契約を獲得。今年6月にONEで満を持してのプロデビューを果たし、アンジェリー・サバナル(フィリピン)から1R2分59秒で一本勝ちしている。柔道ベースのグラウンド技術、打撃戦も臆さない強気なファイトスタイルが持ち味だ。

 対するイシゲも2017年3月にONEでプロデビューし、現在までの戦績は4勝(2KO・TKO/1SUB)3敗。日本人の父とタイ人の母の間に生まれ、タイで育ってきたという、日本とも縁のある選手だ。漢字表記の名前は石毛里佳。タイではモデルとしても活動し、“タイニードール”(小さな人形)と形容されるキュートなルックスで人気を集めている。

 そんなイシゲは入場パフォーマンとしてコスプレを披露するのが恒例で、この日はセーラームーンで登場。試合前のフェイスオフでは微笑むイシゲに対し、闘志全開の平田が鋭い眼光を向ける。

 1R、構えは両者ともにオーソドックス。開始20秒で早くも試合が動く。平田はイシゲの右ミドルをキャッチしてテイクダウンにいく。イシゲは踏ん張るが、離れ際に平田の右フックをもろに喰らってダウンする。すぐに上からパンチを落としまくる平田。苦しい表情のイシゲはなんとかガードポジションに持ち込むと、下から腕十字を仕掛けて反撃を試みる。

 平田は腕を引き寄せてディフェンスすると、スクランブルから上四方固め、そこからヒザ蹴りとパンチを落としてマウント、そしてサイドへ移行するなどコントロール。イシゲもこれに耐え抜いてガードポジションに戻し、残り1分のところでがぶる平田の下に潜り込んで返すことに成功する。しかし、イシゲの攻めは20秒と持たず。平田はうつ伏せの体勢を取り、イシゲが背中に乗ってきたところで腰を上げて巧く前に落とす。平田が上をキープして終了。すぐにコーナーへ歩を進めた平田に対し、イシゲはしばし座り込んだままだった。

 2R、イシゲは右方向へ回り込みながら左ジャブと左ミドルを繰り出す。しかし、イシゲの右ローはスピードに欠け、平田は左手で蹴り足をキャッチするとすぐさま右フックを叩き込む。顔をしかめながら左フックとワンツーを返すイシゲに対し、平田は左右フックを次々と浴びせて後退を強い、そのままタックルで難なくテイクダウンに成功。平田にコントロールされてアームロックも狙われるイシゲだが、ここも粘りのディフェンスで切り抜ける。

 平田が自ら立ち上がり、しばしの猪木アリ状態。レフェリーがイシゲを立たせて試合が再開されると、平田は前進して圧力をかけていき、再び右フックからのタックルでテイクダウンを決める。イシゲはガードポジション、そして下から足をうるさく絡めていくが、平田は落ち着いて捌いてサイドから押さえ込み。イシゲがアームロックを嫌がって下を向くと、平田は流れに逆らわず自らの体を前方に転がしながら、両足で相手の首を挟んで絞める洗濯バサミをセットし、同時に腕もとらえて逆方向へ曲げた。

 イシゲは苦悶の表情でタップ。会心の一本勝ちを飾った平田は「1年前はこうなると想像してなかったです。試合は一つひとつが大事なので、絶対に勝たないといけないという思いで毎回臨んでいます。本当は打撃でKOしたかったんですが、また寝技になっちゃいました。すみません」と勝利のコメントを笑顔で述べた。


▼MMA ストロー級(56.7キロ) 5分3R
×池田仙三[せんぞう](37=日本)
TKO 1R 1分57秒
○リト・アディワン(26=フィリピン)

アディアンに押さえ込まれる仙三

 パンクラス・フライ級王者の仙三は、今年3月のONE MMAフライ級ワールドグランプリでダニー・キンガッドに判定負けし、1回戦敗退。その試合はONEデビュー戦でもあった。今大会では再起を図るとともに新天地初勝利を目指す。

 対戦相手のアディアンはフィリピンのTeam Lakay所属で、他団体の2戦も含めて現在5連勝中の成長株だ。

 1R、構えは両者ともにオーソドックス。仙三は細かいフェイントとステップを刻みながら徐々に間合いを縮め、右オーバーハンドからのタックルで一気に仕掛ける。アディワンは右フックで空振りさせて仙三に懐へ入り込まれるが、すかさず首相撲にとらえてヒザ蹴りを一発、そして豪快に首投げ。仙三の体は宙に舞い、ケージにぶつかってずり落ちる。

 アディワンは完全に上を取れたわけではなかったが、パワーで袈裟固めに持ち込み、仙三の右腕を両足の間に挟んでアメリカーナを極めにいく。仙三はこれを解いてなんとか立ち上がろうとするも、潰されて右腕をマットに着いたところでヒジが外れたか、あらぬ方向に曲がってしまった。

 異常に気づいたレフェリーが直後に試合をストップ。アディワンが仙三の右腕を破壊し、TKO勝ちで6連勝を決めた。一方、仙三はONEで初白星を掴めず、2連敗となった。


▼MMA フェザー級 5分3R
×プー・トー(34=マレーシア)
一本 1R 3分17秒 ※リアネイキドチョーク
○ユン・チャンミン(25=韓国)

チョークを極めたチャンミン

 チャンミンは昨年7月にAbemaTVの企画番組「格闘代理戦争」のトーナメントで優勝し、ONEとの契約を獲得。今年3月のONEデビュー戦から2連勝をあげている。

 対するトーは2015年7月にONEでプロデビューし、いきなり6連勝をマーク。昨年10月に初黒星を喫したが、その後も2連勝し、再起を果たしている。

 1R、チャンミンは右ローを蹴って先制し、今度は一気に距離を詰めての左フック。トーは後ろへ下がって空振りを誘う。直後に一瞬、お互いが見合ったところで、すかさずチャンミンがタックルに切り替えてテイクダウンを取る。

 チャンミンはサイドから押さえ込み、ニーオンザベリーからマウントに移行。トーはブリッジとTKシザースを狙い、チャンミンの腰が浮いたところでエスケープしようとするも、不用意に半身の体勢を作ってしまう。ここを逃さずチャンミンはチョーク。トーがあえなくタップし、チャンミンが一本勝ちと3連勝が決まった。


▼MMA 68キロ契約 5分3R
×スノト(インドネシア)
TKO 1R 1分43秒
○クォン・ウォンイル(韓国)