2019年11月8日(金・現地時間)フィリピン・マニラのモール・オブ・アジア・アリーナで『ONE: MASTERS OF FATE』が開催されました。以下に試合レポート・結果を綴ります(※試合順は入れ替えています)。

Photos(C)ONE

▼MMA ストロー級(56.7キロ) Prelim 5分3R
○内藤のび太(35=日本)
判定3-0
×ポンシリ・ミートサティート(23=タイ)

のび太がマウントから拳を落とす

 のび太は昨年9月のONE世界ストロー級タイトルマッチでジョシュア・パシオ(フィリピン)に判定負けし、2度目の王座陥落を味わう。今年3月の試合でもレネ・カタラン(フィリピン)にTKO負けしたが、5月に好敵手アレックス・シウバ(ブラジル)との3度目の対決で判定勝ちし、連敗脱出に成功している。

 対するポンシリは昨年7月にパシオに一本負けし、キャリア10戦目にして初黒星を喫すると、その4カ月後には元GRACHANフライ級王者・鈴木隼人にも一本負け。今年5月の試合ではKO勝ちしたが、8月の試合では判定負けしており、正念場となっている。

 1R、構えは両者ともにオーソドックス。早々にタックルからポンシリの片足をとらえるのび太。ポンシリはのび太を引きずるように移動してコーナーを背負う。のび太は胴組みに切り替えて粘りに粘ってテイクダウン成功。ポンシリはのび太がパウンドを落とさんと拳を振り上げたところで、素早く立ち上がる。

 今度は右フックから組みつくのび太。ポンシリはコーナーを背負いながらヒザ蹴りを入れるが、ここも粘るのび太にテイクダウンを許してしまう。のび太がパスガードを狙えば、ポンシリも下から足を絡めて懸命に食い止める。

 2R、のび太は早々にタックルからポンシリの片足をとらえてテイクダウン。ポンシリは両足でのび太を突き放して立ち上がる。すぐに組みついてグラウンドに引きずり込むのび太。ハーフガードのポンシリは下からエルボーを返す。のび太は足を抜いてマウントに移行し、コツコツとパウンド。さらにポンシリのブリッジに合わせてのび太は腕十字をセットするが、これはちぎられてしまう。

 立ち上がったポンシリに対し、のび太はマットに背をつけたままの猪木アリ状態。ポンシリがここぞとばかりに右ローを蹴りまくれば、のび太はタックルから巧く足をキャッチしてテイクダウンを決める。ポンシリは再びのび太にマウントを許し、パンチも落とされた。

 3R、のび太はタックルをカットされ、直後の立ち際にポンシリの右ハイが顔面をかすめる。のび太が間合いを詰めようとすれば、ポンシリは右フックと右ハイで迎撃。のび太は再びタックルをカットされ、今度はポンシリのヒザ蹴りも浴びてしまう。それでものび太は懸命にポンシリの足をつかまえ、下からヒザ十字を狙う。尻餅をつくポンシリ。のび太はすかさずポンシリを押し倒すと、サイドからヒザ蹴り、さらにマウントも取って細かくパウンドを入れた。

 フィニッシュは逃したが、のび太が粘りのテイクダウンからパウンドを打ち込むなど優位を保ち、満場一致の判定勝ち。のび太はこれで2連勝となった。


▼ONE Super Series ムエタイ バンタム級(65.8キロ) Prelim 3分3R
×鈴木博昭(35=日本)
判定1-2
○トゥカタトーン・ペットパヤタイ(32=タイ)

トゥカタトーンの強烈な左ミドル。
それをキャッチする鈴木

 鈴木はシュートボクシング世界スーパーライト級王者の実績を持ち、筋骨隆々の肉体で繰り出す強打から、ついた異名は“全身凶器の怪物くん”。昨年11月からONEに参戦し、いきなり2連勝をあげると、今年5月にはあのノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)のONEムエタイ世界バンタム級王座に挑戦したが判定負け。今回の試合が再起戦となる。

 対戦相手のトゥカタトーンは242勝33敗2分という戦績を誇るムエタイの猛者。鈴木の挑戦を受けたノンオーとはEvolve MMAの同門になる。

 試合はロープで囲まれたリング、オープンフィンガーグローブ着用で行われた。

 1R、構えは両者ともにサウスポー。鈴木が積極的に左ミドル、左ハイ、右インローを散らし、時おり右ジャブから左カーフキックに繋げる。トゥカタトーンはブロックしながら左ミドルを返し、鈴木の打ち終わりにはワンツーと単発のストレートを振るう。鈴木の左カーフキックを嫌がり始めるトゥカタトーン。終了間際に鈴木はトゥカタトーンの左ミドルをキャッチし、直後に左右フックの連打を浴びせる。

 2R、鈴木の左カーフキックを喰らって足さばきがぎこちなくなるトゥカタトーン。鈴木はトゥカタトーンの左ミドルをキャッチして左右フックを振るう攻撃も続ける。しかし中盤に入ると、トゥカタトーンは意地の左ミドルを連発して盛り返し、鋭い左ストレートでもたびたび鈴木をおびやかす。鈴木は右の脇腹が腫れ上がり、ダメージもあるか、手数も落ち始める。

 3R、主導権を取り戻したトゥカタトーンは左ミドル、左ハイ、右ハイを飛ばす。鈴木はキャッチできる時はキャッチして左ローを蹴るが、自ら仕掛ける場面は減っていく。左ストレートも鋭さを増すトゥカタトーン。鈴木は間合いを詰めようとするも、トゥカタトーンに先手を取られて攻撃を返すことができず、このまま試合終了を迎えた。

 前半戦を左カーフキックなどで優位に進めた鈴木に対し、トゥカタトーンは左ミドルと左ストレートで徐々に追い上げ。結果はスプリット判定でトゥカタトーンに軍配が上がった。鈴木は強豪相手に好勝負を演じるも、これで2連敗となった。


▼MMA フライ級 Prelim 5分3R
×藤沢彰博(40=日本)
KO 1分08秒
○キム・キュサン(27=韓国)

キュサンの拳が藤沢のアゴをとらえる

 藤沢は昨年4月にONE本戦デビューを果たし、2連勝からの2連敗という状況。対するキュサンは今年5月のONEデビュー戦でジェへ・ユスターキオ(フィリピン)に判定負けしている。

 1R、構えは両者ともにオーソドックス。リングの中央に入ったキュサンが左ジャブを打つのに対し、藤沢はその周りを回りながら左インローを蹴る。ほどなくすると、藤沢は間合いを潰さんとしたところで、キュサンの右アッパーを被弾してダウン。キュサンが追撃の鉄槌を落としたところでレフェリーが試合を止めた。

 藤沢はこれで3連敗。キュサンはONE2戦目で初白星をつかみ、再起を飾った。


▼メインイベント MMA ONE世界ストロー級(56.7キロ)タイトルマッチ 5分5R
○ジョシュア・パシオ(40=フィリピン/王者)
一本 2R 2分29秒 ※肩固め
×レネ・カタラン(23=フィリピン/挑戦者)
※パシオが初防衛に成功。

フィリピン人対決となったメインイベント。
王者パシオが得意の蹴りを叩き込む

 1R、構えは両者ともにオーソドックス。早々にパシオの強烈な後ろ回し蹴りがカタランの腹に直撃。パシオは組みにきたカタランをテイクダウンする。カタランの仕掛けから足関節の取り合いになり、パシオが押し込まれる展開に。カタランがアンクルホールド、防がれたらヒザ十字に切り替えて攻勢。パシオは体を回転させてなんとかしのぎきり、以降は上をキープしながら拳をヒジを落とした。

 2R、カタランがパシオの右ミドルをキャッチしてタックル。パシオはがぶって潰し、サイドからヒザ蹴りを入れる。カタランはパシオにマウントを許す苦しい展開。パシオは肩固めをセットすると足をサイドへ移してさらに絞めを強くし、最後はカタランはタップさせた。パシオが会心の一本勝ちで初防衛に成功。フィリピン人対決に会場は大きく盛り上がった。


▼セミファイナル MMA ライト級(61.2キロ) 5分3R
○エドゥアルド・フォラヤン(35=フィリピン)
負傷判定3-0 
×アマルサナ・ツォゴーフー(29=モンゴル)
※2Rに偶発的なバッティングが発生。

負傷判定で勝ち名乗りを受けたフォラヤン

 1R、構えは両者ともにオーソドックス。フォラヤンが得意の蹴り技を散らす中、右カーフキックでツォゴーフーにダメージを与える。ツォゴーフーはサウスポーにスイッチ。以降もフォラヤンの右ハイや旋風脚がツォゴーフーの顔面をかすめる。

 2R、ツォゴーフーは二段飛びヒザ蹴りが空振りに終わるも、そのまま組みの攻防に持ち込む。フォラヤンはこれをさばいて打撃戦に戻し、右ミドルを叩き込む。フォラヤンがなおも優勢の中、ツォゴーフーとパンチを打ち合ったところでバッティングが発生。ダウンしたフォラヤンはツォゴーフーのヒザ蹴りも浴びて顔面が血に染まる。

 ここでブレイクがかかり、フォラヤンはドクターチェックを受けるが、試合続行は不可能に。バッティングが偶発的なものであったことから、その時点までの負傷判定で勝敗が決し、フォラヤンに軍配が上がった。


▼ONE Super Series ムエタイ 68.0キロ契約 Main Card 3分3R
○センマニー・サティアンムエタイ(22=タイ)
判定3-0
×アジズ・ハライ(29=モロッコ)

ヒザ蹴りを突き刺すセンマニー

 1R、構えはセンマニーがサウスポー、ハライがオーソドックス。センマニーが左ミドルで先制。ハライもセンマニーの左ミドルをキャッチして軸足払いを決める。前がかりになるセンマニーは左ミドル。ハライは再び蹴り足キャッチからの軸足払いを決める。ハライの後ろ回し蹴りもセンマニーの顔面をかすめる。

 2R、左の拳を振るって右ミドルに繋げるセンマニー。ハライは右フックを振るいながら右の蹴りを散らす。互いの拳が顔面をかすめるスリリングな展開。センマニーの左インローがヒットし、ハライはバランスを崩す。ここからセンマニーが押し気味。ハライが右フックを振るえば、センマニーは首相撲にとらえてヒザ蹴りを返す。 

 3R、ハライが右ミドルと右インローで先制。センマニーも左ミドルを返していく。ハライは蹴り足キャッチから軸足払いを狙うが、今度はセンマニーが巧くさばいて払い返す。以降はセンマニーが首相撲に持ち込んでヒザ蹴り。ハライは後ろ回し蹴りやヒジで強襲にいくが、ヒットさせることはできなかった。

 両者ともに決定打が出なかったが、ジャッジはセンマニーを支持。ハライが健闘する中、センマニーが満場一致の判定勝ちを収めた。


▼MMA 女子アトム級(52.2キロ) Main Card 5分3R
○スタンプ・フェアテックス(22=タイ)
判定3-0
×ビー・ニューイェン(30=ベトナム+アメリカ)

得意気な表情で拳を振るうスタンプ

 スタンプはONE Super Seriesのムエタイとキックボクシングで世界女子アトム級を制覇している2冠女王。MMAでも現在3戦全勝(1KO・TKO/1SUB)の通算戦績をマークしている。

 対するニューイェンはMMAを主戦場としながらONE Super Seriesで立ち技の試合にも出場。MMAでは5勝(1KO・TKO/1SUB)4敗の通算戦績を収めている。

 1R、構えはスタンプがオーソドックス、ニューイェンがサウスポー。スタンプがリングの中央を取り、ニューイェンはサークリングから試合に入る。最初に仕掛けたのはニューイェンでワンツーから一気に前進。スタンプはニューイェンの右ローに足をもっていかれて片ヒザをつくが、一瞬で立て直して首相撲からヒザ蹴り、さらにムエタイのコカしで豪快にテイクダウンを決める。

 立ち上がってしぶとく組みつくニューイェン。スタンプはさばいてテイクダウンさせない。腰が強いスタンプはニューイェンに右ミドルをキャッチされても、片足立ちのままロープ際まで移動してディフェンス。ニューイェンがあきらめると、その離れ際にスタンプが右のヒジと右の拳を怒濤の勢いで振るいまくる。

 2R、左右フックで飛び込むニューイェン。スタンプはバックステップでかわしながら首相撲にとらえてヒザ蹴り、そして離れ際に右ミドルを叩き込む。今度はスタンプが右ストレート。ニューイェンはバックハンドブローのカウンターを狙うが、これは惜しくもクリーンヒットせず。

 ニヤリと笑うスタンプ。それでもニューイェンは下がることなくガンガン前に出る。スタンプはニューイェンに右ミドルをキャッチされると、片足立ちのまま右ストレートの連打を打ち下ろす。スタンプは常に得意気な表情なのも印象的だ。

 3R、ニューイェンは右ジャブや右フックから左ストレートを伸ばすが、スタンプは巧く距離を取って当てさせず、逆に右ミドルと右ローを返していく。ニューイェンが強引に飛び込めば、スタンプの首相撲とヒザ蹴りが待ち構える。

 ニューイェンは左ローを届かせんとしたところで、スタンプの右ストレートを被弾。スタンプは回転の速い左右フックを一気にまとめて攻勢を印象づける。終盤にもスタンプが首相撲からヒザ蹴り、右のヒジ、右の拳の速射砲を浴びせ、ニューイェンの鼻から出血させた。

 スタンプが満場一致の判定勝ちでMMAデビュー4連勝をマーク。試合後にはMMAのタイトルマッチにも意欲を示した。


▼MMA フライ級(61.2キロ) Main Card 5分3R
○ジェへ・ユスターキオ(フィリピン)
KO 3R 2分11秒
×トニ・タウル(フィンランド)

▼MMA バンタム級(65.8キロ) Main Card 5分3R
×ポール・ルミヒ(インドネシア)
KO 2R 2分39秒
○リー・カイウェン(中国)

▼ONE Super Series ムエタイ バンタム級(65.8キロ) Prelim 3分3R
×ハン・ズーハオ(中国)
判定0-3
○コンサック・PK・センチャイムエタイジム(タイ)

▼MMA ストロー級(56.7キロ) Prelim 5分3R
○ロビン・カタラン(フィリピン)
KO 2R 4分43秒
×グスタボ・バラート(キャーバ)

▼MMA フェザー級(70.3キロ) Prelim 5分3R
○キム・ジェウォン(韓国)
TKO 3R 38秒
×ハファエル・ヌネス(ブラジル)

▼MMA フライ級(61.2キロ) Prelim 5分3R
○マイナム(インド)
一本 1R 3分22秒 ※アームロック
×コン(カンボジア)