2019年11月22日(金・現地時間)シンガポールのシンガポール・インドア・スタジアムで『ONE: EDGE OF GREATNESS』が開催されました。以下に試合レポート・結果を綴ります(※試合順は入れ替えてします)。なお、今大会の闘技場はケージではなくリングです。

Photos(C)ONE

Prelim
▼バンタム級(65.8キロ) 5分3R
×ブルーノ・プッチ(29=ブラジル)
判定0-3
○上久保周哉(26=日本)

上久保が上からコントロールして削る

 上久保は10勝(3KO・TKO/1SUB)1敗1分の通算戦績を持ち、“永久ネワザ地獄”と称されるファイトスタイルを武器とするグラップラー。昨年7月からONEに参戦し、現在3連勝中だ。

 対するプッチも2009年と2010年にノーギ・ワールドで優勝した実績を持つグラップラーで、通算戦績は7勝(1KO・TKO/6SUB)3敗。今年1月の前戦で元ONE世界ライト級王者・朴光哲にリアネイキドチョークで1R一本勝ちし、現在2連勝中だ。ONE世界女子アトム級王者アンジェラ・リー(シンガポール)の夫としても知られている。

 1R、上久保が開始と同時に飛びヒザ蹴りで強襲にいくが、これはプッチがブロック。プッチが距離を取り直して左フックと右ストレートを打ったところで、上久保はタックルに入ってそのままロープまで押し込む。プッチは下に引き込んで三角絞めをセットしながら腕も極めにいこうとするが、上久保にちぎられてしまう。

 上久保のパウンドに合わせて立ち上がるプッチ。上久保はしぶとく組みついていくが、逆にプッチに抱え上げられてテイクダウンを決められてしまう。それでも上久保は腰を上げて背中にのしかかってきたプッチをずり下ろすと、両足を束ねて座りの状態にさせ、今度はがぶりの体勢に持ち込んでヒザ蹴りを入れる。抜け出したプッチの顔は紅潮している。

 2R、上久保が早々に組みからのテイクダウンを決め、上をキープしながらの顔面ヒザ蹴り。プッチは立ち上がってもすぐに上久保に組み伏されてしまう。上久保はプッチとのスクランブルも制してパウンドを落とし、終盤にもがぶりながらのヒザ蹴りを入れる。

 3R、上久保は左右フックをヒットさせ、直後にプッチのタックルもカット。上久保に押し込まれたプッチはコーナーを背負うも踏ん張りきれず、テイクダウンを許す苦しい展開が続く。上久保は立ち上がろうとするプッチを背後から潰し、パウンドとヒザ蹴りで削り続けた。上久保がプッチを完全制圧し、満場一致の判定勝ちでONEデビュー4連勝をマークした。


Prelim
▼ONE Super Series ムエタイ フライ級(61.2キロ) 3分3R
○ニューイェン・トラン・デュイ・ニャット(30=ベトナム)
KO 2R 20秒
×渡辺優太(29=日本)

ニューイェンの右ハイで倒れた渡辺

 渡辺はJ-NETWORK、MA日本、MuayThaiOpen、WMC日本、WPMF日本のスーパーバンタム級王座を獲得している5冠王。キックボクシングルールで臨んだ今年3月のONE初戦は、ルイ・ボテーロ(ポルトガル)に判定負け。9月にはONEルール採用のパンクラス主催大会『Road to ONE: CENTURY』にも出場したが、内藤大樹にムエタイルールでKO負けを喫している。今大会でONE初勝利を目指す。

 対するニューイェンはムエタイルールで臨んだ今年9月のONEデビュー戦で、アズワン・チェウィル(マレーシア)にKO勝ち。序盤からアグレッシブに攻めるムエタイスタイルで、チェウィル戦では2Rに鋭い左ハイでダウンを奪い、3R終盤に強烈な右フックで相手を失神へと追い込んでいる。

 選手はオープンフィンガーグローブ着用。闘技場はロープのリングとなる。

 1R、構えは渡辺がサウスポー、ニューイェンがオーソドックス。両者が細かく前手で触り合う距離感の中、渡辺が前に歩を進める。その探り合いを切り裂くようなニューイェンの右ミドル。ブロックしながら右ローと左インローを返す渡辺に対し、ニューイェンは返す刀で右の蹴りを上中下段に飛ばしていく。

 試合が動いたのは終盤。ニューイェンがフェイトを入れてからの右ハイを渡辺の側頭部に炸裂させ、ダウンを先取する。立ち上がった渡辺は直後に再びニューイェンの右ハイを喰らって2度目のダウン。渡辺はここも立ち上がり、ゴングに救われるかたちでなんとか3度目のダウンをまぬがれる。 

 2R、ニューイェンは前手で渡辺のガードを払って右ストレート。渡辺は左インローを返すが、ほどなくしてニューイェンの右フックからの右ハイをもらってしまい、3度目のダウンを喫する。渡辺のダメージをみてレフェリーはここで試合を止めた。

 ニューイェンが右ハイで3度のダウンを取ってのKO勝ち。渡辺は見せ場を作ることができず、厳しい連敗となった。


Main Card
▼女子フライ級(61.2キロ) 5分3R
○コルビー・ノースカット(アメリカ)
判定3-0
×プトゥリ・パドミ(インドネシア)

コルビーが長い足からハイを飛ばす。
それにしても弟に似ている

 コルビーは元UFCファイターのセージ・ノースカット(アメリカ)の実姉。空手をバックボーンに持ち、女子アマチュアMMAで試合を重ねた後、2017年6月の『LFA 14』でプロデビューしたがTKO負け。その後はMMAの試合に出場しておらず、2年5カ月ぶりの実戦にしてプロ2戦目をONEで戦うことになった。対戦相手のパドミも同じく1戦1敗の戦績で臨むプロ2戦目となる。

 コルビーが1R早々に右ハイと右ストレートを効かせ、パドミがタックルで逃れんとしたところをギロチンにとらえて引き込む。パドミはすぐに頭を抜くが、今度はコルビーの腕十字につかまってしまう。しかし、ここからパドミが腕を伸ばされても伸ばされても脱出。コルビーは腕十字を何度もセットし直すが、極めきれずにゴングを聞く。

 この攻防で両者ともに疲労した感があり、2Rと3Rは流すような攻防に。それでもコルビーが前足と奥足でハイを蹴りながら、パドミが右ストレートを伸ばしてきたところで左フックや右ストレートを当てにいくなど、危なげなく試合を運び、満場一致の判定勝ちでプロ初勝利をあげた。


Main Event
▼ONE Super Series ムエタイ世界バンタム級(65.8キロ)タイトルマッチ 3分5R
○ノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ/王者)
KO 4R 1分46秒
×セーマペッチ・フェアテックス(タイ/挑戦者)

※ノンオーが3度目の防衛に成功。

Co-Main Event
▼ライト級(77.1キロ) 5分3R
○アミール・カーン(シンガポール)
判定2-1
×エブ・ティン(マレーシア+ニュージーランド)

Main Card
▼バンタム級(65.8キロ) 5分3R
○トロイ・ウォーゼン(アメリカ)
KO 2R 4分56秒
×チェン・レイ(中国)

Main Card
▼81キロ契約 5分3R
○ラウル・ラジュ(インド)

一本 2R 3分00秒 ※リアネイキドチョーク 
×ファカン・チーマ(パキスタン)

Main Card
▼ストロー級(56.7キロ) 5分3R
○デェダムロン・ソー・アミュアイシルチョーク(タイ)
TKO 3R 1分21秒
×モハメド・イムラン(パキスタン)

Main Card
▼ストロー級(56.7キロ) 5分3R
○アレックス・シウバ(ブラジル)
一本 2R 4分45秒 ※腕十字
×ペン・シュウウェン(中国)

Prelim
▼ONE Super Series ムエタイ フェザー級(70.3キロ) 3分3R
○ペットモラコット・ペッティンディー・アカデミー(タイ)
KO 2R 1分48秒
×チャーリー・ピータース(イングランド)

Prelim
▼ONE Super Series ムエタイ フェザー級(70.3キロ) 3分3R
×ブラウン・ピーナス(オランダ)
判定0-3
○リアム・ノーラン(イギリス)