40歳の藤沢彰博が会心の1R・KO勝ちで連敗脱出を果たした Photos(C)ONE Championship

 2020年8月14日(金・現地時間)、タイ・バンコクのインパクトアリーナで事前開催・収録されていた『ONE: NO SURRENDER Ⅱ』が配信されました。以下、試合レポート・結果です。なお、今大会の闘技場にはケージではなく、リングが使用されています。

Main Card
▼総合格闘技 59.5kg契約 5分3R
×ポンシリ ・ミートサティート(24=タイ)
KO 1R 4分55秒
○藤沢彰博(40=日本)

ポンシリ(左)の顎をとらえる藤沢(右)のフック

 藤沢はタイ在住の日本人選手。2018年3月にONE Championshipのトライアウト大会『One Warrior Series 1』で、ネパール人選手にTKO勝ちし、契約を掴んだ。本大会では2試合連続のTKO勝ちで好スタートを切ったが、その後は一本負けが2試合とKO負けが1試合の3連敗。今大会が踏ん張りどころだ。

 対するポンシリも2016年5月のONEデビュー戦から3試合連続TKO勝ちという上々の滑り出しだったが、近年は黒星が先行。藤沢と同じく現在3連敗中で、今回の試合に生き残りが懸かる。

 藤沢はONEフライ級(61.2kg)、ポンシリはONEストロー級(56.7kg)を主戦場としており、今回の試合は59.5kg契約のキャッチウェイトで行われた。

 1R、構えは両者共にオーソドックス。ポンシリが間合いを詰めて右ミドルを蹴れば、藤沢も受け止めてすぐ右ストレートから左フックを返す。細かくフェイントかけ合う両者。ポンシリは藤沢の左ローに右ストレートを合わせにいき、離れ際には左ハイを飛ばす。藤沢のタックルを警戒してか、ポンシリは時おり右アッパーのフェイントも見せる。

 さらに右ハイからパンチを連打して一気に迫るポンシリ。藤沢はクリンチに逃れるが、その離れ際をポンシリの右肘が顔面をかすめる。それでも藤沢は集中力を切らさず、ほどなくすると左ジャブのフェイントから左インローを蹴り、ポンシリのパンチを誘ってタックル。藤沢が巧くテイクダウンを決める。

 押さえ込みながら少し顔を上げる藤沢。ガードポジションのポンシリはこの一瞬を逃さず、左肘の横打ちと縦打ちで藤沢の顔面を斬りつける。ポンシリの両足もうるさい。藤沢は粘り強く入り直し、ようやくポンシリの片足を乗り越える。強引に上体を起こして立ち上がろうとするポンシリ。藤沢はこれを潰してマウントを取り、続けてサイドに移行して肘を落とす。

 だが、ポンシリも尻を弾ませた反動で一気に立ち上がり、藤沢のチョークも回避して譲らず。残り時間30秒で両者は打撃戦に。するとここで試合が動く。ポンシリの右ミドルをガードした藤沢は、すぐに距離を取り押して左フック。この一撃でポンシリがダウンする。藤沢はすぐさま拳・肘・膝で追撃。ポンシリはこれを搔い潜って立ち上がり、直後に反撃せんと踏み込むが、待っていたのは藤沢渾身の左フックだ。ポンシリがマットに崩れ落ちた。

 藤沢が落ち着いた試合運びから最後はキレのあるパンチでKO勝ち。藤沢は嬉しい連敗脱出となった。


Main Event
▼ムエタイ バンタム級(65.8kg)トーナメント・準決勝 3分3R
○セーマペッチ・フェアテックス(26=タイ)
判定3-0
×ロドレック・PK・センチャイムエタイジム(30=タイ)
※セーマペッチがトーナメント決勝進出。

戦車のごとく前に出続けるロドレック(右)に対し、左の蹴りで跳ね返しにかかるセーマペッチ(左)

 ONEムエタイ世界バンタム級王者ノンオー・ガイヤーンハーダオ(33=タイ)への挑戦権を懸け、4選手が争うトーナメント。今大会ではセーマペッチとロドレックの実力者2人が、決勝進出を懸けて拳を交えた。

 両者はこれが4度目の対戦。過去3戦はロドレックが2勝1敗と勝ち越している。

 1R、構えはセーマペッチがサウスポー、ロドレックがオーソドックス。セーマペッチがワンツーの左ストレートで腹を狙い、右の前手でロドレックのガードを払い除けて即座に左肘で斬り込む。ロドレックの鋭い右ハイはセーマペッチが上体を反らしてかわす。

 しばしの打撃交換からロドレックがまたも右ハイ。セーマペッチはこれもかわすと、今度は強烈なワンツスリーのパンチで攻め立てる。セーマペッチはたびたびワンツースリーでロドレックを脅かし、右アッパーを起点にするなど変化もつけていく。だが、ロドレックも有効打はもらっていない。

 2R、ロドレックスが左の前手を細かく出しながら前進し、左の関節蹴り、右インロー、ワンツーをコンパクトに打つ。セーマペッチもすぐにダブルの右ジャブから左ハイを蹴って応戦。互いに何度も前手で触り合う距離感が続く。そこからロドレックが右ストレートに繋げれば、セーマペッチはカウンターのワンツーに左ミドルを追加。セーマペッチは右アッパーからの左ストレートも鋭い。

 ただ、構わず歩を前に進めて距離を詰め続けるのはロドレックで、ダメージも受けていない様子。セーマペッチは手数で勝るが、ロープを背負う場面は多い。ロドレックは終盤にかけ、膝蹴りから左フックや右ボディに繋げる攻撃を見せる。

 3R、両者が前手でバチバチバチと強めに触り合い、そこから一気にミドルを蹴るがこれは相打ちに。ロドレックが左フックから右ミドルを蹴れば、セーマペッチが打ち終わりに左ミドルを返し、今度はロドレックが左フックからクリンチで膝蹴りを突き上げれば、セーマペッチがお返しの膝蹴りから左ストレートを振り抜く。

 互いにミドルにはミドル。ロドレックの右ストレートにはセーマペッチが左の縦肘でカウンターだ。打撃の攻防は一進一退。しかしながら、全く後ろへ下がる気配の無いロドレックを前に、セーマペッチの表情からはやや疲労もうかがえる。ロドレックは時おり笑顔で手を上げて余裕の表情。終了のゴングが鳴ると、セーマペッチが先にひざまずいてロドレックに敬意を示した。

 勝敗の結果は判定2-0でセーマペッチに軍配。セーマペッチが難敵ロドレックを下し、トーナメント決勝に駒を進めた。


Co-Main Event
▼キックボクシング バンタム級(65.8kg) 3分3R
×レオ・ピント(フランス)
判定0-3
○メディ・ザトゥー(アルジェリア)

Main Card
▼ムエタイ フェザー級(70.3kg) 3分3R
○ソーグロー・ペッティンディーアカデミー(タイ)
判定2-1
×ポンシリ・PK センチャイムエタイジム(タイ)

Main Card
▼総合格闘技 フライ級(61.2kg) 5分3R
○ヨッカイカー・フェアテックス(タイ)
KO 2R 1分11秒
×ジョン・シンク(イギリス)

Main Card
▼ムエタイ フライ級(61.2kg) 3分3R
×ファン・ディン(中国)
判定0-3
○ファディ・カレッド(チュニジア)