スタンプ(右)のパンチの打ち終わりにロドリゲス(左)が巧く左ミドルを合わせる Photos(C)ONE Championship

 2020年8月28日(金・現地時間)、『ONE: A NEW BREED』がタイ・バンコクのインパクト・アリーナ(無観客)で開催されました。以下、試合レポート・結果です。なお、今大会の闘技場にはケージではなく、リングが使用されています。

Main Event
▼ムエタイ アトム級(52.2kg)タイトルマッチ 3分5R
×スタンプ・フェアテックス(22=タイ/王者)
判定0-2
○アリシア・ヘレン・ロドリゲス(22=ブラジル/挑戦者)
※スタンプが2度目の防衛に失敗。ロドリゲスが新王座に就く。

キックに続きムエタイのベルトも失ったスタンプ(左)。一方、ロドリゲス(右)は初参戦で新王者に輝いた

 スタンプはONEのムエタイとキックボクシングでアトム級王座を掴み、総合格闘技でもデビュー5連勝を飾るなど活躍中。だが、今年2月に迎えたキック王座の初防衛戦で、ジャネット・トッド(34=アメリカ)に判定負けし、ベルトを失うことに。今回はONE初参戦のロドリゲスを相手に、ムエタイ王座のV2防衛を目指す。

 紹介されたムエタイ戦績はスタンプが63勝16敗5分、ロドリゲスが30勝5敗。選手はオープンフィンガーグローブ着用で試合に臨んだ。

 1R、構えは両者共にオーソドック。様子見でスタートしようとした両者に対し、レフェリーが早速、口頭注意で積極性を促す。するとスタンプがワンツーからワンツースリーフォーまでパンチを力強く飛ばし始め、右ボディストレートを強打。ロドリゲスもスタンプの右ローをキャッチすると、即座にお返しの右ミドルだ。スタンプはニヤリと不敵な笑みを浮べる。

 2R、パンチでガンガン仕掛けるスタンプに対し、ロドリゲスは間合いを測りながら左右ミドル。スタンプは構わず前に出て右拳を届かせんとするが、ロドリゲスに右の肘打ちを合わされる場面も。それでもスタンプは波状攻撃を続行し、ロドリゲスを押し込む。

 3R、スタンプのペースがやや落ち始め、首相撲の場面でもロドリゲスにバランスを崩される。ロドリゲスはスタンプに拳を振らせて、右ミドルと前手の肘打ちで迎撃。スタンプは右目の周りが腫れ、鼻からは出血も見られる。

 4R、ロドリゲスがジリジリとプレッシャーをかけ、スタンプのパンチをかわして右ストレート、左ボディフック、前手の肘打ちを返す。スタンプは首相撲でもロドリゲスを崩せない。スタンプは左右の前蹴り・ミドルも当てていく。

 5R、スタンプはパンチの連打で前に出るが、ロドリゲスに肘打ちを返されて一気にペースダウン。スタンプは前足を伸ばしたり、両手を前に出したりして、なんとか追撃を食い止めようとするが、ロドリゲスの狙いすました左ストレートを被弾してコーナーを背負ってしまう。スタンプは鼻からの出血が激しくなり、前に出ることができず。ロドリゲスは勝利を確信したか、流して試合を終えた。

 結果は判定2-0のマジョリティーでロドリゲスに軍配が上がり、新王者が誕生。スタンプはキックボクシングに続き、ムエタイのベルトも失うこととなった。

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Co-Main Event
▼ムエタイ バンタム級(65.8kg)トーナメント・決勝 3分3R
○ロドレック・PK・センチャイムエタイジム(30=タイ)
判定3-0
×クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(21=タイ)

※ロドレックがトーナメント優勝。

ロドレック(右)が力強い前進と拳でクラップダム(左)を凌駕

 ONE Super Seriesムエタイ世界バンタム級王者ノンオー・ガイヤーンハーダオ(33=タイ)への挑戦権を懸け、4選手が争うトーナメント。決勝はロドレックとクラップダムの顔合わせだ。

 ロドレックは先日の準決勝でセーマペッチ・フェアテックス(26=タイ)に判定負けしていたが、セーマペッチの負傷欠場により、決勝進出となった。一方のクラップダムはセンマニー・クロンスアンプルリゾート(23=タイ)に1R・KO勝ちし、文句無しで決勝へと駒を進めている。

 1R、構えはロドレックがオーソドックス、クラップダムがサウスポー。互いに前手を細かく出しながらローと前蹴りを当て、仕掛ける時にはパンチのコンビネーションだ。クラップダムは得意の右アッパーを混ぜた3連打。ロドレックは落ち着いて見切りながら右ストレートのカウンターを返し、ワンツーから膝蹴りに繋げる攻撃も鋭い。

 2R、クラップダムがペースアップし、左ボディーストレートから右フック、ワンツー、左ローから右の前蹴りなど、右ジャブもしっかり挟みながらの波状攻撃。だが、ロドレックはしっかりとブロックを築いて当てさせず、右フックを返す。

 クラップダムの拳と肘で額を割られても構わず間合いを潰すロドレック。クラップダムはロープを背負ったところで首相撲に持ち込まんとロドレックの首に手をかけるが、この一瞬の隙に右アッパーと左フックを叩き込まれてしまう。ロドレックが終盤にダウンを先取。クラップダムはなんとか立ち上がった。

 3R、クラップダムは右アッパーを混ぜたパンチの波状攻撃。ロドレックはここも構わず間合いを詰め、クラップダムにロープを背負わせたところで右ボディフックと膝蹴りを突き刺す。クラップダムがゆっくりと崩れ落ち、2度目のダウンとなる。

 クラップダムは再びなんとか立ち上がるが、直後にロドレッククの左右ボディフックに体を丸めるなど、ダメージの色は濃い。以降もロドレックが顔を鮮血に染めながら重戦車のごとく圧力をかけ続け、クラップダムに反撃の機会を与えることなく試合終了となった。

 結果は2度のダウンを奪ったロドレックが判定3-0で勝利し、王座挑戦権を掴んだ。

 試合後の勝利者インタビュー。ロドレックは「(カットを受けて)試合を止められてしまうことが少し怖かったが、失うものは何も無いので前に出続けた」と試合を振り返り、「(ノンオー戦に向けて)チャンスを与えてくれたことに感謝している。しっかりと準備してお互いに良い試合ができるようにしたい。ノンオーが負けてくれたら自分がチャンピオンになれる」と冗談混じりに笑顔でコメントした。

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▼総合格闘技 アトム級(52.2kg) 5分3R
○デニス・ザンボアンガ(フィリピン)
一本 1R 1分28秒 ※アメリカーナ
×ワシャピニャ・ガオコー(タイ)

▼ムエタイ ストロー級(56.7kg) 3分3R
○ワンダーガール・フェアテックス(タイ)
KO 2R 1分06秒
×KC・カルロス(アメリカ、フィリピン)

▼総合格闘技 フライ級(61.2kg) 5分3R
○ドレックス・ザンボアンガ(フィリピン)
一本 2R 4分58秒 ※リアネイキドチョーク
×デッチャディン・ソンシリスッパティン(タイ)

▼ムエタイ フライ級(61.2kg) 3分3R
×ファン・ディン(中国)
KO 1R 2分52秒
○ソク・ティー(カンボジア)

▼総合格闘技 フライ級(61.2kg) 5分3R
○ヨッカイカー・フェアテックス(タイ)
TKO 3R 1分21秒
×アレックス・シルド(アメリカ)