2019年12月31日(火)さいたまスーパーアリーナで『RIZIN.20』が開催されました。以下、試合レポート・結果です。

メインイベント
第15試合
▼RIZINバンタム級(61.0kg)タイトルマッチ RIZIN MMAルール 5分3R ※肘あり
×朝倉 海(26=日本)
TKO 2R 38秒
○マネル・ケイプ(26=アンゴラ)
※ケイプが新王座に就く。

ケイプ(右)は予告通り2Rで朝倉(左)をフィニッシュした

 堀口恭司が負傷により長期の戦線離脱を余儀なくされ、今年11月にRIZINバンタム級王座を返上。朝倉とケイプが新王座を争うことになった。

 朝倉は2017年から兄の未来と共にRIZINで活躍中。今年8月の『RIZIN.18』では、あの堀口恭司を68秒KOでマットに沈め、大きな衝撃をもたらした。続く10月の『RIZIN.19』でも佐々木憂流迦を54秒KOに下し、現在5連勝中と絶好調だ。通算戦績は14勝1敗(9KO・TKO/2SUB)。

 対するケイプは2017年のRIZINバンタム級GPで準優勝。決勝では堀口に一本負けしている。その後は朝倉に判定負け、中村優作に3R一本勝ち、佐々木憂流迦に判定負け、伊藤盛一郎に2RTKO勝ち、水垣偉弥には2RKO勝ち、という戦いぶり。今大会で念願のタイトルマッチとリベンジのチャンスを掴んだ。通算戦績は14勝4敗(8KO・TKO/5SUB)。

 1R、構えは朝倉がオーソドックス、ケイプがサウスポー。1分が経過した所でケイプがタックル。朝倉はこれをカットする。そしてパンチを打ち合う両者。朝倉が左ボディからの右ストレートを打てば、ケイプも左ミドルからのワンツーを返す。朝倉の右ショートがヒット。終盤にはケイプもパンチをまとめて再び朝倉を下がらせる。

 2R、開始早々に試合が動く。足を止めてパンチの打ち合いになる両者。朝倉がケイプの右の拳をもらってダウンする。ケイプはすぐに怒濤の鉄槌をまとめ、レフェリーストップを呼び込んだ。

 ケイプが朝倉にTKO勝ちでリベンジを果たすと共に、RIZINバンタム級の新王座を獲得。試合直後にケイプは喜びのあまってリングを飛び出し、解説席に座っていた堀口の額にキスをする。

 その後、マイクを握ったケイプはお気に入りの日本語「ナンダヨー」を新王者の第一声とし、「この日が来るのを待っていた。何者でも無かった俺がついに何者かを示せるようになった。世界チャンピオンだ。この競技に名前を刻むことができた。日本が大好きだよ。もうすでに心は日本人だ。アリガトウゴザイマス」と勝利の喜びを言葉にした。


セミファイナル
第14試合 スペシャルワンマッチ
▼56.0kg RIZINキックボクシング特別ルール 3分3R・延長1R
○那須川天心(21=日本)
TKO 1R 2分46秒 ※3ノックダウン
×江幡 塁(28=日本)

那須川(左)は江幡(右)との日本人キック頂上決戦に圧勝

 那須川はキックボクシングの神童として脚光を浴び、主戦場のRISEではバンタム級とフェザー級のベルトを獲得。さらに今年9月にはRISE WORLD SERIES 2019 -58kg級トーナメントも制覇し、通算戦績を38戦全勝(29KO・TKO)としている。

 対する江幡塁(るい)は双子の兄・睦(むつき)と共に新日本キックボクシング協会のエースとして活躍。同団体の日本バンタム級王座とWKBA世界スーパーバンタム級王座を獲得し、今年8月にはKING OF KNOCK OUT初代スーパーバンタム級王座決定1DAYトーナメントも制覇している。
 
 1R、構えは那須川がサウスポー、江幡がオーソドックス。那須川が鋭いワンツーと左ミドル。江幡は右ストレートをカウンターで返す。那須川の入り際を左フックで狙う江幡。那須川が右フックから左ボディを叩き込む。ここから那須川がパンチの高速コンビネーションでさらに攻める展開に。

 江幡は那須川の左フックからの右フックを被弾し1度目のダウン。那須川は顔面と腹に打ち分けながらのパンチラッシュで2度目のダウンを追加。最後は距離を取ろうとする江幡に対し、那須川が強烈な左ストレートを連続で叩き込み、3度目のダウンを取ってTKO勝ちを決めた。

 圧倒的な強さを見せた那須川はマイクを握ると、「めちゃめちゃ気持ちよかったですね。大晦日なので絶対にKOすると決めていました。日本人最強と言われる江幡選手にレベルの違いを見せたかったです。初めて右のフックで倒せて、そこは成長できたのかなと思います。江幡選手もありがとうございました」と爽快な表情で述べ、「来年はオリンピックがありますが、それよりも面白いことしようじゃねえかと思っているのですが、皆さんどうですか?」との言葉も投げかけた。


第13試合
▼RIZIN女子スーパーアトム級(49.0kg)タイトルマッチ RIZIN女子MMAルール 5分3R ※肘あり
×浜崎朱加(37=日本)
判定1-2
○ハム・ソヒ(32=韓国)
※浜崎が2度目の防衛に失敗、ソヒが新王座に就く。

ソヒ(右)が浜崎(左)との死闘を制し、8年越しの雪辱を果たすと共に王座も奪取した

 両者が拳を交えるのはこれが8年ぶり3度目。初対決は2010年12月のDEEP JEWELSストロー級(52.2kg)トーナメントの決勝戦、2度目はその1年後の同級タイトルマッチで、いずれも浜崎が勝利している。

 その後、浜崎はアメリカのInvicta FCで世界アトム級王者として活躍。昨年大晦日のRIZIN女子スーパーアトム級王座決定戦で浅倉カンナに一本勝ちし、初代王者の栄冠も掴んだ。今年6月の初防衛戦で現Invicta FC世界アトム級王者ジン・ユ・フレイ(アメリカ)の挑戦を判定で退け、8月にはワンマッチでアム・ザ・ロケット(タイ)に一本勝ち。今回が2度目の防衛戦だ。通算戦績は19勝2敗(3KO・TKO/8SUB)。

 一方、ソヒは2013年にDEEP JEWELSでアトム級(47.6kg)王座を獲得し、翌年には韓国人女性ファイターとして初めてUFCに参戦。UFCでは1階級上のストロー級で1勝3敗の結果だったが、母国のROAD FCに活躍の場を移すとアトム級王座を獲得し、先述のフレイを1RTKOに下すなど適正階級で健在ぶりを示した。今年10月のRIZIN2戦目で山本美憂を2RTKOに下し、今回の王座挑戦権を掴んでいる。通算戦績は22勝8敗(4KO・TKO/3SUB)。

 1R、構えは両者共にサウスポー。いきなりパンチの打ち合いで開戦。浜崎の右の拳がヒットする。前手を伸ばしてプレッシャーをかけるソヒ。互いに距離が定まった所で両者は堰を切ったように激しいパンチの打ち合いを繰り広げる。得意の左ストレートを振り抜くソヒ。浜崎はかわしながら巧く右ジャブを返し、コンビネーションの中で前蹴りと右ミドルも混ぜていく。

 2R、なおも前手を伸ばしながら迫るソヒ。浜崎はオーソドックスにスイッチして左手で触り返す。浜崎がソヒの蹴り足をすくってテイクダウン。しかし、ソヒは下から三角絞めに捕らえる。懸命に体を寄せてディフェンスする浜崎。ソヒは三角絞めのまま肘を連打する。会場からは「ハムちゃん」コール。ソヒの絞めは緩む気配が無い。浜崎は側頭部に肘を浴び続けたがなんとか耐えて生還した。

 3R、ソヒの左ストレートを連続被弾した浜崎は鼻血。ソヒは浜崎をコーナーへと押し込む。両者はロープ際で体勢を入れ替えながら組みの攻防。残り時間2分が近づいた所でついに浜崎が投げでテイクダウンを決める。浜崎は袈裟固めから鉄槌と肘。形勢逆転となる。終了間際に浜崎は自ら立ち上がり、それに続こうとしたソヒに容赦無くサッカーボールキックを蹴った。

 激闘の勝敗はジャッジに委ねられる。結果は判定2-1でソヒに軍配。浜崎は2度目の防衛ならず、王座陥落となった。

 三度目の正直をモノにしたソヒは「ありがとうございます。美しい夜です。セコンドと私の家族にありがとうと言いたいです。応援してくれた皆のおかげで勝つことができました。これからももっともっといい選手になりたいです。努力します。応援よろしくお願いします」と懸命に日本語でコメントし、最後は「皆さん、2020年、明けましたおめでとうございます。ありがとうございます」と、ちょっと早めの新年の挨拶を述べた。


第12試合 RIZIN×Bellator対抗戦
▼66.0kg RIZIN MMAルール  5分3R ※肘あり
○朝倉未来(27=日本/RIZIN)
判定3-0
×ジョン・マカパ(33=ブラジル/Bellator)

朝倉(左)は過去最強の敵マカパ(右)を破った

 RIZIN×Bellator対抗戦の大将戦。すでにBellatorが3勝1敗で勝ち越しを決めているが、朝倉はRIZIN代表の大将として意地を見せることができるか。

 朝倉はTHE OUTSIDERで活躍後、韓国のROAD FCを経て昨年8月からRIZINに参戦。ここまでは元修斗世界フェザー級王者の日沖発とリオン武にTKO勝ち、ルイス・グスタボ(ブラジル)に判定勝ち、今年7月の『RIZIN.17』では矢地祐介にも判定勝ちと、RIZINで全勝をキープしている。通算戦績は12勝1敗(6KO・TKO/1SUB)。

 対するマカパはブラジルの様々なプロモーションでキャリアを積んだ後、2014年からBellatorに参戦。一時はA.J. マッキー(アメリカ)をはじめとした強豪達に3連敗を喫したが、そこから2連勝と復活し、今大会に刺客として乗り込むことになった。通算戦績は23勝4敗(5KO・TKO/10SUB)。

 1R、構えは朝倉がサウスポー、マカパがオーソドックス。リング中央に入った朝倉に対し、左方向へ回り込むマカパ。1分が経過した所で朝倉が左ボディからの右フックを振るう。マカパはワンツー。朝倉がスウェーでかわしながら左フックを叩き込む。マカパも怯むことなく左右ローを蹴り、その拳も飛ばす。終盤に朝倉が飛び膝蹴り、さらに細かいパンチを見せてからの左ミドルも決めた。

 2R、マカパがワンツーと右ミドルのコンビネーション。朝倉は右ジャブを突き、そこから左ミドルと左ボディストレートをヒットさせる。マカパの蹴り足をキャッチする朝倉。マカパが素早く右ストレートを当てると、朝倉は笑みを浮かべる。終盤にかけてはパンチを打ち合い、互いの右フックでよろめく場面も。朝倉はマカパのタックルに合わせて鋭い膝蹴りを突き刺した。

 3R、マカパがタックルでテイクダウン。背中を許した朝倉は立ち上がって胸を合わせる。打撃戦に戻る両者。中盤に朝倉の強烈なワンツーがヒットする。しかしマカパの足取りは依然として力強く、左右ローも重たい。残り時間1分半の所でマカパがタックルで朝倉に尻餅を着かせる。マカパは朝倉に膝蹴りで顔面を突き上げられてもすぐに拳をフルスイング。朝倉が左ミドルを蹴った所で試合終了となった。

 タフなマカパに対し、朝倉が有効打で上回っての判定勝ち。マイクを持った朝倉は「結構いいのを入れてたと思うんですが、相手が頑丈でしたね。まあ、勝ったんで良かったんじゃないですか」とひょうひょうと試合を振り返ると、「全勝でこれたし、今日も声援をもらえたんで、格闘技を盛り上げることができているんだと思います。皆さん色々あると思うんですが、まあ頑張りましょう。あとYouTube登録して下さい。この後、弟がタイトルマッチを戦うんで、チャンネル変えずに見てて下さい」と続けて会場の笑いを誘った。

 RIZIN×Bellator対抗戦はBellatorが3勝2敗で制している。


第11試合 スペシャルワンマッチ
▼50.8kg RIZIN女子MMAルール 5分3R ※肘あり
×リンジー・ヴァンザント(26=アメリカ)
TKO 3R 4分42秒
○RENA(28=日本)

RENA(右)はピンチと悲しみを乗り越え、ヴァンザント(左)に雪辱を果たした

 両者の対戦はこれが半年ぶり2度目。初対決は今年6月にニューヨークのMSG(マジソン・スクエア・ガーデン)で開催された『Bellator 222』を舞台に行われ、ヴァンザントがRENAを1Rにチョークで絞め落としている。

 ヴァンザントは2017年7月にKOTC(King of the Cage)でプロデビューし、BellatorやInvicta FCなどに参戦。前戦は今年10月の『Invicta FC 37』で、紫乃・ヴァンフーズ(アメリカ)を秒殺TKOに下している。通算戦績は7勝2敗(5KO・TKO/1SUB)。

 対するRENAはシュートボクサーとしてキャリアを重ね、2015年12月にRIZINで総合格闘家デビューを果たすと、いきなり飛びつき腕十字を極めてインパクト大の一本勝ち。2017年大晦日に浅倉カンナに一本負けして初黒星をつけられるまで、6連勝を収めていた。ヴァンザントに敗れてからの再起戦を今年10月の『RIZIN.19』で迎え、対戦相手を秒殺TKOに仕留めている。MMAの通算戦績は9勝3敗(5KO・TKO/2SUB)。

 1R、構えは両者共にオーソドックス。いきなり飛び蹴りを狙うヴァンザント。RENAはかわして鋭いワンツーを突く。ロープ際からのタックルでテイクダウンを決めるヴァンザント。RENAはガードポジションで固める。ヴァンザントは気合いのかけ声と共に鉄槌。RENAは腕十字を仕掛け、ヴァンザントに一度サイドを許すものの、巧く返してサイドを取る。RENAはしばしの押さえ込みから立ち上がると、終了間際のヴァンザントのタックルを切って見せる。

 2R、RENAは左ジャブを上下に散らして迫り、ヴァンザントがコーナーを背負った所でパンチのコンビネーション。被弾したヴァンザントは一瞬よろめく。RENAが強打を振るえば、ヴァンザントはタックル。RENAはグラウンドには付き合わない様子であったが、ヴァンザントがコーナーを背負った所でタックルに出る。ヴァンザントはこの瞬間を逃さず、RENAの背中に飛び乗ると、チョークを狙いながら崩して三角絞め。ヴァンザントは腕十字に切り替えて極めにいく。RENAはゴングに救われるかたちで生還する。

 3R、ヴァンザントのタックルをがぶって潰すRENA。ヴァンザントが膝蹴りを嫌がった所でRENAはサイドを取る。RENAはヴァンザントの上体にまたがりながらのアームロック。ヴァンザントは腕を引き寄せて懸命にしのぐ。ヴァンザントが立ち上がるとRENAは強烈なパンチ。ヴァンザントはタックルを仕掛けるもRENAにカットされてマウントも許す。RENAの鉄槌に顔を覆うヴァンザント。この状況がしばし続いた所でレフェリーが試合を止めた。

 RENAがピンチを乗り越えてのTKO勝ちでリベンジに成功。マイクを持ったRENAは「色々あって凄く辛かったんですが、29日、癌で闘病中だった友人が亡くなり、今日も告別式に行ってから会場に来ました。今日も観に来てくれていると思って、絶対に負けたくなかった。見てくれてるかな?」と天に目をやり、「その方も笑顔が素敵な方でした。私も一日一日を大切に笑顔で日々努力して勝てるように頑張ります。皆さん、応援よろしくお願いします」と前を向く。そして最後は恒例の「1、2、3、シュート!」で締め括った。


第10試合
▼RIZIN FIGHTING WORLD GP 2019 ライト級(71.0kg)トーナメント 決勝 RIZIN MMAトーナメントルール 5分3R
○トフィック・ムサエフ(30=アゼルバイジャン)
判定3-0
×パトリッキー・“ピットブル”・フレイレ(33=ブラジル)
※ムサエフがGP優勝。

ムサエフ(左)が激闘の末、パトリッキー(右)を破り、ライト級GPを制覇した

「RIZIN FIGHTING WORLD GP 2019 ライト級(71.0kg)トーナメント」決勝の顔合わせはムサエフ対パトリッキー。同日の準決勝でムサエフはジョニー・ケース(アメリカ)に1R2分47秒TKO勝ち、パトリッキーはルイス・グスタボ(ブラジル)に1R28秒TKO勝ちし、決勝進出を果たしている。

 ムサエフは強豪ひしめくロシアのプロモーションで活躍し、昨年大晦日からRIZINに参戦。修斗環太平洋王者の実績を持つ大尊伸光にTKO勝ち、RIZINライト級の門番であるダロン・クルックシャンク(アメリカ)に判定勝ち、そしてライト級GP 1回戦では元UFCのダミアン・ブラウン(同)にTKO勝ちしている。今大会準決勝での勝利により、通算戦績を17勝3敗(14KO・TKO/2SUB)に更新。このうち実に12試合が1Rでの勝利となっている。

 対するパトリッキーはBellatorが満を持してRIZINに送り込んできた刺客。2016年にはマイケル・チャンドラー(アメリカ)とBellator世界ライト級王座を争い(判定負け)、2017年には元UFC世界同級王者ベンソン・ヘンダーソン(同)に判定勝ちしている。RIZINデビュー戦となった10月のライト級GP 1回戦では川尻達也にTKO勝ち。今大会準決勝でのTKO勝ちにより、現在キャリア最長となっている連勝記録を「7」に更新している。通算戦績は23勝8敗(15KO・TKO/1SUB)。

 1R、構えは両者共にオーソドックス。リング中央に入るパトリッキー。ムサエフは左右に足を運ぶ。パトリッキーが左ジャブから右ストレートを連続でヒットさせ、徐々にパンチで圧をかけていく。被弾したムサエフは距離を取りながら左フックと右ロー、そしてスイッチからの左ミドルを繰り出す。

 パトリッキーは様子見に入ったのかと思えば一気にパンチの速射砲。間合いが潰れた所でムサエフの右フックも当たる。ここで足を止めての打ち合い。互いに被弾して効いた様子もある。パトリッキーは組んできたムサエフを投げでテイクダウンし、立ち際にはサッカーボールキック。ムサエフは構わず突進してテイクダウンを取り返し、一気に拳を落としまくる。両者の譲らぬ攻防に会場が沸いた。

 2R、左ミドルをキャッチされてバランスを崩すパトリッキー。ムサエフは素早く背中側からクラッチし、左フックを叩き込む。立ち上がったパトリッキーも左アッパーからの右フック。これを被弾したムサエフはすぐにタックルに出る。パトリッキーは両手をついて踏ん張らんとするが、押し込まれてリングから落下してしまう。

 パトリッキーのダメージ回復を待って試合再開。ムサエフはセコンドがパトリッキーに手で触れてしまったため、イエローカードを受けている。ムサエフのタックルに飛び膝蹴りを合わせにいくパトリッキー。ムサエフはパトリッキーの左ミドルをキャッチし、背後から組み伏せて拳を浴びせる。パトリッキーは終了間際に立ち上がると、ダメージを感じさせることなく力強い足取りで前に出る。

 3R、両者の抱擁から最後の5分間がスタート。ムサエフが左右フックで仕掛ければ、パトリッキーも左右フックで応戦。パトリッキーは左ミドルをキャッチされてもテイクダウンさせずに立て直す。両者がスイッチしながらの打撃戦。すると残り時間2分に迫った所で試合が大きく動く。

 ムサエフが鬼の形相でパンチをラッシュ。ロープ際でダウン気味に倒れたパトリッキーは鉄槌の雨を浴びる。ロープの向こうへ顔を逃がそうとするパトリッキー。ムサエフはパトリッキーの足を掴んでリングに引きずり戻し、左右の拳を落としまくる。パトリッキーはこの劣勢の中で立ち上がって見せるが、ムサエフのパンチを喰らうと組みつく。ムサエフはコーナーを背にテイクダウンさせず試合終了を待った。

 激闘の中で最後に畳みかけたムサエフが満場一致の判定勝ちを収め、ライト級GPを制覇。ベルトを腰に巻いたムサエフはアゼルバイジャンの国旗を羽織りながらマイクを持ち、「この勝利をアゼルバイジャンとその国民に捧げたい。日本とアゼルバイジャンを愛している」と勝利のコメントを述べた。


第9試合
▼RIZINライトヘビー級(93.0kg)タイトルマッチ RIZIN MMAルール 5分3R ※肘あり
○イリー・プロハースカ(27=チェコ)
TKO 1R 1分55秒
×C.B.ダラウェイ(36=アメリカ)
※プロハースカが初防衛に成功。

プロハースカ(左)は元UFCの実力者ダラウェイ(右)に何もさせず、TKO勝ちで初防衛を果たした

 プロハースカは今年4月の『RIZIN.15』でキング・モー(アメリカ)に3RTKO勝ちし、RIZINライトヘビー級初代王者に輝いた。10月の『RIZIN.19』ではワンマッチで元UFCのファビオ・マルドナド(ブラジル)に1RTKO勝ち。現在9連勝中と絶好調の中、今大会で初防衛戦に臨むこととなった。通算戦績は25勝3敗1分(22KO・TKO/2SUB)。

 対するダラウェイは2008年から10年近くをUFCミドル級戦線で過ごしてきた実力者。敗れはしたもののリョート・マチダ(ブラジル)やマイケル・ビスピン(イギリス)といった歴代王者とも拳を交えている。今大会でRIZIN初参戦にしていきなりの王座挑戦だ。通算戦績は17勝9敗(6KO・TKO/3SUB)。

 1R、構えは両者共にオーソドックス。ダラウェイはロープ際を左右に移動しながら右ロー。プロハースカはリング中央から圧力をかけていく。ダラウェイはプロハースカの右ストレートに仰け反って転倒するが、すぐに立ち上がる。しかしほどなく、プロハースカが右アッパーからの左フックをヒット。ダラウェイはばったりマットに倒れて動かなくなった。

 プロハースカが強敵相手に何もさせず、TKO勝ちで初防衛に成功。これで8試合連続KO・TKO勝ちとなったプロハースカはファンとRIZINに感謝の言葉を述べ、「RIZINダイスキ、ニホンダイスキ」と締め括った。


第8試合 スペシャルワンマッチ
▼93.0kg RIZIN MMAルール 5分3R ※肘あり
×ビタリー・シュメトフ(34=ロシア)
TKO 2R 58秒
○シモン・ビヨン(28=カメルーン)

シュメトフ(左)は好機を活かせず、初参戦のビヨン(右)にTKO負け

 シュメトフは今年7月の『RIZIN.17』で念願のRIZIN初参戦を果たしたが、ジェイク・ヒューン(アメリカ)に3RTKO負け。その試合は約2年ぶりの復帰戦であったこともあり、今大会で本領発揮といきたいところだ。通算戦績は14勝9敗(6KO・TKO/3SUB)。

 対するビヨンはこの試合がRIZINデビュー戦。今年9月に南アフリカのEFCでライトヘビー級王座を獲得し、満を持して今大会に乗り込む。通算戦績は6勝1敗(5KO・TKO/0SUB)。

 1R、構えは両者共にオーソドックス。シュメトフの右フックと膝蹴りがいきなり惜しい場面を作る。ビヨンは左右にステップしながら右カーフキック。シュメトフは右フックを打ち損じた所でビヨンに組まれてテイクダウンされるが、下から電光石火の腕十字を仕掛ける。ビヨンは間一髪で支点をずらしたか、しばらく耐え抜いて外す。以降はビヨンが上をキープしながら強烈な拳と肘を落とした。

 2R、顔面から出血しているシュメトフはドクターチェックを受けて試合に入る。ビヨンは早々に組んでテイクダウンを決め、すぐにマウントを取って鉄槌を連打。一方的に打ち込まれたシュメトフは顔面が血まみれになり、あえなくレフェリーストップとなった。

 ビヨンがRIZIN初陣でTKO勝ち。シュメトフは惜しい場面もあったが、無念の2連敗を喫することとなった。


第7試合 スペシャルワンマッチ
▼61.0kg RIZIN MMAルール 5分3R ※肘あり
×石渡伸太郎(34=日本)
判定1-2
○扇久保博正(32=日本)

扇久保(右)が死闘と呼ぶに相応しい壮絶な戦いの末、石渡(左)を破った

 石渡は2011年12月にパンクラス・バンタム級王座を獲得し、同階級の日本トップ戦線を走り続けてきたベテラン。2017年10月から12月にかけてはRIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2017同級トーナメントに出場し、決勝で堀口恭司に2RKO負けとなったが、準優勝の結果を残した。1年7カ月ぶりの復帰戦となった今年7月の『RIZIN.17』でも、佐々木憂流迦に2R一本勝ちしている。

 対する扇久保は2012年5月に修斗世界フェザー級王座、2016年4月に同フライ級王座を獲得した日本トップクラス。2013年3月に堀口に2R一本負けした過去を持ち、昨年7月の『RIZIN.11』で5年越しのリベンジマッチに臨んだが、判定負けで返り討ちとなった。その1年後の『RIZIN.17』で元谷有貴を激闘の末に判定で下すと、石渡とのバンタム級四天王頂上対決をアピール。今大会でそれが実現することになった。

 今大会ではメインイベントとして朝倉海vsマネル・ケイプ(アンゴラ)のRIZINバンタム級王座決定戦が組まれているが、この試合の勝者には次期挑戦権が与えられる。

 1R、構えは石渡がサウスポー、扇久保がオーソドックス。前手で触れ合う展開から石渡が左ボディ。ほどなく扇久保が石渡の右ローをキャッチし、右フックから押し込んでテイクダウンを決める。立ち上がる石渡。扇久保はしぶとく組んでいき、下がる石渡に左右フックを強打。石渡は効かされた様子だが、左ストレートはまだまだ鋭い。しかし、扇久保は倍の数のパンチを連打。終盤は両者が拳をぶつけ合うスリリングな展開となった。

 2R、石渡は鋭く伸びる左ストレート。扇久保は右オーバーハンドを返し、左右ローも蹴る。石渡が細かい右ジャブでジリジリと迫れば、扇久保は左右フック。中盤に扇久保が右の拳を振るいながらのタックルを仕掛ける。石渡はテイクダウンを許すが、すぐに立ち上がって膝蹴りで顔面を狙う。終了間際に再び左右フックをまとめるのは扇久保。石渡はガードを固めるが押し込まれている印象だ。

 3R、扇久保がコンビネーションからタックルで仕掛け、石渡の体を持ち上げてテイクダウン。石渡も扇久保のバックチョークを防いで上を取り返す。スタンドに戻る両者。ここから試合は壮絶なド突き合いに。扇久保が左右フック、ボディ、アッパー、バックハンドブロー。石渡は膝蹴り、左ストレート、右フックで迎え撃つ。さらに片手クリンチからアッパーの打ち合い。石渡がテイクダウンするが、扇久保はすぐに立ち上がる。そして再び殴り合い。最後は両者共にふらふらの状態だった。

 観客を大いに沸かせた死闘の決着はジャッジに委ねられ、スプリット判定で扇久保に軍配。結果を聞いた石渡はその場に崩れ落ちた。

 試合後、マイクを持った扇久保は「石渡選手、ありがとうございました。皆さん、面白かったですか?ずっと引っ張ってくれた堀口選手が今回は出れなかったので頑張って盛り上げました。次はたぶんタイトルマッチです。また盛り上がる試合をするので、皆さん応援よろしくお願いします」と勝利のコメントを述べた。


第6試合 スペシャルワンマッチ
▼105.0kg RIZIN MMAルール 5分3R ※肘あり
○ジェイク・ヒューン(32=アメリカ)
TKO 1R 1分24秒
×石井 慧(33=日本)

2年8カ月ぶりのRIZIN参戦となった石井(右)だが、ヒューン(左)の強打の前にTKO負けとなった

 ヒューンは昨年9月の『RIZIN.13』でイリー・プロハースカ(チェコ)に1RTKO負けし、RIZINデビュー戦を落とすも、今年6月の『RIZIN.16』と7月の『RIZIN.17』では勝利を飾っている。RIZIN参戦前にはアメリカのWSOFやPFL、韓国のROAD FCなども経験。通算戦績は14勝9敗(7KO・TKO/3SUB)。

 対する石井は今大会でちょうど総合格闘家デビュー10年目。日本ではK-1 Dynamite!!、DREAM、IGF、HEAT、RIZIN、アメリカではBellatorやPFL、ほかにもヨーロッパ各国の団体で試合を経験してきた。直近はPFLで2連敗を喫しているが、それまでは7連勝を飾っており、2年8カ月ぶりのRIZINで連勝街道復帰を目指す。通算戦績は22勝10敗1分(2KO・TKO/10SUB)。

 1R、構えはヒューンがオーソドックス、石井がサウスポー。最初にタックルで仕掛けたのは石井。ヒューンは背中を許すが、体を転がして石井の組みをちぎる。間を置かずに右アッパーと右ストレートの連打で迫るヒューン。石井はロープを背負った所でヒューンの左ジャブからの右アッパーを喰らってダウンし、最後は鉄槌を浴びて力尽きた。

 ヒューンが会心のTKO劇でRIZIN3連勝。石井は久しぶりのRIZIN、そしてMMAデビュー10年の節目を勝利で飾ることができなかった。


第5試合 RIZIN×Bellator対抗戦
▼61.2kg RIZIN MMAルール 5分3R ※肘あり
×元谷友貴(30=日本/RIZIN)
一本 1R 1分37秒 ※フロントチョーク
○パトリック・ミックス(26=アメリカ/Bellator)

日米の寝技師対決。無敗のミックス(右)が元谷(左)を早々にタップさせた

 12月29日(日)の『Bellator JAPAN』から続く、RIZINとBellatorの対抗戦。RIZIN代表の元谷とBellator代表のミックスが副将戦で拳を交えた。

 元谷は元DEEPフライ級&バンタム級王者。RIZINには2015年から参戦している。昨年大晦日の『RIZIN.14』で元UFCのジャスティン・スコギンズ(アメリカ)に一本勝ちし、DEEPの戦績も含めて連勝を「5」に伸ばしたが、今年3月に迎えたDEEPバンタム級王座の防衛戦で、ビクター・ヘンリー(同)に判定負けして王座陥落。7月の『RIZIN.17』でも扇久保博正に判定負けし、現在2連敗中だ。通算戦績は23勝7敗1ノーコンテスト(6KO・TKO/9SUB)。

 対するミックスは長らく主戦場としてきたアメリカのKOTC(King of the Cage)でバンタム級王者として活躍。今年6月からBellatorに活躍の場を移してきなりの2連勝。通算戦績は12戦全勝(1KO・TKO/8SUB)と負け知らずだ。

 1R、サウスポーのミックスが早速組みついてテイクダウン。元谷は下からミックスの首に足を絡め、三角絞めからオモプラッタを狙う。体を素早く回転させてこれを外すミックス。両者のグラウンドの攻防が目まぐるしくなり始める。しかしほどなく、元谷が上を取った所でミックスがチョーク。これがしっかりと極まり元谷は無念のタップとなった。

 ミックスが元谷に一本勝ちして無敗をキープ。この時点で対抗戦はBellatorの3勝1敗となった。


第4試合 スペシャルワンマッチ
▼62.0kg RIZINキックボクシングルール 3分3R
○白鳥大珠(23=日本)
TKO 2R終了時点 ※ドクターストップ
×大雅(23=日本)

白鳥(左)が鋭いコンビネーションで大雅(右)をドクターストップへと追い込み、返り討ちにした

 両者は今年10月の『RIZIN.19』で対戦。白鳥が1Rに1回、2Rに2回のダウンを奪い、3Rに大雅がダウンを1回取り返すという、観客を沸かせる試合の末、白鳥が判定3-0で勝利している。今大会でダイレクトリターンマッチとなった。

 白鳥はキックボクシングからボクシングに転向し、昨年4月に再びキックボクシング界へ復帰。今年2月にRISEライト級王者に輝くと、3月から開幕したRISE WORLD SERIES 2019 -61kg級トーナメントでもセクサン・オー・クワンムアン(タイ)や梅野源治を破り、優勝を飾っている。

 対する大雅は2017年2月にK-1 WORLD GPスーパーフェザー級王座を獲得した実績の持ち主。昨年9月から参戦したRIZINではなかなか結果を出せない状況が続いたが、今年7月の『RIZIN. 17』で町田光からダウンを奪って判定勝ちを収めた。しかしその3カ月後に白鳥に敗戦。今大会で早くもリベンジのチャンスを得ることになった。

 1R、構えは両者共にサウスポー。大雅が左ローを積極的に蹴る。ほどなくワンツーを合わせにいく白鳥。大雅は徐々に増す白鳥の圧力をかわしながら右ボディストレートを決める。終盤には大雅がダブルの右ジャブから左ロー。バランスを崩した白鳥はすぐに左右フックを振るうが、大雅にかわされる。

 2R、ジリジリと前に出てくる大雅に対し、右ハイを蹴り始める白鳥。大雅は左ボディストレートを継続するが、入り際を白鳥にパンチで狙われる。白鳥は左右アッパー・フックの速射砲。終了間際に白鳥がこの攻撃から顔面膝蹴りを突き刺す。大雅はクリンチに逃れたが、その額の左側はぱっくりと裂けている。

 3R開始前にドクターが大雅の傷をチェックし、試合続行は不可能と判断。試合は白鳥のTKO勝ちで決着した。

 マイクを持った白鳥は「大雅選手はこんなもんじゃないと思っています。またいつかやる時があれば、その時に完全決着をつけましょう」と大雅に呼びかけ、さらに「来年辺り、RIZIN、RISE、K-1で対抗戦なんかできれば面白いし、めちゃくちゃ盛り上がるんじゃないですか?」との言葉も口にした。


第3試合 スペシャルワンマッチ
▼49.0kg RIZIN女子MMAルール 5分3R
○山本美憂(45=日本)
判定3-0
×アム・ザ・ロケット(23=タイ)

山本(左)は流石のレスリング技術と強烈な鉄槌でアム(右)を完封した

 山本は今年10月の『RIZIN.19』でハム・ソヒ(韓国)に2RTKO負けし、連勝は「4」でストップ。この試合が再起戦となる。通算戦績は5勝4敗(0KO・TKO/0SUB)。

 対するアムは8月の『RIZIN.18』で浜崎朱加に1R一本負けしたが、10月の『DEEP JEWELS 26』でホン・ヨンハ(韓国)に1R一本勝ちし、再起を飾っている。通算戦績は4勝2敗(0KO・TKO/4SUB)。

 1R、構えは山本がサウスポー、アムがオーソドックス。左右ローを蹴るアムに対し、山本は右ジャブで牽制しながら左へ回り込む。右フックから首相撲を狙うアム。山本はロープ際で巧く体勢を入れ替えてテイクダウンを決める。アムはガードポジション。山本は鉄槌。膠着したためレフェリーが残り時間1分でスタンドに戻し、以降は両者共に無理せずゴングを待った。

 2R、山本がアムの右ストレートに胴タックルを合わせて早々にテイクダウン。鉄槌を落とされたアムはガードポジションで固める。山本はスタンドに戻してパンチの連打。コーナーを背負ったアムは山本に組まれて再びテイクダウンを許してしまう。山本が鉄壁の押さえ込みでアムを封じ、時おりごつんと拳を落とす。

 3R、アムの右フックが顔面をかすめた山本はすぐに電光石火のタックルでテイクダウン。山本はサイドへ移行し、アムの顔面に膝蹴りの連打を入れる。アムはなんとかガードポジションへ戻すが、山本の強烈な鉄槌に顔をしかめる場面も。両足で山本を突き飛ばして立ち上がるアム。山本は組みからの投げで再びテイクダウンを決め、終了間際に腕十字も取りにいった。

 山本がアムに何もさせず、盤石の判定勝ちで再起。マイクを持った山本は、「前回の試合がとても悔しくて、ここまで頑張ってきました。ボクシングの長谷川穂積さんをはじめいろんな方にお世話になりました。本当にありがとうございました」と息を切らせながら笑顔を見せた。


第2試合
▼RIZIN FIGHTING WORLD GP 2019 ライト級(71.0kg)トーナメント 準決勝 RIZIN MMAルール 5分3R ※肘あり
×ルイス・グスタボ(23=ブラジル)
TKO 1R 28秒
○パトリッキー・“ピットブル”・フレイレ(33=ブラジル)
※パトリッキーがGP決勝進出。

ブラジリアン対決となったGP準決勝。Bellatorの刺客パトリッキー(右)が若武者グスタボ(左)に格の違いを見せつける結果となった

 グスタボはアンドレ・ジダ率いる「EVOLUCAO THAI」所属のホープ。昨年8月からRIZINに参戦している。矢地祐介にKO勝ちして鮮烈デビューを飾り、2戦目で朝倉未来に判定負けするが、3戦目となったライト級GP 1回戦では元DEEPフェザー級王者・上迫博仁にKO勝ちした。通算戦績は10勝1敗(5KO・TKO/5SUB)。朝倉戦がキャリア初黒星であったが、それ以外は全試合でフィニッシュしている。

 対するパトリッキーはBellatorが満を持してRIZINに送り込んできた刺客。2016年にはマイケル・チャンドラー(アメリカ)とBellator世界ライト級王座を争い(判定負け)、2017年には元UFC世界同級王者ベンソン・ヘンダーソン(同)に判定勝ちしている。RIZINデビュー戦となった10月のライト級GP 1回戦では川尻達也にTKO勝ち。現在キャリア最長となる6連勝中だ。通算戦績は22勝8敗(14KO・TKO/1SUB)。

 1R、構えは両者共にオーソドックス。パトリッキーはすぐにリング中央へ足を運び、グスタボが右ローを蹴ろうとした所へ左右フックを振るう。一瞬ひるんだグスタボに対し、パトリッキーは飛び膝蹴りを放ち、さらに追いかけて右フックを強打。ダウンしたグスタボはパトリッキーの右の拳と顔面蹴りをあえなくフィニッシュされた。

 試合時間はわずか28秒。パトリッキーがムサエフ以上の好スタートを切るかたちで決勝へと駒を進めた。


第1試合
▼RIZIN FIGHTING WORLD GP 2019 ライト級(71.0kg)トーナメント 準決勝 RIZIN MMAルール 5分3R ※肘あり
×ジョニー・ケース(30=アメリカ)
TKO 1R 2分47秒
○トフィック・ムサエフ(30=アゼルバイジャン)
※ムサエフがGP決勝進出。

ムサエフ(右)はケース(左)との強打者対決に初回TKO勝ちし、決勝進出を決めた

 ケースは2014年から2017年までUFCに参戦し、4連勝からの2連敗となった所で離脱。昨年大晦日からRIZINを新天地とし、矢地祐介と北岡悟にTKO勝ち、今年10月のライト級GP 1回戦でホベルト・サトシ・ソウザにTKO勝ちしている。通算戦績は27勝6敗1分(10KO・TKO/4SUB)。

 対するムサエフは強豪ひしめくロシアのプロモーションで活躍し、昨年大晦日からRIZINに参戦。修斗環太平洋王者の実績を持つ大尊伸光にTKO勝ち、RIZINライト級の門番であるダロン・クルックシャンク(アメリカ)に判定勝ち、そしてライト級GP 1回戦では元UFCのダミアン・ブラウン(同)にTKO勝ちしている。通算戦績は16勝3敗(13KO・TKO/2SUB)。このうち11試合が1Rでの勝利だ。 

 1R、構えは両者共にオーソドックス。左ジャブと右ローで牽制するケース。ムサエフは左方向に足を運びながら右の拳でカウンターを狙い、鋭い右ミドルも蹴る。すると中盤に入ったところで、ムサエフの強烈な右オーバーハンドがヒット。ぐらついたケースはムサエフの左フックと右フックに倒れ、最後は鉄槌連打を浴びてのレフェリーストップとなった。

 ムサエフが1R2分47秒TKO勝ち。GP優勝に向けて最高のスタートを切った。