3度目のUFC世界フライ級タイトルマッチに臨んだベナビデス(左)だが、悲願を果たすことはできなかった Photos(C)Josh Hedges/ Zuffa LLC/ UFC

 2020年2月29日(土・現地時間)『UFC Fight Night 169』が、アメリカ・バージニア州ノーフォークのチャートウェイ・アリーナで開催されました。以下、試合レポート・結果です。

Main Event
▼UFC世界フライ級王座決定戦 5分5R
×ジョセフ・ベナビデス(35=アメリカ/同級1位)
KO 2R 1分54秒
○デイブソン・フィゲイレード(32=ブジラル/同級3位)
※フィゲイレードが計量失敗。試合はフライ級125ポンド(56.7kg)から127.5ポンド(57.83kg)契約に変更して実施。ベナビデスが勝利した場合のみ、王座が認定される。

フィゲイレード(上)の鉄槌を浴びたベナビデス(上)

 ヘンリー・セフード(アメリカ)の王座返上に伴い組まれたベナビデスvsフィゲイレードのフライ級新王者決定戦。フィゲイレードが前日計量をパスできなかったため、ベナビデスが勝利した場合のみ王座が認定されるという、変則タイトルマッチとなった。

 ベナビデスはこれが6年2カ月ぶり3度目のタイトルマッチ。過去2度はいずれもデメトリアス・ジョンソン(アメリカ)に戴冠を阻まれている。だが、そのジョンソンを絶対王座から引きずり降ろしたセフードには、2016年12月の『The Ultimate Fighter 24 Finale』で判定勝ちしており、UFC戦績も15勝3敗(5KO・TKO/1SUB)と輝かしいもの。UFC初参戦から9年を迎える中、悲願の王座獲得を目指す。

 対するフィゲイレードはこれが初のタイトルマッチで、UFC戦績は6勝1敗(3KO・TKO/1SUB)。昨年3月の『UFC Fight Night 148』でジュシー・フォルミーガ(ブラジル)に判定負けしたのが、唯一の黒星となっている。

 1R、フィゲイレードがベナビデスの右ミドルをキャッチしてテイクダウン。ベナビデスはフィゲイレードの腕十字に捕まり、右腕を伸ばされそうになるが、なんとか体を回転させてエスケープする。スタンドに戻った両者はパンチの攻防へと移行。ベナビデスが左右フックを打てば、フィゲイレードが右アッパーと右ボディを返し、交互に当て合うような展開が続く。ベナビデスは時おりタックルも仕掛けたが、フィゲイレードに全てカットされている。

 2R、ベナビデスは左ミドルを蹴りつつ、機を見て左右フックの連打。フィゲイレードはスウェーバックから左フックを返す。さらに激しくなるパンチの攻防。ベナビデスは交錯直後に組みつこうとするも、フィゲイレードに振り払われてしまう。ここでフィゲイレードが勝負を仕掛け、強烈な右ボディでベナビデスを下がらせると、前手を伸ばしながら追いかけて右ストレートで一撃。ダウンしたベナビデスはフィゲイレードの鉄槌も浴びて力尽きた。


Co-Main Event
▼女子フェザー級 5分3R
○フェリシア・スペンサー(29=カナダ)
TKO 1R 3分37秒
×ザラ・フェイリン(36=フランス)

マウントから拳を落とすスペンサー(上)

 スペンサーは昨年5月の『UFC Fight Night 152』でオクタゴンデビューを果たし、ミーガン・アンダーソン(オーストラリア)との元Invicta FCフェザー級王者対決に1R一本勝ち。続く昨年7月の『UFC 240』では元UFC世界女子同級王者クリス・サイボーグ(ブラジル)に判定負けし、キャリア8戦目で初黒星となった。

 対するフェイリンはこれがオクタゴン2戦目。昨年10月の『UFC 243』でアンダーソンに1R一本負けし、初陣を落としている。

 1R、長身のフェイリンがストレート系のパンチを打ち下ろす攻撃。直線的な動きのフェイリンに対し、スペンサーは斜めや横にステップしながら左右の拳を捻じ込むように当てていく。そして機を見て組みついたスペンサーはフェイリンをテイクダウン。フェイリンはスペンサーに難なくマウントを許してしまう。スペンサーの強烈な鉄槌と肘打ちに顔をしかめるフェイリン。一方的な展開を見てレフェリーは試合を止めた。

 スペンサーがTKO圧勝。試合後、マイクを向けられたスペンサーは「これで文句無しだと思う」と、女子バンタム級&フェザー級王者アマンダ・ヌネス(ブラジル)の次期挑戦者に名乗りを上げた。


Main Card
▼ライトヘビー級 5分3R
×イオン・クテラバ(26=モルドバ)
KO 1R 38秒
○マゴメド・アンカラエフ(27=ロシア)

 クテラバはUFC戦績が4勝3敗(3KO・TKO/0SUB)。昨年4月の『UFC Fight Night 150』でグローバー・テイシェイラ(ブラジル)に2R一本負けしたが、続く昨年9月の『UFC Fight Night 160』ではカリル・ラウントリーJr.(アメリカ)に1RTKO勝ちし、再起を飾っている。

 対するアンカラエフはUFC戦績が3勝1敗(1KO・TKO/0SUB)。2018年3月の『UFC Fight Night 127』でポール・クレイグ(スコットランド)に3R一本負けし、デビュー戦を落としているが、その後は3連勝をマークしている。

 試合前、リングアナウンサーが選手名をコールする間に、なんとクテラバは首をかっ切るゼスチャーをしながらアンカラエフのもとへずんずんと前進。両者が取っ組み合いになりかけたところで、セキュリティースタッフの制止が入る。あわやの一触即発状態に観客のボルテージは最高潮となった。

 そして試合も1R開始早々に動く。左ジャブを突いて前に出るクテラバであったが、間合いを潰したところでアンカラエフの右フックを被弾してよろめいてしまう。アンカラエフはすぐさま左ハイを叩き込み、さらにパンチをまとめて追撃。クテラバはふらついてダウン寸前ながらも右フックのフルスイングを返すが、レフェリーに危険な状態と判断されてストップとなった。

 結果はアンカラエフのKO勝ち。しかし、クテラバはすぐレフェリーに不服をアピールする。勝ち名乗りを受けたアンカラエフは勝利者インタビューに臨み、「再戦は必要ないと思う。でも、UFCがそうしろと言うなら受け入れる。俺は試合を断らない」とコメントしたが、観客からのブーイングに対して中指を見せてしまう場面も。遺恨の残る試合となった。


Main Card
▼女子フェザー級 5分3R
○ミーガン・アンダーソン(30=オーストラリア)
KO 1R 3分31秒
×ノルマ・ドゥモン(29=ブラジル)

 アンダーソンは元Invicta FCフェザー級王者で、UFC戦績は2勝2敗(1KO・TKO/1SUB)。昨年5月の『UFC Fight Night 152』でフェリシア・スペンサー(カナダ)との元Invicta FC王者対決に1R一本負けしたが、続く昨年10月の『UFC 243』ではザラ・フェイリン(フランス)に1R一本勝ちし、再起を飾っている。

 対するドゥモンはこれがUFCデビュー戦。これまではブラジル国内の団体で試合に出場し、通算戦績は4戦全勝(0KO・TKO/2SUB)となっている。

 1R、出だしは両者スイッチしながらの探り合い。オーソドックスから左ジャブを突こうとしたドゥモンに対し、アンダーソンがサウスポーから鋭い左フックの2連打を振るう。続けてアンダーソンはオーソドックスに戻して左ジャブ。鼻を突かれて顎が上がったドゥモンは、そのまま距離を潰して組みつく。

 アンダーソンはドゥモンに両脇を差された状態が2分近く続き、片足を取られて尻餅を着く場面も。だが、アンダーソンはスクランブルの中でドゥモンにコントロールさせず、立ち上がって胸を合わせる。ここでドゥモンはアンダーソンを解放。するとほどなく、右の拳を振るおうと踏み込んだドゥモンに対し、アンダーソンの強烈な右ストレートがカウンターで炸裂。ドゥモンはマットに沈んだ。

 アンダーソンが一撃必殺のKO勝ち。オクタゴン5戦目で初の2連勝を決めたアンダーソンは、女子バンタム級&フェザー級王者アマンダ・ヌネス(ブラジル)との対戦について関心のほどを聞かれると、「みんなはどう思う?(場内歓声)女子フェザー級で連勝してるのは自分だけ。やってやろうじゃない」と、タイトルマッチに向けて意欲をアピールした。


Main Card
▼149.5ポンド(67.81kg)契約 フェザー級 5分3R
○グラント・ドーソン(アメリカ)
一本 2R 1分38秒 ※リアネイキドチョーク
×ダリック・ミナー(アメリカ)
※ドーソンが計量失敗。試合はフェザー級145ポンド(65.77kg)から149.5ポンド(67.81kg)契約に変更して実施。

Prelim
▼バンタム級 5分3R
×ガブリエル・シウバ(ブラジル)
判定0-3 ※27-30、27-30、27-30
○カイラー・フィリップス(アメリカ)

Prelim
▼ミドル級 5分3R
○ブレンダン・アレン(アメリカ)
TKO 1R 4分47秒
×トム・ブリーズ(イングランド)

Prelim
▼ヘビー級 5分3R
○マルチン・ティブラ(ポーランド)
判定3-0 ※30-27、29-28、30-27
×セルゲイ・スピバック(モルドバ)

Prelim
▼ライト級 5分3R
○ルイス・ペーニャ(イタリア)
判定3-0 ※30-27、30-27、30-27
×スティーブ・ガルシア(アメリカ)

Prelim
▼フェザー級 5分3R
○ジョーダン・グリフィン(アメリカ)
一本 2R 3分38秒 ※ギロチンチョーク
×T.J.ブラウン(アメリカ)

Prelim
▼フェザー級 5分3R
×アーロン・クルーズ(アメリカ)
TKO 1R1分25秒
○スパイク・カーライル(アメリカ)

Prelim
▼ウェルター級 5分3R
○ショーン・ブレイディ(アメリカ)
判定3-0 ※29-27、30-27、29-28
×イスマイル・ナウルディエフ(オーストリア)