無観客開催の中、オリベイラがUFC史上最多となる自身のサブミッション勝利数を更新した Photos(C)Buda Mendes/ Zuffa LLC/ UFC

 2020年3月14日(土・現地時間)『UFC Fight Night 170』が、ブラジル・ブラジリアのニルソン・ネルソン・ジムナジウムで開催されました。以下、試合レポート・結果です。

Main Event
▼158.5ポンド(71.89kg)契約 5分5R
×ケビン・リー(27=アメリカ/ライト級8位)
一本 3R 28秒 ※ギロチンチョーク
○チャールズ・オリベイラ(30=ブラジル/ライト級13位)
※リーが体重超過。試合はライト級(−155ポンド/70.3kg)から158.5ポンド(71.89kg)契約に変更して実施。

長い足を絡めて仕掛けるオリベイラ(下)

 新型コロナウイルスの影響により、無観客開催となった今大会。メインイベントのライト級ワンマッチでは、同級8位のリーと同級13位のオリベイラが拳を交えた。

 リーは5カ月ぶりの出場。昨年11月の『UFC 244』で、グレゴール・ガレスピー(アメリカ)に1RKO勝ちし、2連敗から脱出を果たした。UFC戦績は11勝5敗(3KO・TKO/4SUB)。

 対するオリベイラも5カ月ぶりの出場。現在6連勝中と絶好調で、しかもそれらの試合全てを1R〜2Rでフィニッシュしている。UFC戦績は16勝8敗1ノーコンテスト(2KO・TKO/13SUB)。今大会では自身が保持するUFC史上最多のサブミッション勝利数と連続フィニッシュ勝利数の更新も狙う。

 試合はリーの体重超過により、ライト級(−155ポンド/70.3kg)から158.5ポンド(71.89kg)契約に変更して実施された。

 1R、構えは両者共にオーソドックス。プレッシャーをかけるのはオリベイラで、左ジャブと右ローに飛び二段前蹴りも混ぜながら悠々と攻める。リーも左ジャブの連射から右ストレートを当てるなどパンチで応戦を開始。ほどなくしてオリベイラはタックルから組みつき、リーをグラウンドへと引き込む。

 下から足関節技をしつこく仕掛けるオリベイラ。リーは体を回転させたり足をずらしたりして、集中を切らすことなく対処していく。続くスクランブルの攻防。オリベイラは終盤に動きを止めたところで、リーの拳と肘を落とされる場面も。

 2R、オリベイラがバックハンドブロー、後ろ回し蹴り、飛び膝蹴りを繰り出して勢いづく。リーは間合いを取る足の運びが遅れ始め、オリベイラの右アッパーと右フックをたびたび被弾。オリベイラの鋭い前蹴りもリーの悩みの種に。

 それでもリーはオリベイラの膝蹴りのタイミングを狙い、瞬時にタックルを合わせてテイクダウン成功。オリベイラはすぐに三角絞めと腕十字を仕掛けるが、リーに防がれてしまう。後半はリーがオリベイラを抑え込み、拳と肘を落とす時間が続いた。

 3R、オリベイラの飛び膝強襲は不発。リーは力のこもった左フックと右ハイを返し、右オーバーハンドでもオリベイラを仰け反らせる。ここで押し切りたかったか、リーはオリベイラの膝蹴りをキャッチしてテイクダウンを狙うも、これが命取りに。オリベイラはすかさずギロチンをセットして引き込み、リーを逃すことなくタップさせた。

 オリベイラが一本勝ちで7連勝をマークし、UFC史上最多となるサブミッション勝利数を「14」、連続フィニッシュ勝利数を「7」へと更新。 試合後、マイクを向けられたオリベイラは「あのベルトはいずれ自分のものになる」と、王座挑戦をアピールした。

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Co-Main Event
▼ウェルター級 5分3R
×デミアン・マイア(42=ブラジル/同級5位)
TKO 1R 2分34秒
○ギルバート・バーンズ(33=ブラジル/同級12位)

バーンス(左)の拳がマイア(右)の顔面をとらえる

 マイアは3連敗からの3連勝で復活。前回の試合出場は昨年10月の『UFC Fight Night 162』で、元Bellator・ONE世界ウェルター級王者ベン・アスクレン(アメリカ)に3R一本勝ちしている。UFC戦績は22勝9敗(1KO・TKO/11SUB)。

 対するバーンズも現在4連勝中と好調。この間にはライト級からウェルター級に階級を上げている。UFC戦績は10勝3敗(2KO・TKO/4SUB)。

 1R、オーソドックスのバーンズは間合いを取りながら右インロー。サウスポーのマイアは細かい右ジャブと共にジリジリとプレッシャーをかけ、機を見て左ストレートも振り抜く。ほどなくパンチを返そうとしたバーンズに対し、マイアがタックルでテイクダウンに成功。バーンズはしばし我慢の時間が続いたが、マイアがバックからマウントに移ろうとしたところで素早く脱出する。

 両者がスタンドに戻ると、すぐに試合は動いた。マイアは右ジャブを軽く出した直後、バーンズの左フックを浴びてダウン。バーンズは両手を広げて喜んだが、マイアの頭が持ち上がってくるのを見ると、すぐに左右の拳で鉄槌を猛連打し、レフェリーストップを呼び込んだ。

 バーンズがTKOで試合を決め、5連勝をマーク。マイクを向けられたバーンズは、「レジェンドになりたければレジェンドを倒す必要がある。相手のいいポジションから何とか抜け出してKOできた。でも、最後の場面にはショックを受けている。レフェリーのストップがかからなかったから、自分は自分の仕事を果たすしかなかったんだ。こんな風に感じたことはあまりない。デミアンに対する愛情も称賛もリスペクトもある」と、同郷のベテランであるマイアに敬意を示した。

 そして、「コルビー・コヴィントンだ。あいつはサンパウロに来て、言いたい放題だった。あの時、俺はライト級だったが、今はウェルター級だ。どこでも相手になる」と、コヴィントンへの対戦アピールも忘れなかった。


Main Card
▼ライト級 5分3R
○ヘナート・モイカノ(30=ブラジル)
一本 1R 44秒 ※リアネイキドチョーク
×ダミア・ハゾビック(33=ボスニア・ヘルツェゴビナ)

 モイカノはフェザー級でジョゼ・アルド(ブラジル)とジョン・チャンソン(韓国)にTKO負けし、今回からライト級に転向。対するハゾビックもクリストス・ジアゴス(ギリシャ)に判定負けし、今大会で再起を図る。

 試合は早々に決着した。1R開始から間もなく、モイカノがハゾビックの右フックをかわして組みつき、テイクダウンに成功。モイカノはハゾビックに下から両足で突き放されると、すぐさま背後に回り込んでチョークをセットし、転がしてからしっかりと極めた。モイカノがライト級初戦を一本勝ちで飾っている。


Main Card
▼ライトヘビー級 5分3R
×ジョニー・ウォーカー(ブラジル/同級10位)
判定0-3 ※28-29、28-30、28-29
○ニキータ・クリロフ(ウクライナ/同級12位)

Main Card
▼ライト級 5分3R
○フランシスコ・トリナウド(ブラジル)
判定3-0 ※29-28、30-27、30-27
×ジョン・マクデッシ(カナダ)

Prelim
▼フライ級 5分3R
×ジュシー・フォルミーガ(ブラジル/同級3位)
判定0-3 ※27-30、28-29、28-29
○ブランドン・モレノ(メキシコ/同級5位)

Prelim
▼女子ストロー級 5分3R
○アマンダ・ヒバス(ブラジル)
判定3-0 ※30-25、30-25、30-26
×ランダ・マルコス(イラク)

Prelim
▼ウェルター級 5分3R
○エリゼウ・ドス・サントス(ブラジル)
判定3-0 ※29-28、29-28、29-28
×アレクセイ・クンチェンコ(ロシア)

Prelim
▼バンタム級 5分3R
△ハニ・ヤヒーラ(ブラジル)
ドロー 判定0-1 ※28-29、28-28、28-28
△エンリケ・バルソラ(ペルー)

Prelim
▼女子フライ級 5分3R
×マイラ・ブエノ・シウバ(ブラジル)
判定0-3 ※28-29、28-29、28-29
○マリナ・モロズ(ウクライナ)

Prelim
▼フライ級 5分3R
×ブルーノ・シウバ(ブラジル)
判定0-3 ※28-29、28-29、28-29
○ダビッド・ドボジャーク(チェコ)

Prelim
▼女子バンタム級 5分3R
×ヴェロニカ・マセド(ベネズエラ)
判定0-3 ※28-29、28-29、28-29
○ベア・マレッキ(スウェーデン)