フェザー級のランカー対決は6位ケーター(左)が6連勝中の10位イゲ(右)を退けた Photo(C)UFC

 2020年7月16日(木・現地時間)、『UFC on ESPN 13』がアラブ首長国連邦・アブダビのUFCファイトアイランドで開催されました。以下、試合レポート・結果です。

Main Event
▼フェザー級 5分5R
○カルヴィン・ケーター(32=アメリカ/同級6位)
判定3-0 ※49-46、49-46、48-47
×ダン・イゲ(28=アメリカ/同級10位)

 ケーターは昨年11月の『UFC Fight Night 163』で、元ACBフェザー級王者ザビット・マゴメドシャリポフ(ロシア)に判定負けし、連勝が「2」でストップ。しかし、今年5月の『UFC 249』では、ジェレミー・スティーブンス(アメリカ)に2R・TKO勝ちし、再起を飾っている。UFC戦績は5勝2敗(4KO・TKO/0SUB)。

 対するイゲはUFCデビュー戦を落としてからは6連勝と絶好調。2018年6月の『UFC 220』でジュリオ・アルセ(アメリカ)につけられた判定負けが唯一の黒星となっている。UFC戦績は6勝1敗(1KO・TKO/1SUB)。

 1R、構えは両者共にオーソドックスで、互いに間合いを図り合う序盤。イゲは左右に足を運びつつ、時おりガードを固めながら間合いを縮めてワンツーや左右フックをぶつけにいく。ケーターも右の拳を振るってから左アッパー、同様に左ボディーへと繋げる。ケーターはイゲの右ミドルをキャッチして押し倒し、今度は立ち上がり際にパンチをまとめて腹を射抜く。終盤にはケーターが飛び膝蹴りでイゲをケージ際へと追い込み、右の拳を連打でぶつけた。

 2R、イゲはパンチの3連打、4連打を一気にまとめ、右ボディで脇腹を叩くと、今度はすかさず左フックで顔面も叩くなど、上下に打ち分けながら緩急のある攻めで有効打を増やしていく。しかし、ケーターもカウンターで右フックを合わせたり、パンチのラッシュの中で左ボディと右フックを返したり、一進一退の攻防が続く。

 3R、ケーターがケージ中央、イゲはケージ際で左右への移動を繰り返す。互いに相手が仕掛ければ返すといった展開。イゲが左右フックを振るえば、ケーターが右ジャブから左ボディ。ケーターが右ローを蹴れば、イゲも右ローを蹴り返す。互いのパンチが相打ちとなる場面も。

 4R、左ジャブを突くケーターに対し、イゲがタックルを仕掛けるが、テイクダウンには至らず。打撃戦に戻ると、飛び膝蹴りを空振りしたイゲが転倒。ケーターがパンチを落とすが、深追いせずほどなくして離れる。再び拳をぶつけ合う両者。イゲは構えをスイッチしつつ、攻め時には一気に右オーバーハンドから飛び込む。ケーターはイゲの攻撃をかわしながら左ジャブや左右ローを返していく。

 5R、イゲが左フックを空振り。ケーターはすかさず右フックをかぶせて当てる。イゲは左ジャブから一気に踏み込んで右の拳をぶつけようとするが、ケーターは素早いバックステップで射程圏外へ。イゲはタックルからケーターの片足を抱え上げるが、テイクダウンはできない。ケーターの腰が強い。終了間際にケーターはイゲを首相撲に捕らえて顔面膝蹴り。イゲはすぐにタックルで回避しようとするが、そのままケーターに転がされパンチ連打を落とされてしまう。ケーターが最後にかなりの攻勢を印象づけた。

 勝敗の結果は判定3-0でケーターに軍配。ケーターが2連勝をマークした一方、イゲは7連勝ならず、UFCデビュー戦以来となる黒星を喫することとなった。


Co-Main Event
▼フライ級 5分3R
○ティム・エリオット(33=アメリカ/同級13位)
判定3-0 ※29-28、29-28、29-28
×ライアン・ブノワ(30=アメリカ)

 エリオットのUFC戦績は4勝9敗(0KO・TKO/1SUB)。一度は2勝4敗と成績が振るわず、UFCからリリースされたが、その後参戦したTitan FCでフライ級王座を獲得し、UFCとの契約を目指して争うTUFフライ級トーナメントでも優勝したことで、再契約を果たした。ただ、再契約後も2勝5敗で直近の3試合をいずれも落とすなど、再び崖っぷちに立たされている。

 対するブノワのUFC戦績は3勝4敗(2KO・TKO/0SUB)。勝ち負けを交互に繰り返しており、前戦は昨年12月の『UFC Fight Night 165』で、アラテン・ヘイリ(モンゴル)にバンタム級でスプリット判定負けしている。

 1R、エリオットがサウスポーの構えから左ジャブ、左ミドル、左ロー、前蹴りをコツコツを当てる。オーソドックスのブノワは序盤の様子見もほどほどに、右ストレートから左ハイのコンボをヒットさせる。エリオットは側頭部付近に直撃を受けたようだが、ダメージは無いか。エリオットは終盤にタックルでテイクダウンを取るが、スクランブルに持ち込んでからのブノワの立て直しも早い。

 2R、前蹴りと横蹴りをうるさく繰り出すエリオットだが、ガードが甘くなったところをブノワの左ハイで脅かされてしまう。組みからの離れ際にはブノワの右アッパーも当たる。エリオットのタックルにも右アッパーを合わせ始めたブノワ。エリオットは劣勢ながらもここで下がることなくパンチの連打を振るい、たまらずタックルにきたブノワをギロチンで捕らえ、引っくり返してマウントに移行する。

 しかしブノワは落ち着いてブリッジからガードポジションに戻すと、続くスクランブルの中でエリオットの足を捕らえて膝十字。エリオットは今にも泣きそうな苦悶の表情を浮べたが、なんとか支点をずらして脱出に成功する。両者がスタンドに戻ると、エリオットはあきらめることなく前進。ブノワの打撃を搔い潜り、終了間際にタックルでテイクダウンを決めた。

 3R、エリオットがタックルの動きを見せると、すぐに反応して身をかがめるブノワ。エリオットはこれを逃さず、片手クリンチに捕らえて左エルボーの連打を当てる。そして再びエリオットはタックルを仕掛け、ブノワに防がれると声を張り上げながらエルボーと膝蹴りを打ちまくる。さらにエリオットはスタンドのままチョークを狙う場面も。エリオットはフットワークを駆使しながら左ジャブと前蹴り。ブノワはダメージを受けていないようだが、パンチを振るっても思うように当てさせてもらえず。

 危ない場面もあったが、エリオットが粘り強さと試合巧者ぶりを見せ、判定3-0の勝利で連敗脱出。ブノワは2連敗となった。


Main Card
▼フェザー級 5分3R
○ジミー・リベラ(31=プエルトリコ/バンタム級8位)
判定3-0 ※30-27、30-27、29-28
×コーディ・ステーマン(30=アメリカ)

 リベラはバンタム級でアルジャメイン・スターリング(アメリカ)とピョートル・ヤン(ロシア)に判定負け。2連敗からの再起を懸けてフェザー級に転向し、今大会に臨んだ。

 対するステーマンはスターリングに2R・一本負けしてからは、アレハンドロ・ペレス(メキシコ)に判定勝ち、ソン・ヤドン(韓国)と引き分け、ブライアン・ケレハー(アメリカ)に判定勝ちと、負け無しだ。

 1R、両者のパンチが交錯したところで、リベラの右ボディと右フックの連続打ちがステーマンにヒット。リベラはステーマンの右ローを左手でキャッチし、そのままま右の拳をぶつけて転倒させる。ほどなく立ち上がったステーマンはリベラの背後から組みつき、ケージに押し込んだ状態を維持。このまま膠着したため、レフェリーが両者を離す。

 2R、再びステーマンが組みつき、リベラの背後に回り込む。しかし、リベラはステーマンのクラッチが緩んだところで巧く胸を合わせ、そこから体勢を入れ替えてすぐにタックルへと切り替え。ステーマンはテイクダウンを許すが、リベラにチョークは許さない。 組みの攻防からの離れ際には両者共が右フックで狙い合う。リベラの圧力と剛腕を前に、ステーマンはなかなか有効打を返せないでいたが、終了間際には惜しい飛び膝蹴り強襲を見せた。

 3R、ジリジリと迫るリベラに対し、ステーマンが電光石火のタックル。しかし、これもリベラの堅いディフェンスに阻まれ、ステーマンはテイクダウンできない。ステーマンはしばし間を置いてから再度トライするが、リベラの腰は強い。残り時間1分を切ると、両者はパンチの打ち合いに。リベラの右アッパーと左フックがステーマンの顔を弾いたところで試合終了となった。

 階級転向初戦のリベラが判定3-0勝利。リベラは連敗脱出を果たした。


Main Card
▼女子フライ級 5分3R
×モリー・マッキャン(30=イングランド/同級15位)
判定0-3 ※27-30、27-30、27-30
○タイラ・サントス(27=ブラジル)

Main Card
▼174ポンド(78.93kg)契約 5分3R
×アブドゥル・ラザク・アルハサン(ガーナ)
判定0-3 ※27-30、27-30、28-29
○ムニール・ラズィーズ(トルコ)
※アルハサンがウェルター級の規定体重170ポンド(77.11kg)をオーバー。試合は174ポンド(78.93kg)契約に変更して実施。

Prelim
▼ミドル級 5分3R
×ジョン・フィリップス(ウェールズ)
一本 2R 1分12秒 ※ダースチョーク
○ハムザト・チマエフ(スウェーデン)

Prelim
▼フェザー級 5分3R
×リカルド・ラモス(ブラジル)
TKO 1R 4分18秒
○リローン・マーフィー(イングランド)


Prelim
▼ライトヘビー級 5分3R
○モデスタス・ブカウスカス(26=リトアニア)
TKO 1R 5分00秒
×アンドレアス・マイカライディス(31=ギリシャ)

 1R終了間際、タックルを仕掛けたマイカライディスに対し、ブカウスカスはケージを背負った状態で踏ん張りながら肘打ちを落としまくる。ブカウスカスの肘打ちはマイカライディスの左耳の上辺りに当たっているか、レフェリーからは「反則ではない、反則ではない」の声。ここでラウンド終了を告げるホーンが鳴った。

 すぐにセコンドの元へ歩を進めるブカウスカスに対し、マイカライディスは座り込んだまま。スタッフが様子をチェックしに来ると、マイカライディスは立ち上がろうとするが、そのままよろけてしまう。レフェリーはマイカライディスの試合続行は不可能と判断。ブカウスカスの1R終了時点でのTKO勝ちが決まった。


Prelim
▼149ポンド(67.59kg)契約 5分3R
○ジャレッド・ゴードン(アメリカ)
判定3-0 ※30-26, 30-26, 30-26
×クリス・フィッシュゴールド(イングランド)
※フィッシュゴールドがフェザー級の規定体重145ポンド(65.77kg)をオーバー。試合は149ポンド(67.59kg)契約に変更して実施。

Prelim
▼女子フライ級 5分3R
×ディアナ・ベルビタ(ルーマニア)
一本 1R 2分43秒 ※腕十字
○リアナ・ジョジュア(ジョージア)

Prelim
▼バンタム級 5分3R
○ジャック・ショア(ウェールズ)
一本 2R 2分29秒 ※リアネイキドチョーク
×アロン・フィリップス(アメリカ)

Prelim
▼ライトヘビー級 5分3R
-ホルヘ・ゴンサレス
試合中止
-ケネス・ベルフ
※ベルフが事前のメディカルチェックでドクターストップになり欠場のため。