ルイスがUFCヘビー級の最多KO・TKO勝利記録を「11」へと更新した Photos(C)Chris Unger/ Zuffa LLC

 2020年8月8日(土・現地時間)、『UFC Fight Night 174』がアメリカ・ネバダ州ラスベガスのUFC APEX(無観客)で開催されました。以下、試合レポート・結果です。

Main Event
▼ヘビー級 5分5R
○デリック・ルイス(35=アメリカ/同級4位)
TKO 2R 21秒
×アレクセイ・オレイニク(43=ロシア/同級10位)

 ルイスは2018年のヘビー級タイトルコンテンダー。一発で試合を引っくり返す剛腕と耐たれ強さが武器だ。キャリア通算戦績は23勝7敗1ノーコンテスト(18KO・TKO/1SUB)で、このうちUFC戦績は14勝5敗(10KO・TKO/0SUB)。現在2連勝中と好調だ。

 対するオレイニクは関節技・絞め技を得意とする寝技の猛者。キャリア通算戦績は59勝13敗1分(8KO・TKO/56SUB)で、このうちUFC戦績は8勝4敗(1KO・TKO/6SUB)となっている。こちらも現在2連勝中。前戦は今年5月の『UFC 249』で、ファブリシオ・ヴェウドゥム(43=ブラジル)にスプリット判定勝ちしている。

 前日計量の数値はルイスが265ポンド(120.20kg)で、オレイニクが227ポンド(102.97kg)。ルイスがオレイニクより38ポンド(17.23kg)重い結果となっている。

 1R、ルイスがいきなり強烈な左ミドルをぶちかまし、続けてワンツー、左手クリンチからの右アッパー、そして組みついてケージに押し込む。オレイニクはルイスに投げ飛ばされ、パウンドを喰らいながらハーフガードになる。ルイスの片足を捕らえにいくオレイニク。ルイスは拳を落としながらこれを潰し、再びオレイニクを押さえ込んでマウントも狙う。

 しかし、オレイニクも譲らずこれを捌いて起き上がると、組みついたままルイスをテイクダウンし、袈裟固めに入る。いったんは引っくり返したルイスだが、またすぐにオレイニクに寝かされてしまう。オレイニクはサイドからアームロックを狙うなど攻勢に出る。

 2R、開始早々に試合が動く。オーソドックス構えから前蹴りを放ったオレイニクに対し、ルイスは後ろへ下がると見せかけてから二段飛び膝蹴り、そして着地直後に強烈な右フックをがつんと一発。オレイニクはダウンする。怒濤の鉄槌連打でとどめを刺さんとするルイス。オレイニクは懸命にルイスの足にしがみつくが、最後は力尽きてレフェリーストップとなった。

 ルイスの剛腕が火を吹き、オレイニクをTKO。ルイスはUFCヘビー級の最多KO・TKO勝利記録を「11」へと更新した(ケイン・ヴェラスケス(38=アメリカ)とジュニオール・ドス・サントス(36=ブラジル)が「10」)。

 勝利者インタビューに臨んだルイスは、「相手はブルドッグだ。彼が仕掛ける地獄のサブミッションで、なかなか息ができなかった」と試合を振り返り、記録については「気分が良いよ」と満足げ。

 また、次戦について聞かれると、「(体重が)250ポンド(113.4kg)か245ポンド(111.13kg)くらいに落ちるまで、試合を受けないつもりだ。できれば12月に戻ってきたい」と答え、減量に励みたいとした。


Co-Main Event
▼ミドル級 5分3R
×オマリ・アフメドフ(32=ロシア/同級11位)
判定0-3 ※27-29、28-29、27-29
○クリス・ワイドマン(36=アメリカ)

ワイドマンが強敵アフメドフを下し、連敗脱出を果たした

 アフメドフはここ6試合で5勝1分と好調。前戦は昨年12月の『UFC 245』で、イアン・ハイニッシュ(32=アメリカ)に判定勝ちしている。

 ワイドマンは元UFC世界ミドル級王者だが、ここ王座陥落以降は1勝5敗と苦しい状況。前戦は昨年10月の『UFC on ESPN 6』で、ライトヘビー級に階級を上げてドミニク・レイエス(30=アメリカ)と戦ったが、1R・KO負けだった。現在2連敗中。今大会で再起を図る。

 1R、ワイドマンがステップしながら前手を出したり構えをスイッチしたり、軽快な動きからジャブとハイを繰り出し、タックルでテイクダウンも狙う。アフメドフは迫力のあるパンチを振るうが、ワイドマンにかわされる。後半に入るとワイドマンがテイクダウンに成功。アフメドフはワイドマンにパウンドを落とされる。

 2R、ワイドマンの蹴りにパンチを合わせにいくアフメドフ。組みの攻防になり、今度はアフメドフがタックルでテイクダウンを決める。ワイドマンはアフメドフに背中を許し、パンチを落とされるがほどなく脱出。しかし、ワイドマンは後半に再びアフメドフのタックルに捕まり、テイクダウンされてしまう。

 3R、ワイドマンが早々にタックルに出てテイクダウン。アフメドフはすぐに立ち上がるが、ワイドマンに背後から崩されてしまう。ワイドマンは股裂きでアフメドフを転がし、マウントに移行。アフメドフはワイドマンに拳と肘を落とされ、肩固めにも捕まる。フィニッシュシーンこそ訪れなかったが、ワイドマンの一方的な展開だった。

 結果は最終回で完全攻勢をかけたワイドマンが判定勝ち。ワイドマンは強敵相手に嬉しい連敗脱出となった。


Main Card
▼ミドル級 5分3R
×マキ・ピトーロ(29=アメリカ)
一本 1R 3分41秒 ※ギロチンチョーク
○ダレン・スチュワート(29=イングランド)

 ピトーロのUFC戦績は1勝1敗。前戦は今年6月の『UFC 250』で、チャールズ・バード(36=アメリカ)に2R・TKO勝ちし、オクタゴン初勝利を掴んでいる。

 対するスチュワートのUFC戦績は4勝5敗1ノーコンテスト(2KO・TKO/0SUB)。前戦は今年3月の『Cage Warriors 113』で、バルトス・ファビンスキ(34=ポーランド)に判定負けだった(新型コロナウイルスの影響によりUFCのロンドン大会が延期となったことを受け、Cage Warriorsが複数の試合をUFC提供として組んだ)。

 1R、構えは両者共にオーソドックス。首相撲からの顔面膝蹴りを狙ったピトーロに対し、スチュワートは左右ボディ連打で断ち切る。右へ右へと足を運ぶピトーロ。スチュワートはジリジリと間合いを縮め、パンチで仕掛ける。ピトーロも徐々に足を止めて応戦するようになり、強烈な右フックを叩き込む場面も。

 勢いづいたピトーロはダブルの左ジャブ、右ストレート、左ハイへと繋げるコンビネーション、さらにバックスピンエルボーも繰り出す。組みつくスチュワート。ピトーロはスチュワートをケージに押し込み、タックルに切り替えてテイクダウンを狙う。だが、これが仇に。ピトーロはスチュワートのギロチンに捕まり、無念のタップアウトとなった。

 スチュワートが一本勝ちで再起。ピトーロはオクタゴン2敗目となった。


Main Card
▼女子バンタム級 5分3R
○ヤナ・クニツカヤ(30=ロシア/同級8位)
判定3-0 ※30-26、30-27、30-27
×ユリア・ストリアレンコ(27=リトアニア)

 Invicta FC世界バンタム級の第3代王者クニツカヤと第5代王者ストリアレンコが拳を交えた。クニツカヤは既にUFCで4試合を戦って2勝2敗。ストリアレンコは大会8日前に急遽出場が決まり、UFC本戦デビューとなる。

 ストリアレンコは日本でラウェイのタイトルを獲得するなど活躍。今年3月にInvicta FCの王座を獲得し、今回の試合が戴冠1戦目だ。また、2018年にはUFCとの契約を目指して争うTUFトーナメントに出場した経験を持ち、同年11月の『The Ultimate Fighter 28 Finale』で行われた3位決定戦で敗れ、契約を逃すこととなった。

 急遽巡ってきた念願の大舞台出場。勝利で飾ることはできるか。ストリアレンコは自らの腕を叩くラウェイのポージングを見せて試合に臨んだ

 1R、構えは両者共にオーソドックス。早々からパンチで仕掛けるストリアレンコに対し、クニツカヤは両脇差しからの膝蹴りだ。クニツカヤはストリアレンコをケージに押し付けた状態をキープし、肘と肩も使って攻撃。ストリアレンコは押し込まれた状態が続き、鼻から出血が見られる。

 巻き返したいストリアレンコは飛びつきギロチンを仕掛け、クニツカヤに振り落とされると今度は足関節を捕らえにいくが、これも不発。腰も強いクニツカヤはストリアレンコにテイクダウンを許さず、胸を合わせてケージに押し込む。ストリアレンコは再びクニツカヤの膝・肘・拳で削られてしまう。

 2R、開始直後にストリアレンコが後ろ回し蹴り。クニツカヤはこれを難なく受け止めて吹っ飛ばす。すぐに立ち上がるストリアレンコだが、クニツカヤのクリンチに捕まり、再び削られる状態になってしまう。クニツカヤの膝蹴りに何度も歯を食いしばるストリアレンコ。クニツカヤは終盤にストリアレンコを組み伏せ、拳を落とす。ストリアレンコは下から腕十字を狙うが極められない。

 3R、前蹴りを繰り出したクニツカヤと間合いを潰して拳を振るったストリアレンコがクラッシュ。ここもクニツカヤが組み勝ち、ストリアレンコをケージに釘付けとする。ストリアレンコは消耗が激しく、クニツカヤにテイクダウンを許し、押さえ込まれてしまう。このまま膠着したため、レフェリーが両者をスタンドに戻すが、クニツカヤはこれまでの戦法を徹底し、ストリアレンコを封じ込めた。

 結果は判定3-0でクニツカヤが完勝。ストリアレンコは悔しい黒星デビューとなった。


Main Card
▼158ポンド(71.67kg) 5分3R
○ベニール・ダリウシュ(31=イラン/同級14位)
KO 1R 4分38秒
×スコット・ホルツマン(36=アメリカ)
※ダリウシュの体重超過により、試合はリミット155ポンド(70.31kg)のライト級から158ポンド(71.67kg)契約に変更して実施。

 4連勝中のダリウシュと2連勝中のホルツマン。ダリウシュの体重超過により、試合はリミット155ポンド(70.31kg)のライト級から158ポンド(71.67kg)契約に変更して行われた。

 1R、構えはダリウシュがサウスポーで、ホルツマンがオーソドックス。序盤から激しい打撃の交換が続くが、ダリウシュは2度のアイポークを受けてしまう。再開後、タックルでテイクダウンを狙うダリウシュ。ホルツマンはケージを背負ってこれを凌ぐと、すぐさまパンチを浴びせにかかる。

 しかし、ホルツマンはダリウシュに膝蹴りで意表を突かれてよろめいてしまう。ダリウシュは打撃をまとめ、鋭い左ストレートに首相撲からの膝蹴り、離れ際には左フックも追加する。連続被弾したホルツマンは右フックを振るわんとするが、待っていたのはダリウシュのバックハンドブロー。炸裂音の後、ホルツマンはマットに倒れた。

 計量オーバーではあったが、ダリウシュが鮮烈なKO勝ち。ダリウシュは5連勝となった。


Preliminary Card
▼174.5ポンド(79.15kg)契約 5分3R
○ティム・ミーンズ(アメリカ)
判定3-0 ※29-28、29-28、30-27
×ラウレアノ・スタロポリ(アルゼンチン)
※スタロポリの体重超過により、試合はリミット170ポンド(77.11kg)のウェルター級から174.5ポンド(79.15kg)契約に変更して実施。

Preliminary Card
▼ミドル級 5分3R
○ケビン・ホランド(アメリカ)
TKO 3R 32秒
×ホアキン・バックリー(アメリカ)

Preliminary Card
▼ライト級 5分3R
○ナスラット・ハクパラスト(ドイツ)
判定3-0 ※30-27、30-27、30-27
×アレックス・ムニョス(アメリカ)

Preliminary Card
▼ミドル級 5分3R
○アンドリュー・サンチェス(アメリカ)
KO 1R 4分14秒
×ウェリントン・トゥルマン(ブラジル)

Preliminary Card
▼フェザー級 5分3R
○ギャビン・タッカー(カナダ)
一本 3R 1分43秒 ※リアネイキドチョーク
×ジャスティン・ジェインズ(アメリカ)

Preliminary Card
▼フェザー級 5分3R
○ユーセフ・ザラル(アメリカ)
判定3-0 ※30-26、30-26、30-27
×ピーター・バレット(アメリカ)

Prelim
▼バンタム級 5分3R
○アーウィン・リベラ(アメリカ)
判定2-1 ※29-28、28-29、29-28
×アリ・アルケイシ(ヨルダン)