ロマノフにグラウンドで攻め込まれるマルティネス Photos(C)Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images

 日本時間2020年9月13日(日)、『UFC Fight Night 177UFC Vegas 10)』がアメリカ・ネバダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されました。以下、試合レポート・結果です。

Preliminary Card
▼ヘビー級 5分3R
○アレクサンドル・ロマノフ(29=モルドバ)
一本 2R 4分22秒 ※肩固め
×ロッキー・マルティネス(34=グアム)

ロマノフの強烈な左ミドルがマルティネスの脇腹をとらえた

 ロマノフと当初対戦する予定だったマルコス・ホジェリオ・デ・リマ(35=ブラジル)が、新型コロナウイルス感染症の検査で陽性となり欠場。代替選手としてマルティネスに急遽、白羽の矢が立った。

 マルティネスはUFC初参戦。近年はRIZINを主戦場とし、DEEPメガトン級王者に輝くなど、日本で活躍していた。キャリア通算戦績は15勝5敗2分(8KO・TKO/3SUB)。

 対するロマノフもUFC初参戦。母国モルドバではEagle FCヘビー級王者として活躍してきた。キャリア通算戦績は11戦全勝(5KO・TKO/6SUB)。全試合でフィニッシュしており、未だ負け無しだ。

 1R、ロマノフが早々にタックルでテイクダウンに成功。いったんはマルティネスが立ち上がるが、ロマノフの反り投げで豪快にテイクダウンされてしまう。ロマノフはマウントに移行。マルティネスはロマノフの拳と肘を浴び、アームロックには歯を食いしばって堪える。ロマノフの一方的な展開となった。

 2R、ロマノフは打撃戦の中で強烈な左ミドルを当て、バックハンドブロー強襲も狙う。マルティネスはロマノフのタックルを防げず、再び早々にテイクダウンされてしまう。ロマノフはマウントとサイドを行き来し、鉄槌でマルティネスを削りに削って最後は肩固め。マルティネスは無念のタップとなった。

 ロマノフがマルティネスに何もさせず、UFCデビュー戦対決で一本勝ち。ロマノフがプロデビューから続く連勝記録を「12」に更新した。


Main Event
▼女子ストロー級 5分5R
○ミシェル・ウォーターソン(34=アメリカ/同級8位)
判定2-1 ※47-48、49-46、48-47
×アンジェラ・ヒル(35=アメリカ/同級13位)

ヒルのパンチに蹴りを合わせるウォーターソン

 ウォーターソンは元Invicta FCアトム級王者で、UFC戦績は5勝4敗(0KO・TKO/2SUB)。3連勝と好調であったが、直近の2試合はヨアンナ・イェンドジェイチェク(33=ポーランド)とカーラ・エスパルザ(32=アメリカ)の元UFC女子ストロー級王者2人に判定負けしており、今大会で連敗脱出を目指す。

 対するヒルは元Invicta FCストロー級王者で、UFC戦績は6勝6敗(2KO・TKO/0SUB)。直近の試合はクラウディア・ガデーリャ(31=ブラジル)に判定負けし、4連勝ならず。今大会で再起を図る。

 1R、構えは両者ともにオーソドックスでスタート。軽快に左ジャブを飛ばすウォータソンに対し、ヒルが右フックを合わせにいく。ウォータソンは組みついてテイクダウンも狙うが、ヒルのディフェンスは堅い。

 2R、ジャブの刺し合いからヒルの右フックをヒット。ウォータソンもパンチの連打から右ローに繋げるコンビネーションで譲らない。激しい打撃の応酬の中、両者ともに右フックがヒット。ウォーターソンのタックルはヒルが見切り続ける。

 3R、左ジャブに続いて右フックも相打ちとなる両者。ウォーターソンはヒルの膝蹴りに合わせて組みつき、足を掛けてのテイクダウンをついに成功させる。ヒルはウォーターソンに背中を許すなど、グラウンドで守勢を強いられた。

 4R、打撃戦の中、ウォーターソンが時おりサウスポーにスイッチして右の関節蹴り。ウォーターソンのタックルに対し、ヒルも粘り強くディフェンスし続ける。ウォーターソンは右の前蹴りでヒルを突き放し、踵落としで顔面も狙う。

 5R、ウォーターソンはパンチから左ミドル、左ロー、右の前蹴り、右の横蹴りなどに繋げ、タックルも混ぜていく。ヒルのテイクダウンディフェンスは依然として堅いが、打撃の手数でややウォーターソンが優勢の印象だ。終盤には両者が気迫の打ち合い。ヒルがウォーターソンにケージを背負わせた。

 両者とも集中力と闘志を切らすことなく、常に動きのあった25分間の好勝負。結果は判定2-1のスプリットでウォーターソンに軍配が上がった。ウォーターソンは連敗脱出。ヒルは2連敗となった。


Co-Main Event
▼ライト級 5分3R
○オットマン・アツァイター(30=ドイツ)
TKO 1R 1分33秒
×カーマ・ワーシー(33=アメリカ)

アツァイターの剛腕が火を吹いた

 アツァイターの前戦は昨年9月の『UFC 242』で、テーム・パッカレン(33=フィンランド)に1R・KO勝ち。この試合がUFCデビュー戦だった。キャリア通算戦績は12戦全勝(9KO・TKO/2SUB)。

 対するワーシーもUFCデビュー2連勝中。他団体の試合も含めれば、現在7連勝中と好調だ。キャリア通算戦績は16勝5敗(9KO・TKO/3SUB)。

 1R、構えは両者ともオーソドックス。1分間ほど緊迫感のある駆け引きを繰り広げたところで、ワーシーの左ローに対し、アツァイターが右フックをぶち込む。アツァイターはワーシーに効いたと見るや、一気にパンチをラッシュ。ワーシーの膝が落ちると、アツァイターは追撃の拳を連打し、レフェリーストップを呼び込んだ。

 アツァイターが13連勝をマーク。ワーシーはUFC初黒星となった。


Main Card
▼女子フライ級 5分3R
○ロクサン・モダフェリ(37=アメリカ/同級8位)
判定3-0 ※29-28、29-28、29-28
×アンドレア・リー(31=アメリカ/同級9位)

ベテランのモダフェリは最後まで動きを落とさず、5年10カ月ぶり再戦のリーを返り討ちとした

 モダフェリは2003年11月に日本でプロデビューし、SMACKGIRL、VALKYRIE、JEWELSなどで活躍。2014年9月からはアメリカのInvicta FCを主戦場とし、その後、TUF出場を経てUFC参戦を果たしている。近年は勝ち負けを交互に繰り返しており、前戦は今年6月の『UFC on ESPN 11』で、ローレン・マフィー(37=アメリカ)に判定負けだった。キャリア通算戦績は24勝17敗(4KO・TKO/5SUB)。

 対するリーは2014年9月にアメリカでプロデビューし、LFA女子フライ級王者として活躍。Invicta FC参戦も経験している。UFCではデビュー3連勝からの2連敗という戦いぶり。前戦は今年2月の『UFC 247』で、マフィーにスプリット判定負けだった。キャリア通算戦績は11勝4敗(2KO・TKO/4SUB)。

 両者は2014年12月の『Invicta FC 10』で一度拳を交えており、その時はモダフェリがスプリット判定勝ちしている。5年10カ月ぶりの再戦だ。

 1R、両者ともオーソドックスに構え、序盤から激しくパンチを交錯させる。組みの攻防になるとリーが首投げから、モダフェリがボディロックから、それぞれテイクダウンを奪い合う。しばし鉄槌を落とす展開を作ったのはモダフェリだ。

 2R、左フックを多用するリーに対し、モダフェリはステップを駆使しながら左ジャブとワンツーを当てていく。だが、時間の経過とともにリーが右ロー、左ミドル、右ボディフックなどの攻撃を散らし、首相撲でモダフェリを崩すなど巻き返す。リーの回転肘もモダフェリに直撃。それでも止まらないモダフェリは終盤にリーの左ミドルをキャッチし、テイクダウンを決める。

 3R、モダフェリはケージ内を動き回りながらストレート系のパンチ。リーは回転肘を空振りさせたところでモダフェリに組みつかれ、テイクダウンを許してしまう。立ち上がろうとしたリーを再度テイクダウンするモダフェリ。リーはしばしモダフェリに押さえ込まれたが、終了間際に上を取り返した。

 結果は判定3-0で、モダフェリがリーを返り討ち。モダフェリが再起を果たし、リーは3連敗となった。


Main Card
▼ライトヘビー級 5分3R
○エド・ハーマン(アメリカ)
一本 3R 2分41秒 ※キムラロック
×マイク・ロドリゲス(アメリカ)

Main Card
▼ライト級 5分3R
○ボビー・グリーン(アメリカ)
判定3-0 ※30-27、30-27、30-27
×アラン・パトリック(ブラジル)

Main Card
▼フェザー級 5分3R
○ビリー・クアランティーロ(アメリカ)
KO 3R 7秒
×カイル・ネルソン(カナダ)

Preliminary Card
▼女子バンタム級 5分3R
×ジュリア・アヴィラ(アメリカ/同級14位)
判定0-3 ※27-29、27-29、27-29
○シジャラ・ユーバンクス(アメリカ/同級15位)

Preliminary Card
▼ライト級 5分3R
×ルーズベルト・ロバーツ(アメリカ)
一本 1R 31秒 ※ギロチンチョーク
○ケビン・クルーム(アメリカ)

Preliminary Card
▼165ポンド(74.84kg)契約 5分3R
×ブロク・ウィーバー(アメリカ)
一本 2R 4分20秒 ※リアネイキドチョーク
○ジェイリン・ターナー(アメリカ)

Preliminary Card
▼ウェルター級 5分3R
○ブライアン・バーバリーナ(アメリカ)
判定3-0 ※30-27、30-27、29-28
×アンソニー・アイヴィー(アメリカ)

Preliminary Card
▼女子フライ級 5分3R
○サビーナ・マゾ(コロンビア)
一本 3R 3分57秒
×ジャスティン・キッシュ(ロシア)