5カ月ぶりGLORY参戦の久保政哉
Photos(C)Glory Sports International

 2019年10月26日(土・現地時間)フランス・リヨンのパレ・デ・スポール・デ・ジェルランで開催される『GLORY 70: Lyon』に、GLORYで唯一の日本人選手となる久保政哉(26)が出場し、フェザー級ワンマッチでトーン・フェアテックス(23=タイ)と対戦する。

 久保は日本でREBELSに出場していた選手で、サウスポーの構えから繰り出す左の蹴りが武器だ。GLORY初参戦は2017年10月の『GLORY 46: Guangzhou』で、この時は4人制のフェザー級ワンデイトーナメントに出場し、初戦で地元選手のリー・チェンチェン(中国)から左ハイで1R・KO勝ちを収め、この大会のノックアウト・オブ・ザ・ナイトを獲得した。

 決勝では現在ONE Championshipで活躍中のジャン・チェンロン(中国)に敗れたが、ローブローに苦しみながらも判定までもつれ込む健闘をみせている。

 しかし、その後は昨年8月の『GLORY 57: Shenzhen』でチェンチェンに判定負けしてリベンジを許し、今年6月の『GLORY 66: Paris』でもアレクセイ・ウリアノフ(ロシア)に判定負け。今大会で2年ぶりとなるGLORYでの白星を目指すことになった。

 対戦相手のトーンは現在GLORY世界フェザー級9位につけている実力者。構えは久保と同じくサウスポーで、ムエタイ仕込みの左の蹴りを得意としている。

トーンの強烈な左の蹴り

 GLORY初戦、そしてキックボクシング初戦ともなった昨年10月の『GLORY 60: Lyon』で、試合開始直後から左ハイを飛ばしまくり、地元選手のヴィクター・ボダージュ(フランス)に判定勝ち。そして、2度目のGLORY参戦となった今年5月の『GLORY 65: Utrecht』では、先述のチェンロンを破っているベイリー・サグデン(イギリス)からも判定勝ちを収めている。

 このところGLORYで出場大会のスライド、日本国内で試合のキャンセルなどに見舞われていた久保だが、その悔しさをトーン戦にぶつけて勝利で晴らしてほしいところだ。

 また、メインイベントが変更されていることも合わせて綴っておきたい。

母国大会を負傷欠場となったドゥンベ

 当初はGLORY世界ウェルター級王者セドリック・ドゥンベ(27=フランス)が、同級3位マーテル・グローエンハート(33=オランダ)の挑戦を受けて、2度目の防衛戦を戦う予定であったが、17日(水・同)のリリースで、ドゥンベがヒジの負傷で欠場することが明らかにされた。

 これにより、新たなメインイベントに決まったのはGLORY世界ウェルター級暫定王座決定戦で、同級4位トロイ・ジョーンズ(31=アメリカ)が緊急参戦し、グローエンハートと拳を交えることになった。

中1カ月で暫定王座戦に臨むジョーンズ

 ジョーンズは13勝(11KO・TKO)1敗の通算戦績を誇る新鋭。昨年3月の『GLORY 52: Los Angeles』からGLORYに参戦し、現在まで4戦全勝と絶好調だ。前戦は今年9月の『GLORY 68: Miami』で、初参戦のアマリ・ディエドリック(イギリス)からボディとヒザ蹴りで3度のダウンを奪い、圧巻の1R・TKO勝利を飾っている。この試合でノーダメージだったということもあり、今回は急遽のオファーを承諾し、中1カ月でタイトルマッチに臨むことになった。

 一方、グローエンハートは68勝(39KO)24敗3分の通算戦績を持つベテラン。2012年12月にはギリシャで開催されたK-1 World MAXトーナメントに出場し、城戸康裕を1R・KO、マイク・ザンビデス(ギリシャ)を2R・TKO、アルトゥール・キシェンコ(ウクライナ)を3R・KOで破り、優勝を飾っている。

王座返り咲きを目指すグローエンハート

 GLORYでも一度、ウェルター級王座を獲得。2017年8月の『GLORY 44: Chicago』でドゥンベに判定勝ちし、ベルトを奪うとともに悲願の初戴冠を果たしたが、昨年2月の『GLORY 50: Chicago』でハルート・グレゴリアン(アルメニア)に1R・TKO負けし、初防衛に失敗している。

 ホープとベテランの暫定王座決定戦。勝って正規王者ドゥンベとの王座統一戦を待つことになるのはジョーンズか、ドゥンベか。

 フェザー級では日本縁の注目カードがもう1試合。同級6位アブデラ・エズビリ(33=フランス)と同級7位ザカリア・ゾウガリー(25=モロッコ)のワンマッチだ。

 エズビリは2013年1月のKrush 67kg級初代王座決定トーナメントで準優勝し、2017年11月には母国フランスで野扖正明から判定勝ちを収め、Nuit Des Champions -66kg王座を獲得。対するザカリアもシュートボクサーとして活躍し、2016年11月にS-cup65kg世界トーナメントで優勝、2017年4月には海人からも判定勝ちを収めている。日本縁のGLORYランカー対決にも注目だ。

セミで対戦するザカリア(左)とエズビリ(右)