2020年1月10日(金・現地時間)タイ・バンコクのインパクト・アリーナで『ONE: A NEW TOMORROW』が開催されました。以下、試合レポート・結果です。なお、今大会の闘技場にはケージではなくリングが使用されています。

Photos(C)ONE Championship

Prelim
▼MMA 女子ストロー級(56.7kg) 5分3R
×マイラ・マザール(34=ブラジル)
一本 2R 3分01秒 ※アメリカーナ
○三浦彩佳(29=日本)

三浦が得意の袈裟固めでマザールを押さえ込む

 三浦はDEEP JEWELSとパンクラスでの活躍を経てONEと契約。昨年2月のONEデビュー戦で元タイトルコンテンダーのラウラ・バリン(アルゼンチン)に1R一本勝ち、続く8月の2戦目ではサマラ・サントス(ブラジル)に2R一本勝ちしている。通算戦績は9勝2敗1ノーコンテスト(0KO・TKO/5SUB)。

 対するマザールはONE初参戦。キャリアのほとんどを母国ブラジルで闘っているが、2016年9月に中国のKunlun Fightで一度試合に出場しており、この時は現UFC世界ストロー級王者ジャン・ウェイリー(中国)に1R一本負けしている。通算戦績は6勝2敗(4KO・TKO/1SUB)。今回の試合が約2年ぶりの復帰戦だ。

 1R、構えは両者共にオーソドックス。開始1分の所で三浦がタックル。察知していたマザールは腰を引いて触らせず、すぐに三浦の顔面を右フックで叩く。一瞬動きが止まる三浦だが、ここで怯まず立ち上がって組みつき、粘りの末に首投げでテイクダウン成功。以降は三浦が得意の袈裟固めでマザールを制圧し、繰り返し肩固めを仕掛けるなど一方的な展開に持ち込む。

 2R、マザールの左アッパーに合わせて三浦がタックル。マザールは腰を落として踏ん張ろうとするが、コーナーを背負った所で三浦の力強い組みに屈する。三浦は再び袈裟固めの体勢に持ち込み、マザールの左腕に両足を絡めてのアームロック。1Rは耐え抜いたマザールだが、今度はタップアウトとなった。

 試合が決着するや否や三浦は歓喜の涙。三浦が強敵相手に一本勝ちを収め、ONE女子ストロー級戦線でその存在感をさらに高めることとなった。


Main Event
▼ONE Super Seriesムエタイ世界フライ級(61.2kg)タイトルマッチ 5分3R
○ロッタン・ジットムアンノン(22=タイ/王者)
TKO 3R 2分39秒
×ジョナサン・ハガティー(22=イギリス/挑戦者)
※ロッタンが2度目の防衛に成功。

ロッタンが強烈な左ボディでハガティを攻める

 両者はこれが2度目の対戦。初対決は昨年8月のONE Super Seriesムエタイ世界フライ級タイトルマッチで、当時王者だったハガティはダウンを奪われての判定負けでベルトを失っている。

 新王者に輝いたロッタンは同年10月に初防衛戦を闘い、新鋭ボルター・ゴンサルベス(ブラジル)に苦戦を強いられながらも、判定2-1のスプリットでベルトを死守。一方、ハガティは王座陥落以来の試合出場となる。

 1R、構えは両者共にオーソドックス。ハガティは前蹴りを顔面と膝に細かく打ち分けながら、左ジャブ、ワンツー、右ローなどを散らす攻撃。ロッタンは構わず力強い足取りで前に出て、ハガティの前蹴りを額で受けた直後に強烈な左右ボディを叩き込む。一瞬苦痛に顔を歪めてダウンするハガティ。ロッタンは立ち上がってきたハガティを左右ボディで攻める。

 2R、ロッタンを遠ざけたいハガティは構えをスイッチしながら、左ジャブ、右ストレート、前蹴り、左右ミドルを繰り出し、間合いを潰されると肘打ち。しかしロッタンは素早くブロックしたり避けたりしてハガティに当てさせない。左右フックを顔面と腹に打ち分けて襲いかかるロッタン。ハガティはロッタンの右ミドルをキャッチして足払いを狙うが、ジャンプでかわされてしまう。

 3R、ハガティがクリンチの場面でアイポークを受けたとアピールして試合中断。ロッタンは鬼の剣幕で不満を露わにする。すると再開直後、ロッタンは猛烈な勢いでハガティに迫り、パンチを一気にまとめて2度のダウンを追加。ハガティはなんとか立ち上がってクリンチに出るものの、ロッタンに強烈な左右フックで断ち切られて万事休す。ロッタンは左ボディでハガティにとどめを刺した。

 心が折れた様子で天を仰いだままのハガティ。TKO勝ちで2度目の王座防衛を果たしたロッタンも、しばしマットに仰向けになったまま歓喜の涙を流していた。


Co-Main Event
▼MMA 女子アトム級(52.2kg) 5分3R
○スタンプ・フェアテックス(22=タイ)
TKO 1R 4分27秒
×プージャ・トーマル(26=インド)

スタンプが馬乗りになってパンチを落とす

 スタンプはONE Super Seriesのムエタイとキックボクシングで世界女子アトム級のベルトを保持する王者。MMAにおいても2018年7月のデビュー戦から現在3連勝中(1KO・TKO/1SUB)と頭角を現している。前回の試合出場は昨年11月で、アメリカのKOTC(King of the Cage)で活躍した実力者ビー・ニューイェン(アメリカ、ベトナム)を熱戦の末、判定で下している。

 対するトーマルは前回の試合出場が昨年1月で、ONEの常連選手プリシラ・ヘルタティ・ルンバン・ガオール(インドネシア)に判定勝ち。ONE3戦目にして初白星を掴んでいる。通算戦績は4勝3敗(3KO・TKO/0SUB)。

 1R、オーソドックスのスタンプはジリジリと間合いを縮めて右ミドル。サウスポーのトーマルはコーナーまで後退するが、スタンプが左ローに切り替えたのを逃さずキャッチしてテイクダウンにいく。尻餅を着いたスタンプはすぐに立ち上がって右ミドル。トーマルはこれを再びキャッチする。

 もつれ合いながら転倒する両者。素早く相手の背後を取ったのはスタンプだ。トーマルはバックチョークで攻め込まれる苦しい展開に。マウントに移行したスタンプは右手でトーマルの頭を押さえながら左の拳と肘を落とす。うつ伏せになって頭を覆うトーマル。スタンプは馬乗りの体勢から一方的にパンチを浴びせてレフェリーストップを呼び込んだ。

 スタンプがトーマルに何もさせず圧倒TKO勝ち。MMAデビュー4連勝となったスタンプは満面の笑みで勝利者インタビューに応じ、今後もMMAで試合を続けてベルトを狙いたいとアピールした。


Main Card
▼ムエタイ バンタム級 3分3R
○センマニー・サティアンムエタイ(22=タイ)
判定3-0
×健太(32=日本)

センマニーの強烈な左ミドルに健太は体を持っていかれる

 健太(本名は山田健太)は国内外の様々な団体で試合を経験しきたベテラン。主戦場のNJKF(ニュージャパンキックボクシング連盟)では、ウェルター級(66.68kg)とスーパーウェルター級(69.85kg)の王者として活躍し、Krush -70kg王座やWBCムエタイ日本ウェルター級(同上)にも就いた。ONEには昨年3月から参戦中で、現在までに3試合を闘い1勝2敗の戦績だ。

 対するセンマニーはルンピニースタジアムとラジャダムナンスタジアムで王座を獲得している若き猛者。最近もヨードレックペット・オー・ピティサック(タイ)やタワンチャイ・PK・センチャイムエタイジム(同)を破るなど活躍中だ。昨年11月にはONEデビュー戦を勝利で飾っている。

 1R、サウスポーのセンマニーが序盤から左ミドルと左ローを連発。健太は蹴り終わりを右ローとワンツーで狙い、蹴り足キャッチからの肘打ちも返す。しかし時間の経過と共にセンマニーの左ミドルがさらに強力に。ロープ際へと追い込まれた健太は、歯を食いしばってのガードから肘打ちと左ストレートで応戦する。

 2R、なおも強烈な左ミドルの連打で健太の右腕を殺しにかかるセンマニー。健太は至近距離からコンパクトにパンチをまとめる場面もあったが、センマニーの肘打ちを喰らって左目尻から出血する。ドクターチェックを経て試合再開。すると健太がセンマニーの右ミドルを喰らいながらも懸命に左右フックで迫る。センマニーがロープを背負うと会場が大きく沸く。

 3R、センマニーの左ミドルを受けるたびに体が浮き上がるようになる健太。センマニーの左ハイも健太の顎先に当たる。それでも健太は間合いを潰して左右フック。健太は肉を切らせて骨を断つ闘いを貫いたが、センマニーの左ミドルはそれを凌駕した。

 センマニーが満場一致の判定勝ち。健太はONEで3敗目を喫することとなった。


Main Card
▼MMA フェザー級(70.3kg) 5分3R
○タン・リー(34=ベトナム、アメリカ)
KO 1R 2分51秒
×高橋遼伍(30=日本)

 高橋は2016年11月に修斗環太平洋フェザー級(65.8kg)王座に就いた実績の持ち主。昨年5月にONE初参戦を果たし、キアヌ・スッバ(マレーシア)に1RTKO勝ちを収めた。7月には修斗で試合に出場し、高橋孝徳に2RTKO勝ち。現在8連勝中と絶好調だ。通算戦績は13勝3敗(9KO・TKO/0SUB)。

 対するリーは2018年1月にアメリカのLFA(Legacy Fighting Alliance)でフェザー級(65.8kg)暫定王座に就いたことがある実力者。昨年5月のONEデビュー戦でユサップ・サーデュラエフ(ロシア)に2RTKO勝ちし、続く8月の2戦目では朴光哲[ぼく・こうてつ]に1RKO勝ちしている。通算戦績は10勝2敗(9KO・TKO/1SUB)。

 1R、構えは高橋がオーソドックス、リーがサウスポーでスタート。高橋はリーの左ミドルをキャッチしてすかさず左フックを浴びせにかかるが、これは惜しくもヒットせず。リーは高橋の鋭い右ローを数発受けてやや距離を取る場面も。 

 高橋は再びリーの左ミドルをキャッチして左フックを振るうが、ここでバランスを崩して転倒。リーは高橋の立ち上がり際を逃さず、強烈な右の拳を叩き込む。もんどり打って倒れた高橋に対し、リーは追撃の鉄槌を連打。高橋は足をもつれさせながらも立ち上がるが、最後はリーの左ストレートを喰らってマットに崩れ落ちた。

 リーが持ち前の強打でKO勝ち。高橋はONE2戦目で初黒星となった。


Main Card
▼ムエタイ バンタム級(65.8kg) 3分3R
○リアム・ハリソン(イギリス)
KO 1R 2分03秒
×モハメド・ビン・マムード(マレーシア)

Prelim
▼ムエタイ バンタム級(65.8kg) 3分3R
○ムアンタイ・PK・センチャイムエタイジム(タイ)
判定2-1
×ブリース・デルバール(アルジェリア)

Prelim
▼MMA ウェルター級(83.9kg) 5分3R
○ライモンド・マゴメダリエフ(ロシア)
一本 1R 3分50秒 ※ギロチンチョーク
×ジョーイ・ピエロッティー(アメリカ)

Prelim
▼キックボクシング バンタム級(65.8kg) 3分3R
×ビクター・ピント(フランス)
判定0-3
○アダム・ノーイ(アルジェリア)

Prelim
▼MMA フェザー級(70.3kg) 5分3R
×マー・ジャウェン(中国)
KO 1R 55秒
○シネチャツガ・ゼルトセトセグ(モンゴル)

Prelim
▼ムエタイ バンタム級(65.8kg) 3分3R
×ハン・ズーハオ(中国)
判定1-2
○メディ・ザトゥー(アルジェリア)

Prelim
▼MMA フェザー級(70.3kg) 5分3R
×ヨハン・ムリア・レゴウォ(インドネシア)
判定0-3
○ロエル・ロサウロ(フィリピン)