2019年11月8日(金・現地時間)アメリカ・オクラホマ州タッカービルのウィンスター・ワールド・カジノ・アンド・リゾートで『Bellator 233』が開催されました。以下に“キング・モー”・ラワル引退試合のレポートを綴ります。

Photos(C)Bellator

▼セミファイナル 195ポンド(88.45キロ)契約 5分3R
דキング・モー”・ラワル(38=アメリカ)
KO 1R 1分22秒
○アンドリュー・カペル(34=アメリカ)

カペルの左ストレートを受けるモー

 元Strikeforce世界ライトヘビー級王者にしてRIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015優勝者、キング・モーが引退試合に臨んだ。

 モーは今年4月の『RIZIN.15』でRIZINライトヘビー級王座決定戦に出場し、イリー・プロハースカ(チェコ)に3RTKO負け。当初はこの試合を最後に引退する意向を示していたが、主戦場であるBellatorのサークルケージでキャリアを終えたいとの気持ちを強くし、大学時代にレスリングに明け暮れた思い出の地、オクラホマで開催される今大会で、改めてラストマッチを迎えることになった。

 対戦相手のカペルはBellator初参戦のファイターで、通算戦績は14勝(3KO・TKO/10SUB)6敗。前戦は今年2月にHFC(Hoosier Fight Club)というローカル大会に出場しており、そこでミドル級王座を獲得している。現在4連勝中と好調のようだ。

 1R、構えは両者ともにオーソドックス。カペルはサークリングしつつ、時おり足を止めて単発の左ジャブと右ストレートを上下に打ち分け、前蹴りも使って牽制。カペルの右ローも強烈だ。モーは追いかけながら単発の右フック、そして左右ボディから左フックに繋げるコンビネーションで応戦。カペルはモーの右フックが顔面をかすめてひやりとする場面も。モーにギアがかかり始める、と思われたところで一気に試合が動く。

 右ストレートから右ミドルで仕掛けたのはカペル。モーはこの蹴り足を左手でキャッチしてすかさず右の拳を振るうが、次の瞬間、片足立ちのカペルの打ち下ろしたショートの右ストレートをまともに喰らい、体が一回転して仰向けに倒れ込む。もはや体がまともに動かないモー。カペルがパウンドで追撃に入ったところでレフェリーが試合を止めた。

 騒然とする中、モーは立ち上がるものの、すぐによろめいてしまい、ダメージは大きい様子。カペルは感無量といった様子でマットに座り込んで笑顔をみせた。

 しばし時間を置いてようやく両者がケージ中央で握手。カペルが勝ち名乗りを受けると、モーは手に持ったグローブをマットに置いた。そして再度、抱擁を交わす両者。モーはカペルの胸を叩いて称え、手を振って観客の声援に応えた。

 先にマイクを向けられたカペルは、「リスクをおかしてこそ成果が得られるものさ。言葉にするのは難しい。しかしまずは、キング・モーに敬意を。何年も何年も前に彼が日本で戦っているのを見たんだ。レジェンドさ。オクラホマのみんな、彼にもう一度拍手を。リスクを恐れず、この試合を受けてくれた彼のために」とモーに拍手を送る。

 そして自身の勝利について聞かれると、「とうとうここに辿り着いたんだ。長い長い道のりだった。今こうしてメジャーの舞台にいる。自分を信じてくれた人々に感謝したい」と感極まった。

 一方、モーも目を潤ませながら「これが最後の試合だよ。俺はとても良い時間を過ごした。これが現実なのさ」と改めて引退を表明。大量のティッシュを手に近づいてきた愛娘を抱き寄せると、「ATT(American Top Team)には才能をもった若手がたくさんいる。俺は彼らが成長するのを助けていくぜ」と話し、今後は後進の育成に励みたいとした。

 キング・モー。38歳。レスリングの84キロ級でアメリカのトップ選手として活躍し、2008年の北京五輪出場を逃したのを機にMMA(総合格闘技)に本格転向。同年9月に日本の戦極でプロデビューを果たし、2009年3月の4戦目までを同団体で過ごす。

 初戴冠は2010年4月のプロ7戦目。ゲガール・ムサシ(オランダ)に判定勝ちし、Strikeforce世界ライトヘビー級王座を獲得。2013年1月からBellatorを主戦場とし、ライトヘビー級のトップファイターとして活躍。2015年末には『RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015』で3試合を勝ち抜き、見事優勝を果たした。生涯戦績は21勝(13KO・TKO/0SUB)10敗1ノーコンテスト。

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