2019年12月7日(土・現地時間)アメリカ・ワシントンD.C.のキャピタル・ワン・アリーナで『UFC on ESPN 7』が開催されました。以下に試合レポート・結果を綴ります。

Photos(C)Jeff Bottari/ UFC/ Zuffa LLC via Getty Images

Main Event
▼ヘビー級 5分5R
×アリスター・オーフレイム(39=オランダ/同級6位)
KO 5R 4分56秒
○ジャルジーニョ・ホーゼンストライク(31=スリナム/同級14位)

ガードを固めるアリスターに
ホーゼンストライクが剛腕を振るう

 アリスターはリングス、PRIDE、DREAM、K-1で活躍した日本縁のベテラン。2007年にStrikeforce世界ヘビー級王座獲得、2010年にK-1 WORLD GP優勝といった輝かしい実績を持ち、現在もUFCでランキングに名を連ねる。通算戦績は45勝17敗1ノーコンテスト(23KO・TKO/17SUB)。今大会で3連勝を狙う。

 対するホーゼンストライクはキックボクシングで武林風トーナメントを制した実績を持つストライカー。MMAにおいてもその破壊力は健在で、今年2月のUFC初戦は2R54秒KO勝ち、7月の2戦目は1R9秒KO勝ち、11月の3戦目に至っては元UFC世界ヘビー級王者アンドレイ・アルロフスキー(ベラルーシ)に1R29秒KO勝ちしている。通算戦績は9戦全勝(8KO・TKO/0SUB)だ。

 豪快KO決着が期待される対決。オーフレイムが握手を求めるも、ホーゼンストライクがこれを拒否し、会場がざわついたところで開戦となった。

 1R、構えはアリスターがサウスポー、ホーゼンストライクがオーソドックス。出だしはアリスターがホーゼンストライクの左ジャブを右の前手で触り、左ローが来ればキャッチを狙う動き。アリスターは右腕で顔を守りながら左オーバーハンドも当てにいく。

 アリスターの動きがまだ読みづらそうなホーゼンストライク。アリスターはタックルの動きみせて組みに持ち込むと、ヒザ蹴りを入れてからの足掛けで鮮やかにテイクダウンを決める。サイドを許したホーゼンストライクは残り3分間、アリスターに押さえ込まれ続けた。

 2R、アリスターが早々に間合いを潰してホーゼンストライクをケージに押し込み、ヒザ蹴りを入れながらテイクダウンの機会をうかがう。しかし、この状態のまま3分間が経過したため、レフェリーがブレイクに入る。

 久しぶりの打撃戦。ホーゼンストライクは右ストレートと左アッパーをコンパクトに打ち込むが、アリスターが両腕で築くブロックは固い。アリスターはその両腕を時おり開閉したり、足を左右に運んだりしながら、関節蹴り、左オーバーハンド、左ミドルを当てていく。

 3R、攻撃に変化をつけたいホーゼンストライクは蹴り上げとアッパー。懐から脅かされたアリスターはすぐに頭を両腕で守りながら上体をウェーブさせるようにして間合いを潰してタックルを仕掛ける。ここはホーゼンストライクがケージを背負って踏ん張り、アリスターを引っ剥がす。

 続く打撃戦も、アリスターが独特の動きから繰り出す左ストレートと左オーバーハンド、それをフェイントにした右オーバーハンドや左ミドルを巧みにヒット。さらに残り1分30秒を切るとアリスターは胴クラッチからの投げを鮮やかにテイクダウンを決め、強烈な鉄槌とエルボーも浴びせる。

 4R、ホーゼンストライクは足を後ろへ運びながら手打ちの左ジャブと右ストレートで寄せつけんとするが、アリスターの左オーバーハンドは未だ射程距離。打開したいホーゼンストライクは1分が経過したところでようやくがその強打を解き放ち、パンチのラッシュと飛びヒザ蹴りでアリスターにケージを背負わせてみせる。

 アリスターも簡単には崩れず、これまでと同様の攻撃を続行するが、両腕が下がる場面もあって動きが雑になってきた様子。ホーゼンストライクはこの隙を逃さず、アリスターの離れ際をジャンピングハイで狙い、パンチの連打と飛びヒザ蹴りも追加して攻勢を印象づける。

 5R、踏ん張りどころとなったアリスターだが、ここで下がらずに左ストレートと左オーバーハンドを振るい、組みついたり引き込んだりする動きも混ぜて、ホーゼンストライクに好機を与えない。ホーゼンストライクも一発を狙っているのか、中盤の飛びヒザ蹴り以外は仕掛けが少ない印象だ。

 時間の経過と共にKO決着を期待していた観客からはブーイング。そして拍子木が鳴らされると、疲労困憊のアリスターが一気に距離を取って逃げ切り体勢に入る。しかし、このまま試合終了という流れが予想された次の瞬間、追いかけるホーゼンストライクが左ジャブからの右フックを見事に炸裂させ、アリスターの意識を飛ばした。

 残り時間わずか4秒で訪れた衝撃の結末。会場はブーイングから一転、大興奮の歓声に包まれた。 

 ホーゼンストライクはだめ押しの鉄槌を落とすことなく、直後に振り返って勝利の雄叫び。アリスターはすぐに意識を取り戻して起き上がると、口から血を流しながらレフェリーの制止に不満の意を示すが、腰から崩れ落ちた際には手足もだらんと伸びており、背後のケージで大の字を回避したような状態だった。

 ホーゼンストライクが最後の最後に大砲を炸裂させ、パーフェクトレコードを10戦全勝(9KO・TKO)へと更新。集中力を保ちながら老獪な戦いぶりをみせていたアリスターにとっては、まさに痛恨の被弾となってしまった。

 試合後の勝利者インタビューで、ホーゼンストライクは「厳しい試合だった。彼は本当に賢い。手こずらされたが、最後にKOすることができた。俺には多くはいらない。一撃必殺だ」と振り返り、「アリスターは大きな過ちを犯した。それは俺を『レベルが違う』と見くびっていたことだ」と話す。これが試合前の握手拒否の理由だったか。

 そして「あの巨大で恐ろしい男、フランシス・ガヌー(カメルーン)と戦いたい」とアピール。次なる対戦相手の指名を終えたホーゼンストライクは、オクタゴンに登場した自分よりも長身の父親から祝福を受け、最後はサポータへの感謝の言葉で締め括った。

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Co-Main Event
▼120.5ポンド(54.66キロ)契約 5分3R
△マリナ・ロドリゲス(ブラジル/同級9位)
判定1-0 ※29-28、28-28、28-28(マジョリティー・ドロー)
△シンシア・カルビーヨ(ブラジル/同級10位)
※カルビーヨは女子ストロー級規定体重をオーバー、対戦相手のロドリゲスに報奨金の30%を支払う。

Main Card
▼ヘビー級 5分3R
×ステファン・ストルーフェ(オランダ)
TKO 2R 4分57秒
○ベン・ロズウェル(アメリカ)

Main Card
▼女子バンタム級 5分3R
○アスペン・ラッド(アメリカ/同級5位)
TKO 3R 33秒
×ヤナ・クニツカヤ(ロシア/同級7位)

Main Card
▼バンタム級 5分3R
△コーディ・ステーマン(アメリカ)
判定1-0 ※28-28、28-28、29-27(マジョリティー・ドロー)
△ソン・ヤドン(中国/同級13位)

Main Card
▼バンタム級 5分3R
○ロブ・フォント(アメリカ/同級
10位)
判定3-0 ※30-27、29-28、29-28
×リッキー・シモン(アメリカ)

Prelim
▼ウェルター級 5分3R
×チアゴ・アウベス(ブラジル)
一本 1R 2分38秒 ※ギロチンチョーク
○ティム・ミーンズ(アメリカ)

Prelim
▼フェザー級 5分3R
○ビリー・クアランティーロ(アメリカ)
一本 2R 3分18秒 ※三角絞め
×クリス・フィッシュゴールド(イギリス)

Prelim
▼148.5ポンド(67.36キロ)契約 5分3R
○ブライス・ミッチェル(アメリカ)
一本 1R 4分20秒 ※ツイスター
×マット・セイルズ(アメリカ)
※セイルズはフェザー級規定体重をオーバー、対戦相手のミッチェルに報奨金の20%を支払う。

Prelim
▼ライト級 5分3R
○ジョー・ソレッキ(アメリカ)
判定3-0 ※30-26、30-27、30-26
×マット・ワイマン(アメリカ)

Early Prelim
▼女子ストロー級 5分3R
○リビーニャ・ソウザ(ブラジル)
一本 2R 1分16秒 ※リアネイキドチョーク
×ビルナ・ジャンジロバ(ブラジル)

Early Prelim
▼ミドル級 5分3R
○マフムート・ムラドフ(ウズベキスタン)
KO 3R 4分09秒
×トレバー・スミス(アメリカ)