2019年10月25日(金・現地時間)アメリカ・コネチカット州モントビルのモヒガン・サン・アリーナで『Bellator 231』が開催されました。以下に試合レポート・結果を綴ります。

Photos(C)Bellator

▼メインイベント ヘビー級 5分3R
○フランク・ミア(40=アメリカ)
判定3-0 ※30-27、29-28、29-28
×ロイ・ネルソン(43=アメリカ)

ミアは相手の足を削ったうえでパンチも当てた

 ミアは元UFC世界ヘビー級王者。2016年3月の『UFC Fight Night 85』でマーク・ハント(ニュージーランド)にKO負けした試合を最後に、14年4カ月在籍したUFCを離れ、Bellatorと契約した。新天地デビューは昨年4月の『Bellator 198』、ヘビー級ワールドグランプリの1回戦でエメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア)に1RKO負け。2戦目は昨年12月の『Bellator 212』で、ハヴィー・アヤラ(アメリカ)に2RTKO負けし、新天地では未勝利だ。

 対するネルソンはUFCでタイトルマッチ経験こそ無いが、ヘビー級ランカーとして、そして人気選手として活躍。2017年4月の『UFC on Fox 24』でアレクサンドル・ボルコフ(ロシア)に判定負けした試合を最後に、UFCを離れてBellatorと契約した。2017年9月の『Bellator 183』で先述のアヤラを判定で下し、新天地デビュー戦を飾ったが、その後はマット・ミトリオン(アメリカ)、セルゲイ・ハリトーノフ(ロシア)、ミルコ・クロコップ(クロアチア)に敗れ、現在3連敗中だ。

 両者は2011年5月の『UFC 130』で一度対戦しており、この時はミアが判定勝ちを収めている。今回は8年5カ月ぶりの再戦だ。

 1R、構えはミアがサウスポー、ネルソンがオーソドックス。ケージ中央から左ジャブを突いていくネルソンに対し、ケージ際のミアは左右へ足を運びながら左インローをコツコツと入れる。ネルソンは得意の右オーバーハンドを振るわんとするが、踏み込むたびにことごとく前足を刈られ、早くも嫌がる動き。ミアは絶妙なタイミングで左インローを蹴り続けた。

 2R、開始早々にミアの左ハイがネルソンの顔面をかすめる。ネルソンは間合いを潰して左右フックや右アッパーを振るうが、連打になると足がついてこないようだ。1Rとは逆にケージ中央を取るようになったミアに対し、その周りをゆっくりと回るネルソン。ミアはなおも左インローを蹴り、ネルソンの両手や片ヒザをマットにつかせる。ネルソンは右アッパーで強襲せんとするも不発。ミアはすかさず左ストレートをヒットさせる。

 3R、ネルソンは移動方向を右へ変えたり、上体をかがめながら近づいたりするが、やはりミアの左インローをもらってしまう。それでもにじり寄ってくるネルソンに対し、ミアは左ハイで強襲したり、クリンチでパンチを封じたりして巧く対処。中盤に入るとミアも疲労し、ネルソンの右オーバーハンドをもらって鼻血を流す。ネルソンは終了間際にタックルから豪快にテイクダウンも決めたが、ここでタイムアップとなった。

 終盤こそネルソンが反撃に転じる場面もあったが、それ以外はミアが左インロー攻めを徹底・完遂するベテランらしい戦い方で主導権を握り続け、満場一致の判定勝ち。ネルソンはこれで4連敗となった。

 ミアの勝利は、2015年7月の『UFC Fight Night 71』でトッド・ダフィー(アメリカ)を1RKOに下して以来、実に4年3カ月ぶり。ブーイングと歓声が入り交じる中で勝利者インタビューに臨んだミアは、自身の戦略について触れながら「この顔をみてくれ。彼の右には痛めつけられたよ」と、楽な試合ではなかったことを強調。セコンドに就いた父と娘を指差して「今や3世代さ」と清々しい表情を浮べ、その2人から新天地初勝利の祝福を受けた。

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▼セミファイナル ライトヘビー級 5分3R
○フィル・デイヴィス(35=アメリカ)
TKO 3R 3分06秒
×カール・アルブレックソン(26=スウェーデン)

デイヴィスとアルブレックソン(前日計量にて)

 アルブレックソンはRIZINでワジム・ネムコフ(ロシア)やテオドラス・オークストリス(リトアニア)を破り、重量級の強豪として活躍。2017年12月の『RIZIN.8』では、イリー・プロハースカ(チェコ)に1R9分57秒でTKO負けとなったが、終了間際に大逆転の強打を許すまではグラウンドで削り続け、後のRIZINライトヘビー級王者を追い詰めている。これがBellatorデビュー戦だ。

 対するデイヴィスはUFCでアレクサンダー・グスタフソン(スウェーデン)、アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ(ブラジル)、リョート・マチダ(ブラジル)、グローバー・テイシェイラ(ブラジル)といった屈指の強豪たちを破ってきた実力者。Bellatorでも2016年11月に一度、世界ライトヘビー級王座のベルトを巻いている。

 1R、構えは両者ともにオーソドックス。アルブレックソンはケージ中央からプレッシャーをかけながら左ジャブと左右ロー。デイヴィスはケージ際を右へ左へと足を運び、アルブレックソンの射程範囲から外れんとする。最初のコンタクトは開始1分。アルブレックソンに右ローをキャッチされたデイヴィスが、ケージに押し込まれながらもチョークをセットする。これはアルブレックソンが外して打撃戦に戻した。

 その後もデイヴィスの強烈な右ローをキャッチしにいくアルブレックソン。残り時間1分30秒に迫ったところで、今度はデイヴィスが左オーバーハンドを振るってからのタックルを決め、テイクダウンに成功する。アルブレックソンはデイヴィスに右の拳を一発落とされたが、それ以上の攻めは許さず、立ち上がって距離を取る。そしてゴングが鳴るまでのわずかな時間で、アルブレックソンが左インロー、デイヴィスが右ローで快音を鳴らした。

 2R、アルブレックソンは上体を上下左右に動かしながらステップを踏み、左ジャブ、左フック、左右ミドルを積極的に繰り出す。序盤は守り気味に入ったデイヴィスも左ジャブで仕掛けるが、アルブレックソンにかわされて右ローと左ローを蹴られてしまう。アルブレックソンはデイヴィスのタックルもカットする。

 しかし中盤、やや見合った展開からデイヴィスが勢い良く振るった右ストレートがクリーンヒットし、アルブレックソンはふっ飛ばされてダウン。デイヴィスは立ち上がったアルブレックソンの背後からしぶとく組みつく。アルブレックソンは潰されたところでデイヴィスのヒザ蹴りを腹に落とされた。

 3R、アルブレックソンは上体を揺らしながら打撃のコンビネーションを再開し、ダメージを感じさせない動き。だが、開始1分が経過したところで、デイヴィスが下から蹴り上げる前蹴りと左ミドルをヒット。アルブレックソンが腹をかばうように後退する。

 ディヴィスはさらに追撃の左フック。アルブレックソンをぐらついたところでデイヴィスに片足をすくい上げられ、座り込むような体勢になってしまう。デイヴィスの鉄槌を浴びながらも懸命に立ち上がろうとするアルブレックソン。デイヴィスはしっかりとコントロールして潰し、容赦なく固く握った拳を振り落とす。アルブレックソンがついに頭を覆ったところで、レフェリーが試合を止めた。

 デイヴィスがしっかりと実力をみせてのKO勝ち。アルブレックソンも元王者を相手に健闘したが、新天地初戦は黒星となった。

 試合後、マイクを向けられたデイヴィスは「実は一度、スウェーデンで彼とトレーニングしたことがあるんだ。彼は生粋のプロフェッショナルだった。そのジムの実力者だし、最もハードワークしている人間だったから、そのうちくると思っていたよ」と、アルブレックソンを賞賛。

 今後の目標について聞かれると、「フェザー級とウェルター級のトーナメントにエキサイトしているんだ。ぜひともライトヘビー級でも実現してほしい。そしてベルトを懸けてくれ。俺をリストアップしてくれ。ここには十分な選手がそろっているだろう」と、ライトヘビー級グラプリの開催をアピールした。

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▼ウェルター級 Feature Bout 5分3R
○エド・ルース(アメリカ)
判定3-0 ※29-28、28-29、29-28
×ジェイソン・ジャクソン(ジャマイカ)

▼女子フライ級 Feature Bout 5分3R
×ベック・ローリングス(オーストラリア)
一本 2R 3分35秒
○イラーラ・ジョアンニ(ブラジル)

▼ヘビー級 Feature Bout 5分3R
−ジェイク・ヘイガー(アメリカ)
ノーコンテスト 1R 1分56秒 ※偶発性のローブロー
−アンソニー・ギャレッツ(アメリカ)

▼フライ級 Preliminary Bout 5分3R
×エイドリアン・ヘイリー(アメリカ)
判定0-3 ※27-30、26-30、26-30
○プミ・ヌクタ(アメリカ)

▼ウェルター級 Preliminary Bout 5分3R
○コナー・ディクソン(アメリカ)
一本 1R 42秒 ※アームロック
×オルカン・スミッツァード[Orkhan Ismatzade](アゼルバイジャン)

▼ライト級 Preliminary Bout 5分3R
×マンデル・ナロ(カナダ)
TKO 3R 1分16秒 ※足の負傷
○キリーズ・モタ(ブラジル)

▼女子フェザー級 Preliminary Bout 5分3R
×タリタ・ノゲイラ(ブラジル)
判定1-2 ※27-30、29-28、27-30
○ジェシカ・ミーリー(アメリカ)

▼ヘビー級 Preliminary Bout 5分3R
○スティーヴ・モウリー(アメリカ)
一本 2R 56秒 ※アームロック
×グーカン・サリチャム(トルコ)

▼ライトヘビー級 Preliminary Bout 5分3R
○ダルトン・ロスタ(アメリカ)
TKO 2R 4分23秒
×クロード・ウィルコックス(アメリカ)

▼ミドル級 Preliminary Bout 5分3R
○ティム・キャロン(アメリカ)
判定3-0 ※29-28、29-28、29-28
×ルーカス・ピメンタ・ボルジェス(ブラジル)

▼ウェルター級 Preliminary Bout 5分3R
○ジョン・マンリー(アメリカ)
判定3-0 ※30-27、29-28、29-28
×チアゴ・オリヴェイラ(ブラジル)

▼女子105ポンド(47.63キロ)契約 Preliminary Bout 5分3R
×レベッカ・ブリッグマン(アメリカ)
TKO 1R 4分48秒
○エリス・リード(アメリカ)