2019年12月21日(土・現地時間)アメリカ・ハワイ州オアフ島ホノルルのニール・ブレイズデル・アリーナで『Bellator 236』が開催されました。以下、試合レポート・結果です。※試合順を入れ替えている箇所があります。

Photos(C)Bellator

Main Event
▼Bellator世界女子フライ級タイトルマッチ 5分5R
○イリマレイ・マクファーレン(29=アメリカ/王者)
判定3-0 ※50-45、50-44、50-44
×ケイト・ジャクソン(33=イギリス/挑戦者)
※マクファーレンが4度目の防衛に成功。

腕十字を仕掛けるマクファーレン

 マクファーレンは2017年11月の『Bellator 186』で、エミリー・ダコーティー(アメリカ)に5R一本勝ちし、初代Bellator世界女子フライ級王座を戴冠。その後も元UFC世界女子ストロー級タイトルコンテンダーのヴァレリー・レターノー(カナダ)の挑戦を3R一本勝ちで退けるなど、3度の王座防衛に成功している。通算戦績は10戦全勝(2KO・TKO/6SUB)と未だ負け無しだ。

 対する挑戦者ジャクソンはBellatorには2017年8月の『Bellator 182』から参戦し、現在までに4試合を戦って3勝1敗(2KO・TKO)と勝ち越している。黒星は、2017年12月の『Bellator 191』でレターノーに喫した判定負けだ。通算戦績は11勝3敗1分(6KO・TKO/1SUB)。

 1R、構えは両者共にオーソドックス。マクファーレンが序盤にボディロックからの崩しでテイクダウンを決め、ジャクソンの立ち上がり際にはチョークに捕らえながらの膝蹴り。かなり我慢の時間が続いたジャクソンだが、マクファーレンが腕を解くとすかさずエルボーを入れる。マクファーレンは組みの攻防からの離れ際に、ジャクソンの左ハイを被弾する危ない場面もあった。

 2R、ケージ際で両者譲らぬ組みの攻防を繰り広げる。マクファーレンはケージに押し込みながらの右アッパー、体勢を入れ替えたジャクソンがエルボー。双方共に鼻血を流す。均衡を破ったのはやはりマクファーレンで、組みからタックルに切り替えてのテイクダウン。マクファーレンはマウントからジャクソンの肩を極めにいくが、ここは惜しくも時間が足りなかった。

 3R、前半は組みの攻防が続き、ジャクソンは消耗気味。打撃戦になれば、マクファーレンが鋭い踏み込みから右アッパー、左右ボディ、左ストレートをヒットさせていく。顔が腫れて出血も増えるジャクソン。マクファーレンは終盤にテイクダウンを追加し、さらに攻勢を強める。

 4R、マクファーレンは前手を出しながら距離を詰め、ジャクソンのクリンチがもたついた所で右アッパー連打、そしてボディロックから足をかけてのテイクダウンだ。マクファーレンに転がされて亀の状態になるジャクソン。マクファーレンはジャクソンの肩にまたがると腕十字に入る。ジャクソンは懸命に腕を引き寄せてディフェンスし、ここもなんとか耐えた。

 5R、マクファーレンはパンチと右ミドルを当てて組みつくが、ジャクソンもタフで簡単にはテイクダウンを許さない。残り1分を切った所でマクファーレンはようやくタックルでテイクダウンを決め、マウントから拳と肘を落としまくった。

 女王のフィニッシュシーンは訪れなかったが、それでもホームの観客は大盛り上がり。マクファーレンがジャクソンを終始圧倒し、大差の判定勝ちで4度目の防衛に成功した。

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Feature Fight
▼ウェルター級 5分3R
○ジェイソン・ジャクソン(29=ジャマイカ)
判定3-0 ※30-27、30-27、30-27
×国本“ストラッサー”起一(38=日本)

ジャクソンのパンチを被弾する国本

 国本と当初対戦が予定されていたネイマン・グレイシー(ブラジル)が負傷欠場。わずか9日前にジャクソンがスクランブル参戦し、国本と拳を交えることになった。

 ジャクソンは2016年にTitan FCウェルター級王座に就いた実績を持ち、通算戦績は11勝4敗(4KO・TKO/3SUB)。Bellator戦績は1勝1敗(1KO・TKO)で、黒星は今年10月の『Bellator 231』でエド・ルース(アメリカ)に喫した判定負けだ。今回は2カ月ぶりの再起戦が急遽決まったことになる。

 一方、国本は2012年にHEAT総合ルール・ウェルター級王座を獲得し、2014年からはUFCにも出場した実力者だ。UFC戦績は3勝2敗。帰国後はRIZINで2連勝をあげている。今年7月の『Bellator 224』をもってBellator初参戦を果たしたが、先述のルースに2RTKO負けして黒星デビューとなった。通算戦績は20勝8敗2分1ノーコンテスト(2KO・TKO/10SUB)。

 1R、構えは両者共にオーソドックス。いきなり間合いを縮めて左ハイを入れたのはジャクソン。国本もすぐに足を前に運びながら左右ストレートを伸ばす。国本がケージ際で足を止めた所へ、ジャクソンが鋭いワンツー。被弾した国本がダウンする。だが、ジャクソンはグランド勝負にはいかず、スタンドを要求。国本は立ち上がる。

 ほどなく、国本がタックルを仕掛けてテイクダウン成功。国本は背後に回って裸絞めを狙うが、両足フックが緩んだ所で素早く上体を捻ったジャクソンに胸を合わされる。今度は下からアームロックの国本。ジャクソンは前転して軸をずらし、これも凌ぐと再びスタンドを要求。終了間際にジャクソンは国本に組みついて抱え上げ、スラム気味にテイクダウンを決めた。

 2R、国本がケージ際で足を運び、ジャクソンがケージ中央から追いかける。ジャクソンが左ジャブから右の拳で鉄槌を打ってくると、国本もカウンタータックルや足払いを見せて牽制。パンチの攻防になれば、ジャクソンが優勢の印象だ。国本はステップやフェイントを混ぜながら変化をつけてから拳を振るうが、左ジャブをジャクソンにかわされ、直後に右アッパーを突き上げられてしまう。

 ジャクソンは単発の左ジャブと右ボディストレート、ダブルの左ジャブから右ハイ、ワンツー、国本の右ストレートに右ストレートのカウンターなど、決定機とまではいかなくても惜しい場面を作っているか。国本は終盤にボディロックからの足払いでテイクダウンを取るが、ジャクソンの立て直しも早く、優位な体勢をキープすることができない。

 3R、国本が右ローを放って直後にタックル。ジャクソンは素早く腰を引いてこれを切ると、ここもスタンドを要求する。打撃戦になると国本もパンチを振るいながら右カーフも蹴るが、なかなか綺麗に当てさせてもらえない。ジャクソンの右ハイをブロックした国本の体が一瞬傾く。

 国本の右カーフが決まり始めるが、ジャクソンに左ジャブと右ストレートを合わせられ、上体が仰け反ってしまう場面もある。両者共に疲労の色が濃くなってきた所で、ジャクソンが組んで国本をケージに押し込む。国本はチョークに捕らえて引き込むが、極めることはできず。終了間際に立ち上がったジャクソンは飛び膝蹴りを繰り出し、組みついてきた国本を逆に投げ飛ばしてみせた。

 ジャクソンが序盤に国本をダウンさせ、その後もスタンドの展開で終始優勢をキープ。ジャクソンが満場一致の判定勝ちを収めた。国本はBellator初勝利ならず、2連敗となっている。


Co-Main Event
▼Bellatorフェザー級ワールドグランプリ 準々決勝① 5分5R
○A. J.・マッキー(24=アメリカ)
一本 3R 1分08秒 ※腕十字
×デレク・カンポス(31=アメリカ)

※マッキーがグランプリ準決勝進出。

マッキーが会心の一本勝ちでグランプリ準決勝進出

 優勝賞金100万ドルを懸けて16選手が争うBellatorフェザー級ワールドグランプリ。マッキーは今年9月の『Bellator 228』で1回戦を戦い、ジョージ・カラカニヤン(アメリカ)を1Rわずか8秒でKOし、準々決勝に進出を果たした。通算戦績は15戦全勝(6KO・TKO/4SUB)と未だ無敗を誇る。

 対するカンポスは9月の『Bellator 226』で1回戦を戦い、元Bellator世界フェザー級王者ダニエル・ストラウス(アメリカ)に判定勝ちを収め、準々決勝へと駒を進めた。通算戦績は20勝9敗(6KO・TKO/5SUB)となる。

 1R、構えはマッキーがサウスポー、カンポスがオーソドックスでスタート。マッキーはゴングと同時にいきなり飛び膝蹴り。カンポスは意表を突かれるも被弾は免れる。マッキーは後ろ回し蹴りを空振りさせた勢いで転倒。カンポスは右の拳を落として押さえ込みにかかるが、パスガードを試みた所でマッキーに立たれてしまう。

 今度はマッキーが左ミドルからのタックルでテイクダウン。背中を許したカンポスはマッキーのチョークをしのぐ展開が続く。マッキーが体勢を変えようとした所で、カンポスはガードポジションに戻すが、ほどなくして再び裸絞めの体勢に持ち込まれてしまう。マッキーの両足フックはタイト。カンポスはなんとか凌ぎ切った。

 2R、巻き返したいカンポスは打つ気満々の構えで向かっていくが、マッキーに右アッパーからの左オーバーハンドを叩き込まれてダウン。カンポスはパウンドを浴びながらなんとかガードポジションを固める。マッキーはパスガードし、サイドからスピニングチョーク。ここも絞めが緩んだ所でカンポスが脱出して見せる。

 両者スタンド。直後にマッキーはパンチの連打からタックルを仕掛けるが、今度はカンポスが防ぐ。マッキーはガードポジション。カンポスはマッキーの引き寄せが緩めば、拳と肘を落とす。しかし、カンポスは身を離した所で、マッキーに下から腕十字を狙われる場面も。

 3R、パンチを当てようと迫るカンポスに対し、マッキーは距離を取りながら左ミドル。ブロックしたカンポスが再び歩を進めようとした所で、マッキーは巧くタックルを決める。両足で突き放して立ち上がろうとするカンポス。マッキーはカンポスが一瞬背を向けるのを見逃さず、素早く三角絞めに捕らながらの腕十字を極め、カンポスをタップさせた。

 マッキーが会心の一本勝ちで準決勝進出。全勝記録も「16」に更新した。


Feature Fight
▼女子フライ級 5分3R
○ジュリアナ・ヴェラスケス(ブラジル)
判定3-0 ※30-27, 30-27, 30-26
×ブルーナ・エレン(ブラジル)

Feature Fight
▼バンタム級 5分3R
○ラウフェオン・ストッツ(アメリカ)
判定3-0 ※29-28、30-27、29-28
×チェイデン・レイアロハ(アメリカ)

Feature Fight
▼ライト級 5分3R
×ナイノア・ダン(アメリカ)
判定0-3 ※28-29、28-29、28-29
○ザック・ゼイン(アメリカ)

Prelim Fight
▼フライ級 5分3R
×ネイト・ヨシムラ(アメリカ)
KO 2R 2分46秒
○チャス・ダンアワー(アメリカ)

Prelim Fight
▼バンタム級 5分3R
○スウェイン・マカナ・ルナスコ(アメリカ)
TKO 3R 3分29秒
×ケイラン・ゴロスピ(アメリカ)

Prelim Fight
▼ウェルター級 5分3R
○ベン・ウィルヘルム(アメリカ)
一本 1R 2分24秒 ※リアネイキドチョーク
×ケアリイ・カネオカ(アメリカ)

Prelim Fight
▼ライト級 5分3R
○ダスティン・バルカ(アメリカ)
一本 1R 58秒 ※リアネイキドチョーク
×ブランドン・パイパー(アメリカ)

Prelim Fight
▼フェザー級 5分3R
○カイ・カマカ三世(アメリカ)
判定3-0 ※30-27、30-27、30-27
×スペンサー・ヒガ(アメリカ)

Prelim Fight
▼ライト級 5分3R
○キオニ・ディッグス(アメリカ)
一本 2R 2分23秒 ※リアネイキドチョーク
×スコッティ・ハウー(アメリカ)